【掲載日】2026/01/31
糖尿病の薬の種類とは?役割や副作用、注意点を徹底解説
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厚生労働省の調査(令和5年)によると、糖尿病で治療中の国内患者総数は552万人超で、その内1型糖尿病は12万人、2型糖尿病は363万人、その他の糖尿病が176万人という数字が発表されています。自己免疫異常である1型糖尿病の治療にはインスリン注射が不可欠ですが、生活習慣病とされている2型糖尿病においては、薬物療法・運動療法・食事療法など症状に応じた治療法があります。また、「その他の糖尿病」として分類されている患者の多くも2型糖尿病に含まれる可能性が高いことから、糖尿病患者の多くは2型糖尿病であるということが言えるでしょう。ここではその2型糖尿病の治療で用いられる薬について調査し記載していきます。
糖尿病で薬を飲まないとどうなる?
2型糖尿病は、血液中で血糖値が高い状態となりますが、重症でない場合は放置していてもすぐに何かが起こるわけではなく自覚症状があまりない人もいるでしょう。しかし、その状態を長期間放置し続けることで、血液がドロドロになって血管が詰まりやすくなり、臓器の機能に障害が出たり、心筋梗塞・脳梗塞・失明・人工透析・足の切断など重大な合併症を引き起こすことになりかねません。そうなる前に、薬を使って血糖をコントロールしたり、症状の度合いによっては食事療法や運動療法で改善が見込める場合もあるので、専門医の指導に沿って前向きに治療に向き合うことが大切です。
糖尿病で薬を飲む目安の数値
糖尿病の診断で用いられる指標として、血液中のHbA1cの数値がどのくらいあるかで食事療法や運動療法を行うのか、それとも投薬を開始するのかが判断されます。【血糖値】が血液中に含まれるブドウ糖の瞬間的な濃度であることに対し、【HbA1c】は、過去1~2か月の平均的な血糖値の濃度を示しており、人間ドック学会ではHbA1cの基準値を5.5%以下としています。
一般的にHbA1cの値が6.5%前後で境界型である可能性が高く、生活習慣の見直しが必要とされることがあります。また、7.0%以上になると合併症予防のための血糖降下薬の投薬検討がなされ、8%以上ではほぼ確実に薬物療法となり、状態によってはインスリン治療が検討される場合もあります。
糖尿病の薬における副作用
糖尿病の薬には色々と種類があり、薬によって異なる副作用が認められています。主な副作用を以下にまとめました。
低血糖
糖尿病の治療薬の中で特に気を付けなければならない副作用は【低血糖】です。インスリンの分泌を促す薬や、体内でインスリンを効きやすくさせる薬、または外部からのインスリン注射などにより、体内の血糖値が必要以上に下がり過ぎてしまうことがあります。低血糖になると、強い空腹、手足の震え、めまい、脱力感、意識消失などが見られます。その際にはブドウ糖を速やかに摂取する必要があり、そういった副作用の可能性が予測される薬を服用している場合はブドウ糖10~20gを常に携帯しておくことも対策のひとつと言えるでしょう。緊急で対応が必要な際にブドウ糖を持ち合わせていない場合は、砂糖やスポーツドリンクなどを体内に取り入れることも有効です。
●起こりやすい薬の種類:インスリン製剤・SU薬
消火器系症状
薬によって腹部膨満感・下痢・食欲不振などが見られたり、脱水の症状が出ることもあります。これらの副作用が出た際の対処法は、食事をきちんと摂取しこまめに水分補給を行うと良いとされています。
●起こりやすい薬の種類:メトホルミン・GLP-1作動薬
感染症
尿糖により尿路感染症や性器感染症などの可能性も副作用として挙げられています。比較的女性に多く、対策としては清潔に保つことが第一です。また、多尿・頻尿により、脱水となることもあるため、特に夏場はこまめな水分補給が必要となります。
●起こりやすい薬の種類:SGLT2阻害薬
糖尿病の薬を飲む際に注意したいシックデイについて
糖尿病で治療中の方が他の病気にかかり体調不良となった際には、普段より血糖管理が難しくなります。その際の対応について予めルールを決めておくことで短期間で安全に乗り切ることができるため、事前に担当医に対処法を確認しておくことが大切です。
シックデイとは何か
シックデイとは、糖尿病の方が風邪などの他の病気にかかった状態のことを言います。
通常、人は病気になると血糖値が上がりやすくなる傾向があり、特に糖尿病の方の場合、ただでさえ血糖値が高い状態の上に更に数値が上昇してしまうため危険な状態となります。また反対に、食欲不振により食事が摂れていないにも拘らず、普段通りの容量で薬を飲んでしまうと低血糖を起こしてしまうことがあります。このように、シックデイでは高血糖にも低血糖にもなる可能性があり、血糖管理が難しくなるため状況に応じた調整が必要となります。
シックデイの対応例
シックデイは糖尿病の患者さんにとって非常事態となるため、短期間でうまく乗り切るためにもシックデイルールを作り、適切な対応を覚えておくようにします。例えば、
・温かく安静にする
・食事や水分をきちんと取る
・血糖自己測定を3~4時間おきに行う
・食事がどのくらいできているかによって服薬量を調整する
・食事ができない状態でも自己判断でインスリン注射を中止しない
・主治医に早めに診てもらう
などがあります。それぞれの症状により対応も異なるため、日頃から担当の主治医と相談し、風邪などをひいて体調不良となった際の対応方法を決めておくということが大切です。また風邪症状に対して薬を服用する際は、糖尿病薬と相性が悪い薬も存在するため、必ず医師や薬剤師に相談した上で、併用しても問題ないかを確認してから服用するようにしましょう。
糖尿病の薬で痩せる?
