【掲載日】2018/06/28   【最終更新日】2022/02/02

生活習慣病は死亡原因ランキング1位!?生活習慣の見直しで健康対策!

小川惇郎医師

監修者

白金台おがわクリニック院長

小川惇郎医師

生活習慣の見直しで健康対策!

生活習慣病とは

生活習慣病とは、その名のとおり、生活習慣が原因で起こる病気の総称です。もともとは成人病と呼ばれていましたが、食生活や睡眠、運動といった生活習慣が影響して発症することが指摘され、また、成人だけがかかる病気ではないことから「生活習慣病」と改称されました。

生活習慣病は死亡原因ランキング1位!

偏った食事・運動不足・飲酒・喫煙・ストレスを感じやすい生活を続けていると、生活習慣病(高脂血症・高血圧・糖尿病)を引き起こします。
生活習慣病は、日本人の三大死因である「がん」「脳血管疾患」「心疾患」と密接に関係しているため、症状が重くなる前に生活習慣や食事改善で予防をしましょう。

生活習慣病の症状と種類

では、具体的に生活習慣病と呼ばれる病気の種類や症状について確認してみましょう。生活習慣病とされる病気は多くありますが、代表的なものとして以下のようなものが挙げられます。

◆心疾患

狭心症や心筋梗塞、心不全など、心臓に発生する病気の総称です。なかでも多いのが、虚血性心疾患と呼ばれるもので、心臓に至る血管の機能が低下し、心臓に必要な酸素や栄養が不足することで、心臓機能に不調を起こします。日本では、がんの次に死亡率の高い病気です。

◆脳血管疾患

いわゆる脳卒中など、脳の血管で不調を起こす病気の総称です。脳内の血管や神経に障害を残すこともあり、麻痺や不随といった症状が残ります。

◆糖尿病

血液中の糖の量をコントロールできなくなる病気で、悪化すると血管疾患を招き、失明や腎機能の低下、神経障害などの合併症を起こすリスクが高くなります。

◆高血圧

体内を循環する血液の量が増えたり、血管のトラブルがあったりして、血管の壁にかかる圧力が高くなり、不調を招く疾患です。症状が自覚しづらく、悪化してしまうと動脈硬化になり、心疾患や脳血管疾患、腎不全などの合併症を引き起こします。

◆脂質異常症

血液中のコレステロールや中性脂肪が増え過ぎた状態を指します。自覚できる症状はほとんどなく、いつのまにか進行してしまう病気です。悪化すると、動脈硬化になるリスクが高く、高血圧の悪化と同様に、さまざまな合併症を招きます。

◆肝臓疾患

肝炎や脂肪肝など、肝臓の機能が低下する病気の総称です。急性の場合には高熱や強い痛みを伴い、入院治療が必要です。悪化すると、肝硬変や肝臓がんなどに移行する可能性があります。

◆腎臓疾患

腎不全や腎硬化症など、腎臓機能が低下する病気の総称です。悪化すると、透析が必要になり、厳しい食事制限に従って生活することになります。

◆慢性閉塞性肺疾患

慢性気管支炎や肺気腫などの病気を総称したもので、COPDとも呼ばれます。主に、タバコによる影響が大きいもので、咳や痰の増加や息切れなどが起こるため、自覚しやすい生活習慣病のひとつです。悪化すると、呼吸機能が低下し、呼吸不全に陥ったり、酸素不足による全身への障害が出たりします。

◆貧血

酸素を運ぶ細胞が小さくなったり、働きが悪くなったりすることで、全身の酸素不足に陥りやすい状態です。慢性的な倦怠感があり、食欲不振や動悸といった不調が続きます。

そのほか、痛風や骨粗しょう症、痛風なども生活習慣病に含まれます。生活習慣病のなかには、病気と診断されても、すぐに命にかかわるものばかりではありませんが、自覚しづらいため知らないうちに悪化しやすいものがほとんどです。放っておくと、悪化の一途をたどり、気が付いたときには命にかかわるような病気を発生する可能性があります。

