【掲載日】2016/08/02   【最終更新日】2023/02/24

鬱病(うつ病)とは

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うつかもと思ったら…うつ病になるのは決して特別なことではありません。

うつ病とは

眠れない、食欲が無い、疲れやすい等、体のサインを見逃していませんか?

うつ病の原因は様々な要因によるものであり判断が難しい疾患の一つです。精神的ストレスや身体的ストレスが与えられることにより、生活に支障がある程度の不調が現れ、脳の機能障害が起きている状態になる精神疾患です。
厚生労働省によると、うつ病を含めた精神疾患により、医療機関にかかっている患者数は、近年大幅に増加しており、平成26年は392万人、平成29年では400万人を超え、増加の一途を辿っています。
また生涯に約15人に1人、過去12ヶ月間には約50人に1人がうつ病を経験しています。ただ、うつ病に罹っている人の1/4程度が医師を受診していますが、残りの3/4は、病状で悩んでいても病気であると気づかなかったり、医療機関を受診しづらかったりして、医療を受けていません。一生のうち一度は陥る非常によく起こる病気でありながらも、受診していない方が非常に多いのが現状の課題と言えます。
うつ病になりやすい方は几帳面で真面目、完璧主義や責任感が強い方が多い様です。このような人の落とし穴は、環境の変化に臨機応変に対応できにくいという傾向があります。人から期待を受ける、仕事を受け過ぎてしまう等のストレスを与えられると体にダメージとして蓄積されます。
通常ストレスによるダメージは自然治癒力によって時間経過と共に回復されるものです。この自然治癒力がうまく働かない状態が続いてしまう状態をうつ病といいます。

うつ病の症状

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うつ病の症状は、「身体の症状」と「心の症状」に分けられます。

  • 心の症状

    いわゆる抑うつ状態となった状態がほぼ毎日、6週間以上に渡って続いた状態となります。うつは分類が非常に難しく、感情精神病、感情障害、気分障害というように大まかに分類されることもあります。
    精神活動が低下し、抑うつ気分、思考力低下、興味や関心意欲の欠如、不安・焦燥、精神運動の制止あるいは激越、食欲低下、不眠等が生じ、生活上の著しい苦痛に悩まされることになります。

  • 身体の症状

    睡眠障害(入眠困難・早朝覚醒・中途覚醒・熟眠障害)、食欲減退(ときに増加)、味覚障害、意欲減退、ED、不感症、月経異常、易疲労感、脱力感、無力感、疼痛(頭痛、頭重感、肩、背中、四肢関節)、胃の痛み、発汗、窒息感、便秘、動悸、息苦しさ、口が渇く等の諸症状が出ることがあります。

    アメリカ精神医学会の診断基準である DSM-5によると気分障害はその症状の現れ方で、大きく大うつ病性障害と双極性障害の2つに分類することができます。

    大うつ病性障害=抑うつだけが継続して起こる状態(いわゆるうつ病)
    双極性障害=躁(ハイテンションで活動的な状態)と抑うつが交互に来る状態

    うつ病イメージ

    双極性障害の場合、躁状態を「本来の自分」と考える為、本人の自覚が無いことがあります。双極性障害はうつ病ではありません。その原因や経過だけでなく、薬や治療法も基本的に異なります。気になる症状があらわれた場合は、医師または薬剤師にご相談ください。

うつ病の症状の詳細はこちら

うつ病の原因

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うつ病になる原因は様々であり、その原因や発症メカニズムについてははっきりとわかっていません。ストレスではなく楽しいことがあったからうつになるというようなケースもあるのです。うつ病を引き起こす原因はひとつではなく、色々な要因が組み合わされて発症してしまうのです。うつ病の原因は主に3つにわけることができます。

  • 心因性うつ 何らかの精神的な負担によって起こるもの(性格環境因性を含む)

    心因性うつでは、過労や対人トラブル、離婚や死別、仕事や財産・健康面等様々なトラブルが原因となるストレスが考えられます。そういった心理的ストレスがかかる環境下により心因性うつが発症します。

