【掲載日】2022/04/15   【最終更新日】2023/08/17

耳鳴りの治し方 | 原因と効果的な対処方法を解説!

耳鳴りはなぜ起きるのか?

耳鳴りの種類

「音」が聞こえるためには、音の素となる空気や物体の振動が耳を通過して鼓膜に伝わり、耳小骨によって増幅された振動を蝸牛によって電気信号に変換され、神経を通って脳に伝わる仕組みにより、はじめて「音」として認識されます。
耳鳴りとは、実際には聞こえていない音が、主に自身にだけに聞こえるような症状です。そのため、主に「音」が聞こえるようになる仕組みに異常がある場合に、耳鳴りが起こりやすいと考えられています。
また、耳鳴りの種類は大きく3種類に分けられ、誰にでも起こりうる生理的な耳鳴り、聴診器などで第三者も認識可能な他覚的耳鳴、自分自身だけに聞こえる自覚的耳鳴があります。

耳鳴りの症状

音のない静かな場所で「シーン」と聞こえるような音がするものを生理的な耳鳴りといいます。
これは病的な症状ではなく、誰にでも起こりうる自分にしか聞こえない一過性の耳鳴りです。
反対に病的な耳鳴りとは、日常生活に支障が出たり、なんらかの病気や機能の低下が要因となり発症するもので、血流音や筋肉の収縮音など雑音を発する原因が明確で、聴診器などを使用して音を増幅することで他の人にも聞くことができる他覚的耳鳴と、「ザー」、「ゴー」といった低音や、「キーン」、「ピー」と言った高音で表現されるような音が自分自身だけに聞こえる自覚的耳鳴があります。

耳鳴りの原因

耳鳴りは、振動を音へと変換するメカニズムのどこかで機能障害が起こっているためだとされています。また、耳鳴りの9割以上が難聴と関連しているとの見解もあります。難聴とは老化や聴覚機能の低下により音が聞こえづらくなることです。難聴により聞こえにくくなる音域は人により異なりますが、主に加齢による難聴では高音域が聞こえにくくなると言われています。このような聞こえにくい音があると、脳は聞こえにくい音域部分を補完しようと電気信号を受信する機能が過敏になり、過度に電気信号を増幅させようとします。本来音がなっていない状態でもこの作用により「音が鳴っている」と認識してしまうことが耳鳴りとなって現れます。

耳鳴りを起こす外的要因

耳鳴りはさまざま要因によって引き起こされていると考えられ、原因を断定することは難しいと言われています。日常生活においても耳鳴りを起こす身近な外的要因はいくつも潜んでいます。耳鳴りを引き起こしやすい代表的な以下の環境や状況が、身の回りで起きていないか確認してみましょう。

・体の冷え

寒さで体が冷えると筋肉がこわばったり、血管が収縮して血流が悪くなったりします。
酸素や栄養は血流とともに運ばれるため、耳への血液が不足すると音を感じ取るための細胞への供給が不足してしまい、聴力が低下する傾向にあります。また、こわばりによる内耳付近の筋肉の収縮音が雑音として感じ取られ、耳鳴りを引き起こすこともあります。

・気温差

暑い日差しの屋外からエアコンの効いた涼しい屋内へ入るなど、気温差が急激に大きくなると体温をコントロールしようと自律神経が過剰に働き、体が過度に疲れてしまう「寒暖差疲労」と呼ばれる状態になります。自律神経が乱れると体のさまざまな部分で不調が起こり、耳鳴りもその不調の一つとして現れる場合があります。

・気圧の急激な変化

飛行機で移動していると耳が痛くなったりキーンと響いたりするように、耳には気圧を感じる機能があります。悪天候や台風などによる気圧の低下により、体内の細胞や血管は膨張します。膨張した細胞や血管が付近の神経を圧迫し、耳鳴りが生じる恐れがあります。

・大きな音やストレス

ライブ会場での大きな音や、工事現場などの激しい騒音を聞いたあとに聴力が低下することがあります。これらは音響外傷と呼ばれ、大半は一時的な聴力低下で自然に治まりますが、長時間大音量にさらされたりするなどで内耳から脳へ音を伝える役割を担う有毛細胞が傷ついてしまうと、上手く音を脳に伝えられなくなり耳鳴りが起きたりします。

耳鳴りの治し方・対処方法

日常生活でできること

耳鳴りは聴神経や脳の過剰反応や電子信号の誤認識によるものが大半です。そのため、静かなところで安静にするなど、過敏になっている体の機能を落ち着かせることが重要です。