糖尿病の治療薬の中で、SGLT2阻害薬やGLP1受容体作動薬と呼ばれる薬は、体重を減少させる効果があります。近年では糖尿病治療の目的ではなく、ダイエット薬や痩せ薬としてインターネット上で自由診療として処方されているケースがしばしば見られ、医療関係者や製薬メーカーから問題視されています。製薬メーカー側でも、「本来、糖尿病治療を目的として開発された薬であり、それ以外の目的で使用した場合の安全性や有効性は確認されていない」とし、医療関係者や使用希望者には「適正使用への協力」を強く要請しています。実際に、正常な代謝の方が痩せたいというだけの理由で使用したところ、めまいや吐き気、倦怠感などの症状が現れたということも報告されており、健康被害も多く発生しています。健康体であるにも拘らず、痩せたいからといって気軽に手を伸ばしてしまうと大変危険です。
糖尿病の薬の種類
一概に糖尿病治療薬と言っても、その役割が薬によって異なります。インスリンの効きを良くする効果をもつ薬や、インスリンをより体内で分泌させる薬、血糖値の上昇を緩やかにする薬、ブドウ糖を尿に排出させやすくする薬など色々な種類の治療薬があり、患者さんの状態に合わせた処方がなされます。
DDP-4阻害薬
日本で一番使用されている糖尿病の薬
効果:食後の血糖値が高い時にインスリンの分泌を促進させる役割。インスリンを分泌するインクレチンというホルモンが、体内にあるDPP-4という酵素によって分解されてしまう前に、DPP-4の働きを抑える薬。
メリット:DDP-4阻害薬のみで治療する場合、低血糖を起こしにくくSU薬(スルホニル尿素薬)で起こり得る肥満助長の可能性も少ない。1日1錠で食後の血糖値をしっかり下げられる。
主な薬剤名:グラクティブ・ジャヌビア・エクア・ネシーナ・トラゼンタ・テネリア・スイニー・オングリザ・マリゼブ・ザファテック
SGLT2阻害薬
効果:ブドウ糖を尿から排泄することで血糖値を下げる
メリット:心臓・腎臓・血管などの臓器を保護し、体重減少効果もあるため特に肥満がある場合に有効に働き、脂肪肝に対しても改善がみられる。
主な薬剤名:スーグラ・フォシーガ・ジャディアンス・カナグル・ルセフィ・アプルウェイ
注意点:内服後1週間は尿の量や回数が増える為、季節によっては脱水を起こしやすくなる。こまめな水分補給を行うこと。
ビグアナイド
効果:肝臓から血液中にブドウ糖が放出されるのを抑制する。また、腸からのブドウ糖吸収を抑えると同時に、過剰な食欲を減らし、体重を増やさずに血糖値を下げることができる。
メリット:薬価が他の糖尿病薬と比べて圧倒的に安い。
主な薬剤名:メトグルコ・メルビン・ジベトス
注意点:シックデイに伴う脱水により、乳酸アシドーシス(乳酸が血中に溜まり血液が酸性に傾いた状態)を起こしやすくなるため、シックデイではこの薬の服用は中止する。
チアゾリジン薬
効果:筋肉や脂肪などでインスリンの効きを高め、血液中のブドウ糖の利用を増やして血糖値を下げる。
メリット:脂肪肝が改善しやすい。
主な薬剤名:アクトス
注意点:体内に塩分を溜め込むため、体重増加や浮腫(むくみ)、骨折などにも注意。体重増加によって心臓にも負担がかかるため、心疾患のある糖尿病患者は服用は避けた方がよいとされている。
SU薬(スルホニル尿素薬)
効果:すい臓からのインスリン分泌を促し、強力な血糖降下作用を発揮する。HbA1cを下げる効果が高い。
薬剤名:アマリール・グリミクロン・オイグルコン・ダオニール
注意点:服用後、食事を摂らないと低血糖を起こす可能性がある。
GLP-1受容体作動薬
効果:食事を摂ると小腸から分泌されるホルモン(GLP-1)を補うための薬剤で、すい臓からインスリンを出すように働きかける効果がある。食欲を抑えることで体重減少の効果も期待できる。
薬剤名:
・注射剤【ビクトーザ・トルリシティ・マンジャロ・オゼンピック・ウゴービ】
・内服【リベルサス】
※薬剤により、1日1回の注射、週1回の注射、毎日の内服薬と投与頻度が異なるため、ライフスタイルに合わせた処方が選択される。
注意点:胃腸に作用し食欲を抑制するため、吐き気や下痢、便秘などの消化器症状が出ることがある。近年、単なるダイエット目的で自由診療で処方されるケースも目立っているが、体重減少目的で使用された場合の安全性は確認されておらず、健康障害が起こる可能性が懸念されている。
糖尿病の薬に関する質問
糖尿病の薬は飲み続けると効果がなくなるのですか