  • 外因性うつ 身体の病気が原因で起こるもの (慢性的な身体疾患等の身体因性を含む)

    外因性うつでは疾患が理由によりうつ状態を起こします。
    例としては双極性障害、気分変調症、適応障害、不安障害、統合失調症等の精神疾患、脳血管障害や認知症、甲状腺機能障害、全身性エリテマトーデス、消化器疾患、心疾患、腎疾患、肝疾患、糖尿病等の身体疾患があげられます。他にも、インターフェロンやステロイド剤等の薬の副作用や交通事故での脳損傷による発症もあります。

  • 内因性うつ 脳の神経伝達物質の分泌異常もしくは遺伝的要因で起こるもの

    内因性うつは遺伝や体質等の体内分泌の変化によって引き起こされます。
    脳の中では、情報を伝達するために様々な神経伝達物質が働いており、そのうちセロトニン、ノルアドレナリン、ドパミンは、モノアミンと総称されています。様々な仮説が挙げられていますが、モノアミンの減少により神経伝達物質の伝達がうまくいかない場合や、ストレスホルモンであるコルチゾールが分泌される等の状態が時間経過しても改善せず、悪化してしまう場合には生活への支障が大きくなり、「病気」としてとらえることになります。

うつ病の原因の詳細はこちら

うつ病の検査方法

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外因的うつかの確認の為に、血液検査、身長体重測定、採尿検査、等をすることはありますが、うつ病は目に見えるものではないため、精神科の最も重要な検査は「患者自身から原因を語ってもらうこと」となります。双極性障害ではないか、原因が「外因性・内因性・心因性」のいずれに該当するかによってアプローチ方法が変わってくる為です。

うつ病の診断基準にはアメリカ精神医学会による「DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル」が主に用いられています。

DSM-5におけるうつ病(大うつ病性障害)の診断基準

セルフチェックしてみましょう!
  • □ほとんど1日中、ほとんど毎日の抑うつ状態である
  • □ほとんど1日中、ほとんど毎日の興味または喜びの著しい減退状態である

【2】上の項目を含めて5つ以上に当てはまり、かつ2週間以上続いていますか?

  • □食事療法をしていないのに食欲の減退あるいは増加、体重の減少あるいは増加がある
  • □ほとんど毎日の不眠あるいは睡眠過多(不眠または仮眠の状態)
  • □ほとんど毎日の精神運動性の焦燥(イライラ・あせり・むしゃくしゃすること)または制止(衝動や意欲、自発性を失う等)
  • □ほとんど毎日の易疲労感または気力の減退
  • □ほとんど毎日の無価値感(自分には価値が無いと思うこと)、または、過剰、不適切な罪責感
  • □ほとんど毎日の思考力や集中力の減退または決断困難が認められる
  • □死について繰り返し考える(死の恐怖だけでは無い)、特別な計画は無いが繰り返される自殺念慮、または自殺企画、または自殺するためのはっきりとした計画がある状態である

【1】のいずれかに当てはまり、かつ【2】が5つ以上当てはまる方はうつ病の可能性が高いです。不安な状態が続くようでしたら医療機関への受診をお勧めします。

※大うつ病性障害 Major Depressive Disorder DSM-5 診断基準より

その他の問診では既往歴や投薬歴、思い当たる原因、今困っていることが無いか、人間関係等を包括的に聞いていき、治療法を検討していきます。

うつ病の治療方法

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うつ病の原因が何によるものなのか、その理由によって治療方法は変わってきます。
身体疾患や薬剤が原因で症状が出る場合には、薬剤を中止や変更する可能性があります。治療としては、「休養」「薬物療法」「精神療法・カウンセリング」を組み合わせます。

  • 休養

    「心や体を休める」ということが一番重要な治療となります。 精神的ストレスや身体的ストレスが与えられることにより、生活に支障がある程度の不調が現れます。結果、脳の機能障害が起きている状態となり、うつを引き起こす為、脳のエネルギー欠乏がうまくいくようにすれば改善します。
    ストレス環境下に置かれていた原因が無いところで自然治癒力を高めて本来あるべき状態に戻していくことが重要となります。ただ休養にて症状が治まった方でも元の環境下に戻ったり、ストレスを感じることで再発したりすることがあります。うつを再発すると重症化すると言われています。回復までは焦らずゆっくりと気長に構え、生活のリズムを規則正しくすることを心がけましょう。
    これまでの薬物治療歴・その有効性および副作用について問題無いか等を確認します。