メタボリックシンドロームとの違い

メタボリックシンドロームとの違い

健康保険連合が発表した「平成 27 年度生活習慣病医療費の動向に関する調査分析」によると、生活習慣病の治療で使われた医療費は、全体の約11%と報告されています。近年、国民医療費の拡大に伴い、政府が病気予防を行うための施策として取り入れたのが「メタボリックシンドローム健診(特定健康診査)」です。

メタボリックシンドロームとは、内臓脂肪症候群とも呼ばれ、生活習慣病を発症するリスクが高い「生活習慣病予備群」にあたります。ただし、メタボリックシンドロームと診断されるためには、内臓脂肪だけでなく、さらに高血圧や高血糖、脂質異常症のうち2つ以上が該当することになるため、生活習慣病との境界線はややあいまいです。

たとえば、脂質異常症と高血圧の症状があったとしても、内臓脂肪型肥満の基準である

ウエスト周囲(男性85cm以上、女性90cm以上)を超えなければ、メタボリックシンドロームと診断されることはありません。この場合は、すでに生活習慣病を発症していることになります。

生活習慣病の原因

生活習慣病の原因

日本における死亡率の約6割が生活習慣病によるものとされており、病気にならない健康的な生活を送るためには、ライフスタイルの見直しが大切です。まずは、どんな生活習慣が病気の原因になってしまうのか、改めて振り返ってみましょう。

偏った食事

生活習慣病に、大きく影響しているのが食生活の乱れです。栄養バランスの偏った食事や、不規則な食習慣などが、病気になるリスクを高めてしまいます。たとえば、塩分の多い食事が続けば、高血圧を招くことになり、一方で、糖分摂取が多い人であれば糖尿病になる可能性が高まります。加工品やレトルト、インスタント食品が多い場合も、栄養バランスが崩れ、健康な体を維持しづらくなるでしょう。

喫煙と飲酒

タバコを吸っている人やアルコールの量が多い場合も、慢性閉塞性肺疾患や肝疾患を招くリスクが高くなります。タバコの煙には、多くの有害物質が含まれていることから、循環器系に影響するのはもちろん、自律神経の乱れを招き、血圧上昇や心臓負担が大きくなることがわかっています。また、アルコールの摂取は、適量であればリラックス効果があるものの、毎日飲んでいたり、一回あたりの量が多かったりすれば、血圧の上昇や高血糖を起こしたり、さらには脳出血などのリスクが高まります。飲みすぎれば、肝臓だけでなく胃腸をいためてしまうこともあるでしょう。

運動不足

運動不足もまた、生活習慣病の原因となります。運動する機会が減ってしまうと、筋力が低下し、それに伴い、血流の低下や基礎代謝量の減少を招きます。「多目的コホート研究(JPHC研究)」によると、運動量(身体活動量)の多い人ほど、死亡の危険性が低くなると報告されており、がんや心疾患による死亡リスクが軽減するとされています。

睡眠不足

人の身体は、睡眠によって疲労回復を行い、不調箇所の修復を行っています。慢性的な睡眠不足が続けば、身体は正常な機能を保つことができなくなり、さまざまな不調を招きます。なかでも、ホルモン分泌や自律神経に与える悪影響は大きく、血圧や血糖をコントロールする働きが低下してしまうため、肥満や糖尿病、高血圧といった生活習慣病のリスクが高まります。

ストレス

ストレスには、精神的なものと肉体的なものがあり、どちらも身体に負担をかけてしまうものです。ストレスがあると、睡眠の質が低下したり、食欲が落ちたりしてしまい、生活習慣の乱れを招きます。また、自律神経にも影響し、リラックスした状態を作れなくなってしまいます。そうした背景から、免疫力が低下し、さまざまな不調を招く結果となるでしょう。