SU薬(スルホニル尿素薬)と呼ばれる薬は、しばらく服用し続けると薬の効き目がなくなってくることがあります。すい臓のインスリン分泌力が低下してくるために起こる現象ですが、実際には食事療法や運動療法での自己管理がきちんと行われていないために起こるケースも多いようです。
低血糖とはどんな状態ですか。また治療薬との関係はありますか。
血糖値が正常値より下がった状態を低血糖といいます。健康体であれば血糖値が 60mg/dL以下になることはあまりありません。
また、インスリンの注射量や飲み薬の服用量を指示されている分より多く飲んでしまった時には低血糖が起こる可能性があります。その他、糖尿病以外の病気の治療で血糖降下作用のある薬を服用した時も低血糖となる危険があるため、新たに病院にかかる際には必ず飲んでいる薬の申告やお薬手帳を持参の上、相談するようにしましょう。万が一、低血糖の症状が現れた時には、処置としてすぐにラムネなどのブドウ糖を含む食べ物やスポーツドリンクなどの飲み物を口にするようにします。
インスリン治療は一生続けなくてはいけないのでしょうか。
1型糖尿病の場合は、すい臓に存在するインスリンを分泌する細胞が自己免疫異常により破壊され、インスリンがほとんど出なくなるため継続的なインスリン治療が不可欠です。2型糖尿病は、経口薬で血糖コントロールが間に合わない場合にインスリン注射を選択しますが、体外からのインスリンのサポートにより、高血糖で機能不全となっていたすい臓の機能が回復し、血糖コントロールが安定してできるようになってくればインスリンからの離脱も不可能ではありません。ただし、インスリン治療を拒み続け、高齢になってからインスリン治療以外の選択肢がなくなってしまった方や、長年糖尿病を患っていて生活習慣も改善できず、薬だけに頼ってなんとか血糖値を安定させてきたという方は、晩年になって継続したインスリン治療が必要となることが多いようです。糖尿病によるすい臓への負担に加え、加齢によって老化とともにだんだんとすい臓が疲弊していき、いよいよ内服だけではHbA1cが下がらなくなってきた、という状態にまでなってしまうとインスリンでの治療が継続して必要となります。
インスリン治療をやめたらどうなりますか。
1型糖尿病の場合、インスリンの自己分泌がほとんどないため、インスリン療法を行わなければ血糖が急激に上昇し、糖尿病性ケトアシドーシスを発症する可能性が高くなります。そしてそのまま放置していると意識障害や昏睡など、生命の危機に直結する可能性が高まるため、継続したインスリンの投与が必要となります。2型糖尿病の場合は、インスリン自己分泌がゼロではないので、急激な状態悪化や生命の危険が及ぶことは少ないですが、高血糖が続くことで網膜症、腎症、神経障害などの合併症が進行しやすくなります。万が一、打ち忘れに気づいた時は、自己判断でまとめて2回分打つなどしてしまうと低血糖になるリスクが発生しますので、必ず医師や薬剤師に相談するようにしましょう。
また、2型糖尿病の方でインスリン治療に不安を感じる場合には、自己判断で中止するのは大変危険です。必ず主治医に相談し、状態に合わせた治療薬を処方してもらうようにしましょう。
インスリン治療は最後の手段ですか?
「インスリン」と聞くと、他の内服薬ではもう治療できない、最終手段で使われると思う方も多いようですが、最近の研究によると早めの段階でインスリン治療を開始することで、その分すい臓を休ませてあげることができ、すい臓の働きをまた活発化させることができると考える医師も多くいるようです。インスリンの分泌量が増えてくると、体内での血糖値の管理が良好となるため、インスリン療法から離脱し内服治療に戻れる患者さんもいると言われています。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
糖尿病は完治することは難しい病気ではありますが、適切な治療と生活習慣の改善により、血糖値を正常に近い状態でコントロールしていけば、健康な人と変わらない生活ができると言われています。糖尿病の治療薬は種類も多く、細かく効能が異なる為、専門医と相談しながら、自分の症状と普段の生活に合った薬の処方を受けましょう。そしてきちんと服薬を続けると同時に生活習慣も見直し、自身の将来のために健康的な生活を心がけるようにすることが大切です。
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