  • 薬物療法

    基本的には休養をしていただくことが重要です。自身が持つ自然治癒力を手助けする目的で薬物治療をします。

    薬では現在は主に新規抗うつ薬(SSRI、SNRI、NaSSA)を使用しての治療が勧められています。その他三環系 (TCA) と四環系と呼ばれる抗うつ薬や、抗不安薬や睡眠導入剤等を用いることがあります。基本は新規抗うつ剤単剤を使用して治療を始め、有用性や副作用によって別の薬に切り替えていく形です。
    SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)…パキシル、ジェイゾロフト、レクサプロ等
    SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤)…サインバルタ、トレドミン、イフェクサーSR
    NaSSA(ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ剤)リフレックス・レメロン
    緊張の緩和や衝動性・気分の制御等を司るセロトニン・ノルアドレナリン神経伝達物質が神経細胞間で多くさせ、伝達をスムーズにする様に働きかけます。

  • 精神療法・カウンセリング

    過去に色々な場面でうまく適応できず、うつ状態になっているような人で、性格面で検討すべき問題がある場合は、精神療法として一緒に考えていく必要があります。
    精神療法としては認知行動療法が有効とされています。認知療法・認知行動療法とは、人間の気分や行動が認知のあり方(ものの考え方や受け取り方)の影響を受けることから認知の偏りを修正し、問題解決を手助けすることによって精神疾患を治療することを目的とした構造化された精神療法です。

    治療の流れ

    1. ①患者を一人の人間として理解し、患者が直面している問題点を洗い出して治療方針を立てる
    2. ②自動思考に焦点をあて認知の歪みを修正する
    3. ③より心の奥底にあるスキーマに焦点を当てる
    4. ④治療終結

    その他「認知行動療法」、「森田療法」、「内観療法」等様々な治療法があります。
    いずれも患者が自信を見つめなおし、自身の活力を見出せるように手助けをしていくという考え方にあります。

  • その他

    その他、経頭蓋磁気刺激法、断眠療法、光療法、電気けいれん療法等があります。
    経頭蓋磁気刺激治療法(TMS) 電気けいれん療法(ECT)を元に考えられた磁気のエネルギーを使って脳を電気刺激する治療法。
    断眠療法(覚醒療法)医師の指示のもとに「夜間に全く眠らない全断眠」をする治療法。

主なうつ病の種類

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最近、うつ病の病名としてポピュラーになった「大うつ病性障害」、「気分変調性障害」(気分変調症)などについてこのページでは説明していきます。

大うつ病性障害

うつ病は、現在では、気分障害のなかの「大うつ病性障害」として診断されるようになってきています。
また、症状が発現しているという意味で「大うつ病エピソード」、躁うつ病の「混合エピソード」との対比で「単一エピソード」という診断名も、よく見られるようになってきました。
さらに、症状が軽いうつ病に「軽症うつ病」、長く続く軽いうつ状態(以前は「抑うつ神経症」(神経性抑うつ)と呼んでいました)に「気分変調性障害」(気分変調症)という診断名を使うことも多くなってきています。

気分変調性障害

気分変調性障害とは、うつ病の診断基準を満たさない程度の軽いうつ状態が、長期間(児童・青年期では少なくとも1年間、成人では少なくとも2年間)持続している状態をいいます。気分変調性障害は、気分変調症や抑うつ神経症とよばれることもあります。

気分変調性障害の原因としては、うつ病と同じ場合と性格の偏りによる場合が考えられています。

JCVNで募集しているうつ病関連の治験ボランティア

・大うつ病性障害患者の方
・うつ病(双極性障害)の方

大うつ病については年間を通してボランティア募集を行っておりますが、時期によりすぐにご案内できないこともありますので予めご了承下さい。

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