【掲載日】2016/07/21   【最終更新日】2022/11/27

糖尿病とは?症状や治療法について解説

小川惇郎医師

監修者

白金台おがわクリニック院長

小川惇郎医師

糖尿病とは

尿病は、血糖値と呼ばれる血液中のブドウ糖(グルコース)が高い高血糖状態が続く病気です。 放っておくと、神経障害や視力障害、腎機能障害などさまざまな合併症が起こる危険性が非常に高くなります。
人の体は、毎日の食事を行うことで様々な栄養素を吸収しています。その中でお米やパンなどを代表とする糖質(炭水化物)は身体の中でブドウ糖に分解され、血液中に吸収され血糖値が高くなります。
高くなった血糖値は、通常人の身体に存在している「インスリン」と呼ばれるホルモンが作用し、適切な血糖値にコントロールされています。このインスリンを調節する仕組みが上手に働かなくなり、高血糖状態が続くようになってしまう病気が糖尿病です。
通常の体の状態でも血糖値は上下するので、ただ血糖値が高いだけで何かいつもと違う症状を感じることはほとんどありません。しかし、高血糖状態が続くと「喉の渇き」「疲労感」「多尿・頻尿」などの症状が現れるようになります。それだけでなく次第に全身の血管や神経が傷つき、全身の臓器に悪影響を及ぼします。
とても怖い糖尿病ですが、適切な食事療法、運動療法、服薬によってしっかり血糖コントロールを行えれば、症状をなくし、合併症の予防ができます。

糖尿病になる原因

糖質の過剰摂取

人が生きていくうえで必要な三大栄養素として、たんぱく質、脂質、糖質が挙げられます。この内、糖質は体内でブドウ糖に変わるための「素」であり、この栄養素の中で唯一血糖値を上げる作用を持っています。糖質は、主にご飯や麺類、イモ類などの炭水化物や砂糖を含むお菓子などに含まれているため、糖質を多く含むこれらの食材を過剰に摂ってしまうと、高血糖を招く原因となってしまいます。また、強い眠気・倦怠感、集中力の低下といった症状も見られるようになります。これは、血糖値が急上昇することでインスリンが大量に分泌され、血糖値が急降下して低血糖状態になる「血糖値スパイク」と呼ばれる状態であることを指します。

インスリン作用不足

インスリンは膵臓から分泌されるホルモンで、食事などの影響で一時的に上がりすぎた血糖値を下げるように調整する作用があります。体内で生成されるホルモンの内、血糖値を下げる働きをもつホルモンはインスリンだけであるため、膵臓の機能が弱まるなどしてインスリンの分泌量が低下してしまうと血糖値を下げることができなくなってしまい、高血糖の状態が続いてしまいます。
このような状態になってしまう最も多い原因は、上記の糖質を多くふくむ食事習慣によるものであり、糖質の多い食事を続けていると常に血中の糖を処理しなければいけない状態となってしまい、膵臓が疲弊状態となりインスリンの生成が追いつかなくなってしまうためです。

高血糖の原因とは?血糖値が高くなった時に出る症状や原因について

糖尿病の判断基準

糖尿病とは、血糖値が高い水準で継続してしまう状態を指します。例えば、食事を摂るとブドウ糖が体内に吸収されて血糖値が上昇しますが、健康な方であればインスリンが分泌されて徐々に下がっていきます。つまり、食後の血糖値が下がっていなかったり、食事を取っていない状態でも血糖値が高い値を示していたりする場合は、糖尿病の可能性が疑われます。
糖尿病であるかを判断する代表的な診断基準は、血液検査項目にある「空腹時血糖値(グルコース・GL)」と「HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)」を確認することです。空腹時血糖値は血液中のブドウ糖濃度を指し、HbA1cはブドウ糖とヘモグロビンが結合した物質を指します。
血液検査により、以下(1)~(3)のいずれか1つでも該当し、かつ別日に検査した結果でもいずれかに該当する場合に糖尿病と診断されます。

