【掲載日】2016/08/03   【最終更新日】2023/06/21

高尿酸血症(痛風)について

木村 眞樹子医師

監修者

循環器内科・内科・睡眠科医

木村眞樹子医師

高尿酸血症(痛風)って何?

beer尿酸とは「プリン代謝の最終産物」です。
プリン体は細胞ひとつひとつの核のなかの核酸に含まれています。
細胞が死滅するときにプリン体は尿酸に分解されます。 高尿酸血症とは血中の尿酸値が異常に高くなった状態で、血液中に溶けきらない尿酸が体の関節部分などさまざまなところに結晶として蓄積され、痛風を初めとする発作などの障害を引き起こします。

高尿酸血症(痛風)の原因

高尿酸血症の原因とされているのは「尿酸の過剰生産」、「尿酸排泄機能の低下」、「生まれつき代謝異常」の3つです。

高尿酸血症の原因で一番多いのは原因がよくわからない高尿酸血症で、他にストレス、過度のアルコール摂取、肥満、プリン体が豊富に含むお肉やレバーなどの過剰摂取、激しい筋肉運動等が原因とされています。
高尿酸血症の症状が長く続いてしまうと、体のさまざまな箇所に尿酸塩の結晶が沈殿してさまざまなトラブルを起こすようになります。痛風は、関節内に尿酸の結晶が沈着して結節を形成し、この結節が炎症を起こすことで起こるのです。
また、痛風は高尿酸血症の合併症と言えますが、体液中に含まれる尿酸が異常に増え、関節に沈着して炎症を起こすことで関節の痛みを引き起こします。
結晶となった尿酸が腎臓に沈着すると腎結石、尿管に移行すると尿管結石の原因となります。
高尿酸血症で行われる治療の基本は食事療法で、特にプリン体を多く含んだ食べ物の量を減らすこととアルコールを多飲している方はその量を減らすことが大切です。日頃から水分を頻繁にとるようにすることで尿酸の濃度を薄めることができます。

高尿酸血症の方で運動による治療行う場合、きつい運動をしているとタンパク質が壊れてかえって尿酸値を上げてしまうので、ウォーキングなど軽い有酸素運動にとどめるのがよいでしょう。
食事療法や運動療法で高尿酸血症の状態が思うように改善されない場合は、薬物療法の対象です。尿酸ができるのを抑制する薬、尿酸を排泄する薬を高尿酸血症のタイプにより使い分けます。

【食品100gあたりの総プリン体含有量(mg)】

食品 含有量(mg) 食品 含有量(mg) 食品 含有量(mg) 食品 含有量(mg)
あん肝酒蒸し 399 煮干し 746 鶏肉レバー 312 カニみそ 152
イサキ白子 305 かつお節 493 豚肉レバー 284 タラコ 120
大正エビ 273 干し椎茸 379 牛肉レバー 219 サラミ 120
カツオ 211 真イワシ干物 305 牛肉心臓 184 ツナ缶詰 116
真イワシ 210 真アジ干物 245 鶏肉ササミ 153 ボンレスハム 74
クルマエビ 195 サンマ干物 208 鶏肉砂肝 142 つみれ 67
スルメイカ 186 乾燥大豆 172 鶏肉手羽 137 ベーコン 61
牡蠣 184 納豆 113 鶏肉モモ 122 焼きチクワ 47

 

高尿酸血症(痛風)の症状と診断

tufu血清尿酸値が高くても、それだけで激痛などの症状は起こりません。しかし高尿酸血症を継続している状態で治療をせずにそのままでいると、痛風、尿路結石症、慢性腎臓病といった疾患のリスクが高くなります。
痛風発作は高尿酸血症に高い頻度で合併し、ある日突然発作が起こります。尿酸が結晶となり関節にたまることで関節が赤く腫れ上がり、激しい痛みで日常生活へ支障をきたすことも少なくありません。
尿路結石症、尿管結石は尿路に尿酸の結晶ができる病気で、非常に激しい痛みを伴います。

【高尿酸血症の診断基準】
血中尿酸が7.0mg/dl以上の場合を高尿酸血症と診断します。 8.0mg/dl以上で薬物療法が必要です。

高尿酸血症(痛風)の治療

高尿酸血症の治療では、「血清尿酸値 6.0mg/dL以下」にすることを目標に、まず生活習慣の改善を行います。
尿酸値の上がりやすい食生活を改善し、適度な運動を習慣的に行うだけで、血清尿酸値の治療目標を達成する方も少なくありません。
生活習慣を改善してもまだ目標値まで血清尿酸値が下がらない場合や、生活習慣を十分に改善することが難しい場合には、薬で血清尿酸値をコントロールしていきます。
また、尿から尿酸を出しやすくするために、水分をしっかりとることも重要です。

■食事療法
高カロリーな食事は、高尿酸血症だけでなくすべての生活習慣病のリスクを高めます。
高尿酸血症の食事療法では、まずカロリーの摂りすぎに注意しましょう。カロリーを控えることで内臓脂肪の減少が期待できますし、体重の減少に伴って血清尿酸値が低下することも少なくありません。
食品によってはプリン体を多く含むものがありますので上記の「総プリン体含有量表」を参考に、高プリン体食品の摂りすぎに注意しましょう。但し、あまり神経質になりすぎず、バランスの良い食事を心がけてましょう。

■運動療法
ウォーキング、水泳、サイクリング、ジョギングなどの有酸素運動を1回30分・週3回程度行うことで、生活習慣病のコントロールを効果的に実施できます。
有酸素運動を継続することは、体重の減少だけでなく、血圧、脂質、血糖値などにさまざまな良い効果が期待できます。
ただし、運動療法を行う際は必ず事前に医師と相談しましょう。また、過度な運動や無酸素運動は、逆に血清尿酸値を上げる恐れがありますので避けてください。

■薬物療法
高尿酸血症の原因には「尿酸産生過剰」と「尿酸排泄低下」の2種類があり、薬にも尿酸の産生を抑えて血清尿酸値を下げる薬と、尿酸の排泄を促進して血清尿酸値を下げる薬があります。
医師は血液検査・尿検査の結果や既往歴などから、どちらの薬が適しているかを判断し処方していきます。

尿酸降下薬を服用することで血清尿酸値が正常範囲(6.0mg/dL以下)に戻ることが大半ですが、これは薬の効果で血清尿酸値をコントロールしているためで、高尿酸血症が完全に治ったというわけではありません。
高尿酸血症は治りにくい病気ですので、そこで服薬を中止したり、薬の量を減らしたりすると、再び血清尿酸値が上がってしまいますので服薬については必ず医師と相談してください。

監修者

木村 眞樹子医師

循環器内科・内科・睡眠科医

木村眞樹子医師

東京女子医科大学医学部を卒業後、循環器内科、内科、睡眠科として臨床に従事している。
妊娠、出産を経て、また産業医としても働くなかで予防医学への関心が高まった。医療機関で患者の病気と向き合うだけでなく、医療に関わる様々な人たちに情報を伝えることの重要性を感じ、webメディアで発信も行っている。

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