生活習慣病の予防・改善

生活習慣病の予防・改善

上述したような生活習慣の乱れがある場合、病気を発症する可能性が高まってしまいます。生活習慣病は、早めの対策で悪化を予防することが可能です。また、すでに生活習慣病と診断されている場合でも、ライフスタイルを見直すことで症状が改善する可能性があります。以下のような点を意識しながら、自身の生活に取り入れてみましょう。

適度な運動

自律神経を整えながら、ストレス解消に役立つのが、運動です。筋肉が増えることで、血流の改善にもなり、呼吸を深めて、代謝に必要な酸素を多く取り込むことができます。とはいえ、ハードすぎる運動は、かえって不調を招く原因となります。
厚生労働省が提唱する「健康日本21(身体活動・運動)」に記載される成人の個人目標例として、以下のように記されています。

  • 日頃から「散歩」、「早く歩く」、「乗り物やエレベータを使わずに歩くようにする」など意識的に身体を動かしましょう
  • 1日平均1万歩以上歩くことを目標に
  • 週2回以上、1回30分以上の息が少しはずむ程度の運動を習慣に
  • 最初の運動としてはまずウォーキングから

無理な運動をするのではなく、継続しやすく、心地よいと感じられる範囲で身体を動かすようにしましょう。

食生活を整えてバランスの良い食事にする

生活習慣病予防には、食生活を見直すことがとても大切です。しかし、食事のバランスは年齢や日頃の運動強度によっても異なるため、個人差があります。無理に食事量を増やすのではなく、まずは規則正しく3食を取ることから始めてみましょう。
塩分や糖分の取りすぎに注意し、野菜を増やすことも意識したいところです。また、早食いは肥満につながりやすいため、しっかり噛みながら20~30分以上かけて食事を取るようにしましょう。

喫煙を控える

喫煙をしている人であれば、まず1日に吸う本数を減らし、禁煙を考えたいものです。喫煙は、生活習慣病だけでなく、腰痛などにも影響するといわれています。自分自身でコントロールするのが難しいのであれば、禁煙外来を受診し、治療を受けるのもよいでしょう。

アルコールを控える

厚生労働省が提唱する「健康日本21」によると、成人男性の「節度ある適度な飲酒量」は1日平均、純アルコールで約20gとされています。ビールであれば、500mlを1本、日本酒なら1合(180ml)、ワインならグラス2杯弱の量です。1回の飲酒で、それ以上に飲んでいるのであれば、量を控えるように意識してみましょう。また、女性は男性よりもアルコール分解能力が低いとされているため、上記の量よりもさらに半分程度が適量です。

睡眠をとる

日々の疲れをいやし、ストレス軽減に役立つのが睡眠です。人によって適度な睡眠時間は異なるものの、平均睡眠時間が7時間程度の人は、最も死亡率が低いことがわかっています。十分な睡眠時間を確保できなかったとしても、睡眠の質を高めることで、疲労回復につながり、生活習慣病の予防や改善に有効です。睡眠障害がある人は、専門医に相談しながら、より良い睡眠がとれるよう取り組んでみましょう。

生活習慣病が引き起こす病気

生活習慣病が引き起こす病気

生活習慣病は、それだけでも日常生活に支障をきたすものですが、さらに悪化すると、長期入院や介護が必要になるような重篤な状態を招いてしまいます。

たとえば、認知症もそのひとつ。高血圧や脳疾患などの影響で、脳の機能が低下すれば、認知症を発症するリスクも高まります。生活習慣病のなかでも軽視されがちな貧血の症状も、悪化すれば心疾患や脳疾患に発展することもあり、早めの対策が必要でしょう。最終的には、命にかかわる危険性もあるため、早期発見・早期治療となるよう、定期的な健康診断を受けることが大切です。