(1) 早朝空腹時血糖値 126mg/dL以上
(2) ブドウ糖負荷試験の2時間後の血糖値が200mg/dL以上
(3) 随時血糖値が200mg/dL以上

また、上記のいずれかに該当し、かつ下記の(1)~(4)の1つでも当てはまる場合には、1回の検査で糖尿病と診断されます。

(1) 喉の渇き、水分を多くとる、頻尿、体重減少などの典型的な糖尿病症状がみられる
(2) HbA1cが6.5%以上である場合
(3) 糖尿病性網膜症が認められる場合
(4) 過去に「糖尿病型」を示した検査データがある場合

定期検診や血液検査を受ける機会がない方は、自身で簡単に糖尿病のリスクを確認できる「糖尿病セルフチェックリスト」を活用してみましょう。以下の項目が5点以上該当する場合、糖尿病のリスクが潜んでいると判断できます。

  • 40歳以上の男性、または50歳以上の女性
  • 家族や親戚に糖尿病の人がいる
  • 太っている(BMIが25以上)、または最近体重が増えてきた
  • 喉が異常に乾く
  • 食べても食べてもやせる、最近急にやせてきた
  • 健康診断で、尿に糖が出ていると指摘された
  • 尿の臭いが気になる
  • 残尿感がある
  • 最近、尿の回数が増え、夜中にトイレに行くことが増えた
  • 全身がだるい、疲れやすい
  • 手足がむくむ
  • 夕ご飯を食べた後にすぐ寝てしまう
  • 外食が多い
  • 1食抜いたあとの食事で、どか食いをしてしまう
  • 甘いお菓子やジュースをよく口にする
  • 運動の習慣がなく、車に乗る機会が多い
  • タバコを吸っている
  • ストレスの多い仕事をしている

糖尿病の診断基準とは?検査方法や診断までの流れを解説

糖尿病の種類

糖尿病にはいくつかの種類があり、引き起こした要因や症状によって型を分類することができます。

・1型糖尿病
1型糖尿病では、インスリンを生成する膵臓内の膵β細胞が免疫機能の異常などにより壊されてしまい、インスリンが分泌できなくなってしまう病気です。血糖値を下げることができない体質となってしまうため、血中の糖が異常に増加したままの状態となり、そのままの状態が継続すると様々な合併症を引き起こしかねません。

・2型糖尿病
2型糖尿病は、体内でインスリンが生成されるものの分泌量が低下したり、インスリンが効きにくい状態になったりすることで血糖値が下げられなくなる病気です。2型糖尿病となる原因は、遺伝、過食、偏食、運動不足、肥満などの生活環境の乱れに関連するものが影響しているといわれ、治療法は血糖値を下げたりインスリンの生成を補ったりする作用の薬が扱われるほか、食事や運動習慣を見直すことで改善することも可能です。

・その他
膵臓や肝疾患などの病気や、治療薬の副作用により血糖値が上昇し、糖尿病を発症することがあります。また、妊娠中の女性の場合、胎盤から分泌されるホルモンの影響でインスリンの効きが悪くなってしまい、血糖値が正常値より高く、糖尿病患者の平均的な血糖値ほどには高くない妊娠糖尿病と呼ばれる状態になることがあります。

1型糖尿病の特徴・症状

1型糖尿病では、小児から高齢者まで年齢を問わず、肥満体型や生活習慣の乱れなども原因とはなりません。原因は、はっきりとはわかっていませんが、免疫系の異常により自らの細胞が攻撃される「自己免疫疾患」によるものと考えられています。
1型糖尿病にも種類があり、糖尿病と診断されて数ヶ月以内にインスリンが必要(インスリン依存状態)となる急性発症型、発症から1週間以内にインスリン依存状態となり、早急な治療がされないことで引き起こされる「糖尿病ケトアシドーシス」と呼ばれる合併症の危険性を伴う劇症型、半年~数年かけてゆっくりとインスリンの分泌機能が低下していく緩徐進行型があります。
1型糖尿病ではインスリンが体内で生成されないため、注射で体外からインスリンを補う治療が必須となります。

