臨床試験の流れ

1.治験計画立案

製薬メーカーが各疾患の専門医や各機関などと調整を進め、どの様に治験を実施していくのか計画を立て、治験実施計画書を作成し、厚生労働省に治験実施の申請を行います。

2.実施医療機関の選定

治験を行うには医師(治験責任医師)・CRC(治験責任医師の業務サポート)などと、治験で必要な検査等が行える医療機器を所有してる施設を選定し、製薬会社から医療機関へ治験実施の依頼を行います。

3.治験実施体制の構築

治験を実施する医療施設は、医師以外に医療以外の専門家やその他第三者の一般の方などが参加した治験審査委員会(IRB)を設置する必要があります。
そこでその治験に関する様々な審査を行います。そこで実施の許可がおりて、初めて治験がスタートできます。

4.治験開始(被験者募集)

治験審査委員会(IRB)で承認されてから治験がスタートし、最初に行うのが被験者(ボランティア)の募集です。
被験者は、「病院の患者さん」が基本ですが治験実施医療機関では患者さんがなかなか見つからないのが実情です。
その為に、さまざまな広告などで治験情報が提供され、参加者を募集しています。

※募集広告には薬事法等などの規制があり、治験薬や実施施設に関して詳細な情報を開示する事が出来ません。

5.治験実施

治験を担当する医師から治験に関する詳しい説明があり、参加される方の自由意思のもとに参加するかどうかを決定します。
その後「同意書」に署名して初めて治験参加となり、診察や検査を受け、治験の参加基準に適合するかどうかを医師が判断します。
医師の判断で参加可能と判断された場合でも、本人意思でいつでも治験を辞退する事も可能です。
治験開始後は、日程に沿って入院や通院をして、診察や検査を受けていただきます。医療機関側は、治験実施計画書やGCPに沿って治験を実施します。

治験は、大きく3段階の開発ステージに分かれます。
動物を使った試験(非臨床試験)を終えた後に、初めて治験に入ります。

第Ⅰ相試験

最初の段階は第Ⅰ相試験(フェーズ1)と言います。
このフェーズ1では、主に「安全性」を確認することを目的として、主に健康な方で行われます。

第Ⅱ相試験

次が第Ⅱ相試験(フェーズ2)と言います。
この段階では、主に「安全性」と「用量」を検討することを目的として、主に患者さんで行います。
よく薬に、「大人、1日に○○錠」と言う表記があるように、この最適な用量を検討します。

第Ⅲ相試験

最後の開発段階は第Ⅲ相試験(フェーズ3)と言います。
この段階では、主に「有効性」を確認することを目的として、ここでも患者さんで行います。

※プラセボとは、有効成分を含まない(治療効果の無いもの)薬の事で、「偽薬」(ぎやく)とも呼ばれています。
体調の悪い時に「薬を飲んだだけで安心した…」という経験はありませんか?
お薬の成分含まれない偽の薬を飲んでも「薬を飲んだ…」と思うだけで心理的作用が働き、効果を発する時を「プラセボ効果」といいます。
プラセボは、砂糖などを用いて作られ、見た目は薬と同じ形状・味覚等を持ちあわせます。(患者様にはプラセボかどうかは公表されません)

6.治験終了

製薬会社がデータを集約し、お薬として認可してもらう為に厚生労働省へ申請します。
厚生労働省の関係機関では、提出されたデータや治験の実施状況などについて専門家が分析・評価し、認可された場合には発売が許可されます。

負担軽減費

治験に参加するとボランティアは交通費がかかったり、会社を休んだりする必要があることから、ボランティアの経済的負担を減らすために、ボランティアに対して支払われるお金のこと。

ボランティアの不利益を救済する為の制度であり、謝礼や経済的メリットを目的とはしていません。 以前は、「治験協力費」とも呼びましたが、最近の医療機関では「負担軽減費」の方が好まれて使われています。

この負担軽減費の金額の設定やお支払方法は治験実施医療機関にあたる病院がそれぞれ設定しています。
実際は製薬メーカーが依頼していますが、治験の実施者は医療機関となるためです。
従って、病院によっても異なりますが、1来院(Visitあたり)につき約7,000円から約10,000円程が目安となります。
支払方法も病院によって異なりますが、来院毎に手渡しにてお支払いする場合や数来院分をまとめて銀行振込にてお支払いする場合があります。

しかし、初診料や診察料は、その場でお支払いをお願いすることになります。
初診料などをお支払いして頂くのは、通常、病院に診察に行った場合と同じで「患者様」という扱いとなるからです。そのため、初診料や再診療と負担軽減費を相殺した金額が実質受け取れる金額となります。
但し、健康な方を対象にする治験では保険診療ではないためそういった負担は発生いたしません。

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著者/監修者情報

JCVN

医学ボランティア会JCVN 事務局長

清水 陽介

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