生活習慣病は成人だけの病気ではない

生活習慣病は成人だけの病気ではない

近年、大きな問題となっているのが、生活習慣病の若年化です。10代のうちに発症するケースもあり、「小児生活習慣病」といわれることもあります。運動不足や食事の偏りなどが大きく影響しているとされており、とくに小さい頃から肥満傾向にある人はリスクが高くなります。
子供のうちから生活習慣病予防を考えることで、健康維持にも役立ち、将来的なリスクを減らすことができるでしょう。ライフスタイルの見直しは、家族そろって行いたいものです。

生活習慣病の治療方法

高血圧の治療

高血圧は日本で最も多い生活習慣病といわれ、全国で4000万人以上の患者がいると言われています。高血圧は、血管に過度な圧力がかかることで脳血管破裂のリスクが高まるほか、心臓にも大きな負担がかかってしまう病気です。頭痛、めまい、吐き気、動悸、息切れ、肩こりなどの高血圧を起因とする初期症状が見られた際には、生活習慣の改善を検討し、必要に応じて処方薬での治療を要します。

高血圧の治療について
【高血圧の治療薬・降圧剤について】種類・値段・副作用のまとめ

脂質異常症の治療

脂質異常症とは、血中にあるコレステロールのうち主に悪玉コレステロール(LDL)が増える、または善玉コレステロール(HDL)が減ることで動脈硬化が進んでしまう病気です。中性脂肪(TG)も悪玉コレステロールと同じく、過剰に増えてしまうと動脈硬化を悪化させます。
まずは食生活の改善や、運動、お薬の内服で脂質の値を改善させましょう。

脂質異常症の治療について

糖尿病の治療

糖尿病の初期は無症状ですが、治療をせずに放置していると失明、手足の壊疽、腎臓の機能低下を引き起こし、心筋梗塞や脳梗塞のリスクを上げてしまう恐ろしい病気です。
重症になるとインスリン注射や人工透析が必要になり日常生活にも大きな制限がかかります。
糖尿病と疑わしい場合は、定期検診などの血液検査で数値を調べ、食生活、運動習慣の改善や、必要に応じて薬の内服を行いましょう。

高血糖、糖尿病の治療方法とは?

高尿酸血症・痛風の治療

痛風とは、尿酸が体内に結晶化して蓄積することで、ある日突然激しい痛み(足の親指の付け根が多いです)を伴う発作を起こす病気です。
これが尿路に蓄積すると尿路結石として激しい腰痛の原因にもなります。
尿酸とは、お肉や魚、ビールなどに多く含まれるプリン体という物質が体内で代謝されてできるものです。そのため、食生活などの生活習慣を改めた上で、尿酸を減らすお薬や発作を抑えるお薬を内服することが重要となります。

高尿酸血症(痛風)の原因と症状・治療について

まとめ:健康的な生活習慣で、病気を予防・改善しよう

健康的な生活習慣で、病気を予防・改善しよう

生活習慣病は、日頃の食事や運動、睡眠の質によって予防・改善が可能です。ただし、食事だけ、運動だけ……といったどれか1つの対策を強化するのではなく、生活全般において見直す必要があります。身体に良いとされる健康食品などの情報も多くありますが、基本となるのは日々の生活であることを覚えておきましょう。

監修者

小川惇郎医師

白金台おがわクリニック院長

小川惇郎医師

専門

日本糖尿病学会糖尿病専門医/日本内科学会総合内科専門医/日本内分泌学会内分泌代謝科専門医/日本抗加齢医学会抗加齢医学専門医

所属医療機関

白金台おがわクリニック

経歴

北里大学医学部卒業後、北里大学内分泌代謝内科へ入局。
平塚共済病院、川崎市立井田病院、北里大メディカルセンターへ出向。
その後、北里大学病院 内分泌代謝内科、NTT東日本関東病院を経て、2017年11月から、白金台おがわクリニック院長を務める。

白金台おがわクリニック公式HP

 

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