1型糖尿病とは?原因や症状は?治療方法や食事について

2型糖尿病の特徴・症状

2型糖尿病は「生活習慣病」の一つとして分類され、日本の糖尿病患者の約90%を占め。主に中高年層の発症率が高い特徴があります。
発症の原因は、遺伝的なものと、過食、偏食、肥満、運動不足などの不摂生な生活環境要因による場合があり、高血糖状態を緩和するべくインスリンを多量に出し続ける状態が続いた結果、インスリンを生成する膵臓内の「ランゲルハンス島β細胞」が疲弊してしまい、インスリン分泌力の機能低下に伴い血糖値を下げることができなくなる病気です。
しかし、インスリンが生成できなくなる1型糖尿病とは異なり、食事療法や運動療法などで日々の生活習慣を改善することで膵臓の負担を軽減し、ランゲルハンス島β細胞を回復させることで治療薬を要せず寛解できる場合もあります。

糖尿病の合併症

糖尿病により高血糖状態が慢性的に続いてしまうと、血管内が傷ついたり血流が詰まったりしてしまい、動脈硬化が起こります。この血管の部位が心臓付近であれば心筋梗塞や狭心症、脳付近であれば脳梗塞や脳塞栓といった合併症のリスクが高まります。
また、小さな血管で動脈硬化が進行してしまうと、糖尿病の3大合併症と呼ばれる症状のリスクが高まります。

①糖尿病網膜症

網膜の毛細血管が痛むことで視力障害や眼底出血が生じ、末期の状態では突然失明してしまうこともあります。

②糖尿病腎症

上昇した血糖値が腎臓の機能を低下させ、身体に必要なタンパク質などもろ過してしまい、尿にタンパクが出るようになります。さらに悪化する老廃物をろ過する毛細血管の束(糸球体)がつぶれてしまい腎不全や人工透析に至ることもあります。

③糖尿病神経障害

神経細胞への血流が欠乏し、末梢神経障害では足先の痺れ、冷感、筋肉のつり、足の感覚低下、足の潰瘍から足壊疽(切断になる可能性あり)を起こします。
自律神経障害では立ちくらみ、排尿障害(頻尿、失禁、尿のきれの異常)、排便障害(下痢、便秘、胃のもたれ)、勃起障害、発汗異常などが見られるようになります。

糖尿病の合併症

糖尿病の治療方法

糖尿病とは「血糖値がとても上がりやすい体質」に変わった状態を指すため、一度発症してしまうと完治させることは困難です。そのため、糖尿病における治療とは、血糖を正常値までコントロールすることで日常生活における健康上の制限を解消できるように、変わってしまった体質を「緩和」または「寛解」させることを目的とします。
糖尿病の血糖コントロールの基本は、食事療法と運動療法です。
1型糖尿病の方は、自分の体内でインスリンを作れなくなるため、インスリン注射による薬物療法が必須です。必要なインスリンを投与し続ければ、食事や運動などを厳しく制限することなく普段どおり生活することができますが、食後や運動後の血糖値の計測は都度行い、大きく増減していないか確認することが必要です。
2型糖尿病の場合は、「食事療法」「運動療法」をベースに「薬物療法」を症状にあわせて行っていきます。食生活の改善や運動を行いながら必要に応じてお薬を使い体内のインスリン分泌量・インスリン吸収効率を改善していくことが治療になります。

糖尿病は治る?食事や運動療法でどこまで治すことができる?

