【掲載日】2021/08/31   【最終更新日】2022/05/17

糖尿病の食事療法-悪化させるダメな食べ物や良い食べ物を解説

伊藤幹彦医師

監修者

内科・皮膚科医

伊藤幹彦医師

糖尿病の食事療法における注意点

適正エネルギーに注意する

1日に必要な自身の「適正エネルギー」を把握し調整することで、血糖値上昇の抑制や肥満解消、合併症の進行を抑えることができます。適正エネルギーは、自身の標準体重を求め、身体活動量をかけたものが目安となります。

◆適正エネルギーの求め方
標準体重(kg)=身長(m)×身長(m)×22
1日の適正エネルギー=標準体重(kg)×25~30kcal

栄養バランスを考えたメニューを

炭水化物、たんぱく質、脂質の理想的な摂取比率を把握し、日々の食事に組み込んでみましょう。

  • 炭水化物 50~60%
  • たんぱく質 20%以内
  • 脂質 20~30%

規則正しい時間に食べる

おおまかな1日3食の食事時間を決め、それぞれの食事の間隔を5~6時間空けるようにすると、食べ過ぎ防止や血糖値を安定させるだけでなく、インスリンを分泌する膵臓の負担を軽減します。また、就寝時間の2~3時間前に夕食を済ませると、肥満予防になります。
22時以降の食事は肥満の原因になるため、やむを得ず昼食と夕食の時間が空いてしまう場合は、夕方補食を補ったり栄養素を摂取して補うようにしましょう。

脂質を摂りすぎない

肉や乳製品、卵に含まれる動物性脂肪には「飽和脂肪酸」が多く含まれており、動脈硬化の原因にもなるLDL(悪玉)コレステロールを上昇させる効果があります。
動物性脂肪を控え、魚の脂や植物性食品に多く含まれる「不飽和脂肪酸」には、動脈硬化や血栓を防ぐ、血圧を下げる、LDLコレステロールを減らすなど、さまざまな作用があります。
調理に使用するバターやマーガリンの代わりに、オリーブオイルなどの植物油を使うことによって、効率的に脂質を抑えることができます。

食物繊維は積極的に摂取する

食物繊維が含まれる食材は、少量でも満腹感が得られるほか、消化吸収を緩やかにし血糖値の上昇を抑える働きがあります。目安として、1日20g以上の食物繊維を摂ることで、大幅に糖尿病の発症リスクを抑えると言われています。

間食はできるだけ控える

間食はできるだけ控えたいところですが、食べる場合は1日1回、1日の適正エネルギー量の範囲内で、昼食と夕食の間(午後3時前後)が望ましいです。
清涼飲料水やスナック菓子類は糖質が多いため、糖質量が1日10gになるよう分けて食べたり、糖質やカロリーの少ないヨーグルトやカカオ成分が高いチョコレート、果物などを摂取することが好ましいです。

アルコール・塩分を控える

アルコール飲料と一緒に食べてしまうおつまみには、塩分やカロリーの高いものが多く、お酒がすすむとともについつい食べてしまいがちなため、1日のエネルギーがオーバーしやすくなるので注意しましょう。また、塩分の摂り過ぎは高血圧や合併症を招くリスクも高まります。

ゆっくり時間をかけて食べる

食事の際にゆっくり食べるように注意するだけでも、様々な効果があります。
食べ過ぎてしまうと、肥満や血糖値上昇などにつながるので、よく噛みながら20分以上を目安にゆっくり食べることで満腹中枢が働き、食べ過ぎを防ぐことができます。
また、たくさん噛むことで唾液が大量に分泌され、消化や吸収機能が向上し、胃腸の負担が少なくなるほか、特に糖尿病の方は喉が渇きやすくなりがちなので口腔内を潤わせる効果もあります。

糖尿病に良い食べ物・食材

ナッツ

ナッツ類は低糖質で、血糖値が上がりづらい食品です。
ナッツには、悪玉コレステロールや中性脂肪を減らし、動脈硬化や血栓を予防する効果がある不飽和脂肪酸という油が多く含まれています。その他にも、マグネシウムやカルシウム、様々んミネラル類、食物繊維、ビタミンEなど豊富な栄養素が含まれており、糖尿病の合併症予防にもつながります。
比較的簡単に摂取できるため、日々の食事に加えやすく、食事療法として適した食材の一つです。