・休息をとる

家事や仕事の合間に適度な休息時間を設け、夜は十分な睡眠時間を確保しましょう。規則正しい生活と、活動にメリハリをつけることで自律神経を整え、耳鳴りの症状緩和につながります。

・体の緊張をほぐす

体が常に緊張状態になっていると、自律神経が敏感になったり筋肉がこわばることで血管が収縮し、血流が悪化したりします。深呼吸をして心にゆとりを持ち、軽いストレッチなどで緊張をほぐすと良いでしょう。

・日常の疲労やストレスを溜めない

耳鳴りは疲労やストレスを溜め込むことで発症することもあります。趣味を楽しんだりショッピングで気分転換をするなど、ストレスを軽減するように心がけましょう。

・血行をよくする

血行が悪くなると聴力が低下する場合がありますので、体の冷やし過ぎは厳禁です。体を適度に温めたり、軽い運動をしたりして血の流れを良くしましょう。また、長めの半身浴やマッサージなども血の巡りの改善につながります。

・耳鳴りを意識しない

耳鳴りはとても不快に感じてしまいますが、耳鳴りを気にするストレスによって 耳鳴りがさらに悪化するという悪循環が生まれてしまいます。適度な音量でBGMを 流す、ラジオを聞く、テレビを見るなど、自然音のある環境を作りましょう。耳鳴り 以外のことに集中し、気晴らしをするなど気持ちを切り替えることで耳鳴りを軽減できます。

・喫煙やカフェイン摂取を控える、ビタミンB12を摂取する

喫煙には血流を悪化させる作用があり、カフェインの過度な摂取は脳を興奮状態にしてしまい、眠れなくなってしまうことがあります。喫煙や睡眠前のカフェイン摂取は なるべく控えましょう。また、貝や青魚などに含まれるビタミンB12には末梢神経の 代謝を改善する作用があり、耳鳴りの治療薬としても使われていますので、食事のメニューに取り入れることも効果的です。

耳鳴りの治療方法

医療機関での治療法は、内耳や神経作用を活性化させる薬物療法や、特殊な機器を用いる音響療法、耳鳴りを誘発させる症状への対症療法が採用されます。

  • 薬物療法・・・ビタミン剤、末梢循環改善薬、抗不安薬、睡眠導入剤など
  • 音響療法・・・耳鳴りに慣れることを目的とした治療
  • 心理療法・・・不安を和らげて耳鳴りによる苦痛を 軽くする治療
  • 原因となる病気の治療

突発性難聴、急性音響外傷、騒音性難聴、内耳炎など
→副腎皮質ホルモン剤、血流改善薬、神経賦活薬、ビタミン薬

メニエール病
→低浸透圧利尿剤

精神科的治療
→抗うつ薬、抗不安薬、睡眠薬

手術による原因療法
→慢性中耳炎(鼓室形成術)、耳硬化症(アブミ骨手術)、外リンパ瘻(内耳窓閉鎖術)、メニエール病(内リンパ嚢開放術)

耳鳴りの症状が起きる病気

耳鳴りの症状が起きる耳の病気

音となる振動は、「外耳」、「中耳」、「内耳」といった耳の経路を通ることで聞こえています。
そのため、聴覚機能の低下や障害が起きている場合はこの経路に異常が起きていることが多いです。耳鳴りとの関係が密接な病気は以下の通りです。

外耳の病気・・・外耳道炎、耳垢栓塞、異物、外耳道真菌症
中耳の病気・・・中耳炎、耳硬化症、耳管狭窄
内耳の病気・・・薬剤性内耳障害、メニエール病、突発性難聴、老人性難聴、内耳炎
聴覚路障害・・・髄膜炎、聴神経炎、脳梗塞、聴神経腫瘍

耳鳴りの症状が起きる耳以外の病気

耳鳴りは聴覚機能の異常や神経、血管と密接な関係があるため、関連する症状が耳鳴りを誘発させることがあります。

  • 高血圧症、糖尿病
  • 認知症
  • 貧血
  • 心臓病
  • 自律神経失調症
  • 更年期障害

まとめ

耳鳴りの治し方は、自身で対処できる方法から医療機関で処置する方法まで多岐にわたります。
何が原因で耳鳴りが起きているのかを早めに見極め、適切な治療方法を選択しましょう。

耳鳴りの基礎知識ページに戻る

耳鳴りの基礎知識一覧

人気の記事

治験ボランティア登録はこちら

フリーダイヤル0120-189-408

営業時間(月~金)10:00 - 18:00

治験ボランティア登録

その他の病気の基礎知識を見る

こちらもよく読まれています

治験情報一覧

治験ボランティア・モニター参加者募集

  • フリーダイヤル0120-189-408