糖尿病の食事療法

食事療法では、適正なエネルギー量とバランスの取れた栄養素が得られ、食後に増加してしまう血糖値を極力抑えられるような献立を取り入れた食生活となるように管理をします。
食事をする際に、以下のような点に注意しながら食事を摂りましょう。

・適正エネルギーを把握する
まずは、1日に必要な自身の「適正エネルギー」を把握してみましょう。適正エネルギーは、自身の標準体重を求め、身体活動量をかけたものが目安となります。

◆適正エネルギーの求め方
標準体重(kg)=身長(m)×身長(m)×22
1日の適正エネルギー=標準体重(kg)×25~30kcal

・栄養バランスを考慮した献立を作る
続いて、栄養バランスを考えてみましょう。
炭水化物、たんぱく質、脂質の摂取比率の目安は以下となりますので、食材を調整しつつ日々の食事に組み込んでみましょう。
炭水化物 50~60%
たんぱく質 20%以内
脂質 20~30%

・規則正しい食事
何気なく済ませている食事のタイミングにも目を向けてみましょう。
例えば、食事の間隔が短い場合は血糖値を下げるタイミングがなかなか訪れず、高血糖の状態が続いてしまいます。逆に、空腹の時間が長く続いてしまうと、血糖値が下がりすぎないように体内で糖を作りだすほか、やっとの食事で得られた糖を必要以上に吸収してしまい、血糖値が余分に上昇してしまうことも考えられます。
一度食事をとると、食べ物が消化され、脂肪が燃焼するためには約3~5時間かかると言われていますので、理想的な食事の間隔は一般的には4~7時間空けるように心がけてみましょう。

糖尿病の食事療法-悪化させるダメな食べ物や良い食べ物を解説

糖尿病の運動療法

運動療法では、適度に身体を動かすことで体内のインスリン吸収効率(インスリン感受性)を改善させ、体内のブドウ糖を消費しやすい体質となります。また、運動による脂肪燃焼による肥満解消、心肺機能の向上、動脈硬化の予防、筋肉の強化といった基礎体力の向上も見込まれます。
注意すべき点として、一時的に極端に激しい運動をしたとしても、改善した効果は3日以内に低下し、1週間で元の体質に戻ってしまうと言われています。そのため、適度な運動を週3~5日以上継続させることが重要です。
日々の生活の中で、簡単に体を動かせるような以下の行動を取り入れてみましょう。

  • 通勤時に到着駅一つ手前の駅で降り、帰宅時にも同様に一つ手前の駅で降りる
  • 遠くのお店でランチを取ることで、行き帰りの移動距離を伸ばす
  • エスカレーターやエレベーターの使用を控え、なるべく階段を利用する
  • 1日1万歩を目標とする
  • 外出予定のない日は、家の雑巾がけや家具のレイアウト変更などで体を動かす。

糖尿病の薬物療法

食事療法や運動療法を継続しても血糖コントロールができない場合は、薬物療法に移行します。
薬物療法で使用する糖尿病治療薬の種類は多種多様であるため、一人一人の症状や病態に沿って適切な作用を持つ薬剤を使用します。
糖尿病治療薬の作用は、①すい臓からのインスリン分泌を促進させる薬、②インスリン抵抗性を改善する薬、③糖の吸収を穏やかにすることで食後の高血糖を改善する薬、④腎臓から尿へ糖を排出させる薬、などがあります。
これらの作用を持つ薬を単剤または組み合わせて処方し、食事・運動療法も並行して行うことで血糖コントロールを図ります。
なお、これらの薬剤を使用しても効果が見られない場合は、1型糖尿病と同様にインスリンを補う注射が必要となることもあります。

糖尿病の治療薬

監修者

小川惇郎医師

白金台おがわクリニック院長

小川惇郎医師

専門

日本糖尿病学会糖尿病専門医/日本内科学会総合内科専門医/日本内分泌学会内分泌代謝科専門医/日本抗加齢医学会抗加齢医学専門医

所属医療機関

白金台おがわクリニック

経歴

北里大学医学部卒業後、北里大学内分泌代謝内科へ入局。
平塚共済病院、川崎市立井田病院、北里大メディカルセンターへ出向。
その後、北里大学病院 内分泌代謝内科、NTT東日本関東病院を経て、2017年11月から、白金台おがわクリニック院長を務める。

白金台おがわクリニック公式HP


 

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