きのこ

きのこには糖の吸収を穏やかにする食物繊維が豊富に含まれており、血糖値の上昇を緩やかにします。また、低糖質、低カロリーでインスリン分泌活性効果もあり、脂肪を抑えるなど肥満予防にも効果的です。
様々なきのこの種類の中でも、まいたけには、食物繊維以外にインスリンの材料となる亜鉛や血糖値の上昇を抑えるマグネシウムなどが多く含まれています。
また、ブナシメジには血糖値を下げる働きがあるインスリン分泌を促進する作用があるため、血糖値抑制に効果的です。
さらに、きのこ自体に旨味や強い香りを感じられるため、調理において塩分を余分に加えずに済み、減塩が必要な糖尿病の治療食としても効果的です。

豚肉

赤身肉や加工肉は、タンパク質、鉄、亜鉛、ビタミンBなどの栄養素の供給源になる一方、ヘム鉄や飽和脂肪酸、調理の過程で生成される焦げた部分に含まれる糖化最終産物(AGE)などが、インスリン感受性やインスリン分泌に対して悪影響をもたらす作用があり、食べ過ぎてしまうと糖尿病の発症リスクが上昇してしまいます。

赤身肉を食べる場合は、糖代謝に必要なビタミンB1が多く含まれている豚肉が有効です。
ビタミンB1には糖を分解してエネルギーに変える働きがあり、体内の糖が消費され、血糖値の上昇を抑える効果があります。豚肉の中でも、特にヒレ肉やももの赤肉といった脂身の少ない部分を活用し、豚肉と相性の良い食材として、食物繊維やカリウムが豊富なナス、血糖値を抑えるにんにくや生姜などと合わせて調理するのも効果的です。

ハイカカオチョコレート

ハイカカオチョコレートにはポリフェノールが多く含まれおり、動脈硬化を抑えるHDLコレステロールを増加させる作用があり、糖尿病合併症である動脈硬化などの予防につながります。
また、食品に含まれる糖質の吸収度合いを示す「GI値」がとても低く、血糖値上昇などを抑える効果があります。なお、脂質やカロリーは高いため、食べ過ぎてしまうと肥満や体重増加の原因となります。

糖尿病に悪い食べ物・食材

糖尿病の方は喉が渇きがちなため対策として飴を舐めることがありますが、飴に含まれるカロリーや糖質は見かけ以上に高く、100gあたりになると400kcal、糖質は100g以上あります。ショ糖や麦芽糖といった砂糖が原料なため、体内への吸収も摂取後数十分~1時間以内と早く、空腹時に続けて摂ってしまうと血糖値が一気に上がってしまう可能性もあります。シュガーレスタイプの飴などを選ぶようにしましょう。

魚肉ソーセージ

加工肉の中でも、魚のすり身を原料として作られる魚肉ソーセージはでんぷんを加えられているため、魚肉特有のカロリーの低さはあるものの、糖質量は1本あたり約13gと他の水産加工品の平均1.5gよりかなり高く含まれています。

シャーベット

シャーベットは氷菓特有の清涼感ゆえに食べやすく夏場などに好まれますが、シャーベット100gあたり約30g前後の糖質量が含まれています。カロリーも120~130kcalと比較的高く、習慣的にデザートとして食べてしまうと高血糖を招いてしまいます。

せんべい

せんべいは甘くなく砂糖も他のおやつに比べれば少ないと思われがちですが、原料が米であるため2枚食べればご飯お茶碗半分の約30gに相当します。ざらめなど砂糖が付いたせんべいともなれば糖質量もさらに増加してしまうので、間食の際には注意が必要です。

コンビニ食はバランスを重視

多忙な日々の中、ついつい手軽で選びがちなコンビニ弁当ですが、基本的に加工品や炭水化物が多く、野菜類が少ない傾向にあります。自分に必要な適正エネルギーを把握し、「主食」「主菜」「副菜」といった組み合わせにより栄養バランスを調整し整えることが大切です。

コンビニメニューの選び方のポイント

・菓子パン+糖分、惣菜パン+塩分を控える

食パンの糖質は100gあたり48.2gと言われ、同じ量の他の食材と比較すると糖質量はやや高めに位置する食材です。菓子パンや惣菜パンは単品でも高カロリーであり、見た目以上に砂糖や塩が使われているため、ジュースやおかずの代用として組み合わせてしまうと過剰に栄養素を摂取してしまうので注意しましょう。

