【掲載日】2022/05/27
めまいの漢方治療法や処方方法をご紹介
めまいの症状
回転性めまい
自分自身、あるいは目の前の視界がぐるぐる回っているように感じるめまいです。耳鳴りや難聴が伴う場合もあり、主に耳に異常があることが原因で発症します。
浮動性めまい
体がフワフワと浮いているような感覚や、揺れている感覚が特徴的で、頭痛や手足のしびれを伴う場合があり、主に脳に異常があることが原因で発症します。
中間型めまい
回転性めまい、または浮動性めまいのどちらかに正確に判別できない場合や両方の特性が診られる場合に分類されます。
眼前暗黒・失神感
立ち上がった瞬間にくらくらと感じたり、目の前が暗くなるように感じたりするもので、時に失神に至る場合もあります。主に起立性調節障害や、低血圧などが起因して発症します。
また、めまいを引き起こす原因となった器官によって、めまいを分類することができ、平衡感覚を脳に伝える器官の障害によるめまいを「前庭性めまい」と呼び、脳の障害によるめまいを「中枢性めまい」、内耳や神経の障害によるめまいを「末梢性めまい」にそれぞれ区別されます。また、貧血、精神疾患、婦人科疾患、自律神経障害など、全身のいずれかの異常により発症するめまいを「非前庭性めまい」と呼びます。
めまいの原因とは?
めまいは、目から入る情報と脳が認識した情報に「ずれ」が生じ、自身の平衡感覚を正しく認識できない状態となった場合に起こります。乗り物酔いや高所から見下ろした際に起きるめまいは、一時的な生理現象なのですぐに治りますが、頻発する発作的なめまいや、長期間めまいの状態が続く場合は、体の異常が原因となって引き起こしている可能性があります。
ストレスや自律神経の乱れ
自律神経は様々な機能をコントロールしていますが、疲労や生活習慣の乱れ、ストレスなどでその機能が低下してしまい、めまいの発症や習慣化の原因になるといわれています。
耳の異常や病気
耳の奥にある内耳には耳石器と三半規管といった平衡感覚を感じ取る器官があり、これらに異常があるとめまいが起こることがあります。また、耳の病気である前庭神経炎、メニエール病、突発性難聴なども、めまいの原因とされています。
脳やその他の部位の病気
脳幹や小脳も平衡感覚を伝達する神経と密接な関係性の器官であるため、脳内の出血や血管が詰まるといった心血管疾患があった場合にめまいを発症します。また、貧血、精神疾患、婦人科疾患、自律神経障害などの症状もめまいの原因となる場合があります。
血圧の低下
臥位(寝た状態)や座位(座った状態)から急に体を動かすと、脳へ血液を送るために血圧を一時的に上げる必要があります。体の不調や自律神経が乱れなどで血圧調整がうまくいかず、脳への血流が不足し貧血状態となってしまい、めまいや立ちくらみが起きることがあります。
酒やタバコ
アルコールを大量に摂取してしまうと、平衡感覚を維持する三半規管に支障をきたします。またタバコに含まれる成分のニコチンは、血管を収縮させて血流の低下や酸素不足を引き起こします。
めまいの改善方法とは?
ビタミンB群を取り入れる
ビタミンB群に含まれるビタミンB12は、欠乏することで神経痛や神経麻痺といった神経障害を引き起こすと言われています。ビタミンB群は豚肉、レバー、魚介類、納豆などに多く含まれるので、ビタミンB12を摂取し耳鳴りの原因となる前庭神経や自律神経の低下した機能を回復させましょう。
ストレスの解消とリラックス
自律神経の乱れはストレスが大元となっていることが多いため、日々の生活のなかで、リラックスや息抜きができる休息タイムや、自分の好きなことや軽い運動をする気分転換タイムを作れるように意識しましょう。
禁煙、禁酒活動
過度なアルコールや喫煙は万病の元です。お酒や喫煙の頻度や量を減らして徐々に慣らしていき、できれば禁煙・禁酒できるように努力しましょう。
めまいの漢方治療法
病気が原因ではなく、疲労や生活習慣の乱れによって引き起こされるめまいの場合は、漢方薬が推奨されます。漢方医学において、人体は「気・血・水」によって構成されていると考えられ、「気」は臓器や神経、「血」は心血管やホルモンバランス、「水」は利尿作用やリンパ液などの体内のあらゆる水分を指しています。
めまいは、この内の「血」と「水」に異常がある状態と考えられているため、この機能を整える効果のある漢方が用いられます。
めまいに効く漢方の処方方法
めまいの大半は「水」に関連するものが原因で起こると考えています。体内に溜まってしまった余分な水分が、耳のリンパ液の循環に影響を及ぼしめまいを引き起こすという考えかたです。
そのため、体内の水分を汗や尿として体外に排出する作用のある漢方薬を使用します。
真武湯(しんぶとう)
ふわふわと浮遊感のある「浮動性めまい」に有効
沢瀉湯(たくしゃとう)
ぐるぐる回っているように感じる「回転性めまい」に有効
苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)
立ちくらみのような「起立性めまい」に有効
半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)
胃腸機能の低下や胃アトニーなどのある体質のめまいに有効
五苓散(ごれいさん)
利尿作用のある様々な症状に有効な漢方で気圧や天候に関するめまいに有効
また、「血」が関連するめまいは、充血や貧血、冷え性などが原因と考えられています。
したがって、血流や血圧などの血液循環を促す作用のある漢方が効果的です。
黄連解毒湯(おうれんげどくとう)
炎症と充血のためにのぼせた症状のあるめまいに有効
桂枝茯苓丸料(けいしくぶりょうがん)
全身の血液の運行が滞った瘀血症状のあるめまいに有効
釣藤散(ちょうとうさん)
頭痛や肩こりを伴うめまいに有効
四物湯(しもつとう)
「血」が不足している血虚を伴うめまいに有効
そのほか、「水」と「血」の双方が関連する、あるいはどちらとも区別がつかないような症状では、それぞれの漢方を合方すると有効です。
当帰芍薬散料(とうきしゃくやくさん)
冷え性を伴うめまいに有効
連珠飲(れんじゅいん)
「四物湯」と「苓桂朮甘湯」を組み合わせたもの
五苓散合四物湯(れんじゅいん)
当帰芍薬散に桂枝、猪苓、地黄を組み合わせたもの
まとめ
漢方薬での治療法は、薬物療法よりも負担が軽く気軽に取り組むことができますが、自身の症状が漢方の効能に適した病態でない場合には効果がほとんどありません。
自身のめまいがどのような原因で誘発されているか、使用する漢方にはどのような効能や作用があるのかを一度調べてから漢方療法を始めましょう。
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