【悪いメニュー・食べ方】
例)菓子パン+フルーツジュース
例)カレーパン+ポテトサラダ
例)トースト+バター

【良いメニュー・食べ方】
例)サラダサンドイッチ+ヨーグルト
例)ライ麦パン+野菜スープ
例)食パン+減塩チーズ

・お弁当のおかずは魚や野菜が多く入ったものを選択

コンビニ弁当には魅力的なメニューが多いですが、主食が炭水化物、濃い味付け、揚げ物、野菜が少ないなどの傾向があります。品数の多い和食弁当や、魚の入った弁当を選びましょう

【悪いメニュー・食べ方】
例)牛丼弁当、唐揚げ弁当など

【良いメニュー・食べ方】
例)幕の内弁当、さば塩焼き弁当など
例)ご飯を残す、サラダを追加する

糖尿病治療のための食事の調理ポイント

糖尿病を治療している期間の食事は、食後に起こる血糖値の上昇をどれだけ抑えることができるかを念頭に置く事が重要です。調理方法やレシピを工夫するなど、調理方法を少し変えるだけで、食後の血糖値を上げにくくすることができます。

砂糖やみりんなど糖質を多く含む調味料を控える

醤油・味噌・みりんなどは、糖質が多く含まれている調味料です。調味料の糖質は食材に吸収されやすく、食事量が少なくても過剰に摂取してしまい、血糖値が上がりやすくなってしまいます。

野菜を加えた蒸し物や煮物を献立に取り入れる

蒸し物や煮物は少ない量の油で調理することができるため、食事の際に余計な油分を摂らずに済みます。また、加える野菜は少し大きめに切り分け、火にかける時間を少し短めに調整し、適度な固さを残すように調理しましょう。自然とゆっくり良く噛んで食べる事ができ、少量でもほどよい満腹感が得られ、血糖値の上昇を緩やかにできます。

薄味ベースに酸味を加えて味付けを調整する

味の濃い料理には塩分が多く含まれており、食も進みやすく食べすぎてしまいます。
塩分のとりすぎは高血圧や糖尿病合併症の原因となりますので、だし風味を効かせて食材本来の味を引き出し、薄味ベースに仕立てることで減塩することができます。
また、少し物足りなく感じる味付けには、お酢や柑橘系の酸味を加えましょう。
料理に程よい刺激感が生まれるだけでなく、酸味には血圧降下作用、酢には血糖値の上昇を抑える働きや脂肪燃焼効果がありますので効果的です。

糖尿病治療に役立つ食事レシピ・献立

豚汁

材料(1人分)

  • 豚もも薄切り肉 15g
  • 油揚げ 3g
  • 長ねぎ 10g
  • 大根 15g
  • 人参 10g
  • ごぼう 10g
  • 木綿豆腐 20g
  • 水 120ml
  • 和風だしの素 小さじ1/6(0.5g)
  • 酒 小さじ1/2強(3g)
  • みそ 小さじ1弱(5g)
  • しょうゆ 小さじ1/6(1g)

作り方

  1. 里芋は皮を剥いて大きければ食べやすい大きさ、大根、人参はいちょうか半月切り、豆腐は1cmのさいの目切りにします。
  2. ごぼうは包丁の背で皮をこそげ、斜め薄切りにして水にさらします。豚肉は3cm幅に切ります。
  3. 長ねぎは青い部分は小口切りし、白い部分は1cm厚さの斜め切りにします。油揚げは短冊切りにします。
  4. 鍋に油揚げ、野菜類、だし汁を入れて中火にかけます。一煮立ちしたらお肉と酒を入れます。(長ねぎの青い部分は入れません。)
  5. アクを取り、弱火で具材がやわらかくなるまで煮ます。
  6. 豆腐を加え、一煮立ちしたらみそとしょうゆで調味します。器に盛りつけ、長ねぎの青い部分をのせて出来上がり。

マグロのバター醤油焼き

材料(1人分)

  • まぐろ 250g
  • 塩 少量
  • こしょう 少々
  • バター 大さじ2

作り方

  1. まぐろに塩こしょう振り、クッキングシートをしいたフライパンにのせ、両面をこんがり焼きます。
  2. マグロに火が通れば、クッキングシートをとり、バターを入れて、魚にからめて出来上がり。

まいたけとほうれん草のソテー

材料(1人分)

  • まいたけ 20g
  • 干ししいたけ 3g
  • ほうれん草 50g
  • バター 2g
  • 塩 少量
  • こしょう 少々
  • 醤油 1.5g

作り方

  1. まいたけは食べやすい大きさにほぐします。しいたけは水でもどし半分に切ります。
  2. フライパンにバターを熱し、1とざく切りにしたほうれん草を炒めます。
  3. 2に塩とこしょうを振って1~2分炒め、最後にしょうゆを回しかけて出来上がり。

豚肉野菜炒め

材料(1人分)

  • 豚肉 50g
  • しょうゆ 小さじ1/2 (3g)
  • 酒 小さじ1/2 (2.5g)
  • 片栗粉 小さじ2/3 (2g)
  • 油 小さじ1/2 (2g)
  • にんじん 15g
  • ピーマン 10g
  • たまねぎ 20g
  • もやし 50g
  • キャベツ 30g
  • にら 10g
  • にんにく(薄切り) 1g
  • 塩 小さじ1/6弱 (0.8g)
  • こしょう 少々

作り方

  1. にんじん、ピーマン、たまねぎは細切りにし、キャベツはざく切りにします。
  2. 肉は食べやすい大きさに切り、調味料に15分くらい漬け、下味を付けます。
  3. 広げて片栗粉をまぶします。
  4. フライパンに油を熱し、肉を炒め、皿に取り出しておきます。
  5. フライパンににんにくを入れ、焦がさないように炒めます。
  6. にんじん、たまねぎ、ピーマンを入れてひと混ぜし、もやしとキャベツも入れて炒めます。
  7. 塩、こしょうで味付けします。
  8. 肉をほぐすようにして入れ、大きく混ぜ合わせます。
  9. 最後ににらを入れてひと混ぜして出来上がり。

くるみごまめ

材料(1人分)

  • ごまめ 5g
  • くるみ 大さじ2/3 (10g)
  • 白ごま 小さじ2/3 (2g)
  • 砂糖 小さじ2/3 (2g)
  • しょうゆ 小さじ1/3 (2g)
  • みりん 小さじ1/3 (2g)
  • 酒 小さじ1/3強 (2g)

作り方

  1. フライパンを弱火で熱し、くるみを香ばしく乾煎りし、粗熱を取ったら、粗く砕きます。
  2. 1のフライパンをペーパータオルで軽く拭き、ごまめを弱火で香ばしく乾煎りします。ざるに取り、カスを落とします。
  3. 1のフライパンをペーパータオルで軽く拭き、調味料を入れ弱火で熱します。
  4. 砂糖が溶けてとろみがついてきたら、ごまめとくるみ、白ごまを加え絡めたら火を消します。
  5. バットにクッキングシートを敷き、4を広げます。粗熱が取れたら出来上がり。

etc・・・

監修者

伊藤幹彦医師

内科・皮膚科医

伊藤幹彦医師

心臓血管外科を専門とし、高血圧や糖尿病、AGAなど幅広く対応が可能。
皆様の健康を生涯にわたってお守りする良きパートナーとして、わかりやすく、丁寧な診察に努めている。

専門

日本外科学会認定外科専門医/日本循環器学会認定循環器専門医

認定資格

日本医師会認定産業医

経歴

東京医科大学卒業
東京医科大学 第2外科(心臓血管外科)入局
東京医科大学霞ヶ浦病院 循環器外科助手(現 東京医科大学茨城医療センター)
東京医科大学八王子医療センター 心臓血管外科などを経歴
東京医科大学第2外科助手
新潟こばり病院(現 新潟医療センター 心臓血管外科)
東京警察病院外科 医長を経歴(血管外科責任者)

伊藤メディカルクリニック公式HP

糖尿病の基礎知識ページに戻る

糖尿病の基礎知識一覧

人気の記事

治験ボランティア登録はこちら

フリーダイヤル0120-189-408

営業時間(月~金)10:00 - 18:00

治験ボランティア登録

その他の病気の基礎知識を見る

こちらもよく読まれています

治験情報一覧

治験ボランティア・モニター参加者募集

  • フリーダイヤル0120-189-408