【掲載日】2022/06/14

めまいがする病気とその原因とは

めまいとは

めまいとは、自分または周囲が実際には動いていないにも関わらず、視界が動く、あるいは自分自身が動いているかのように錯覚する症状を指します。
めまいの症状には、目の前の視界がぐるぐる回っているように感じる「回転性めまい」と、体がフワフワと浮いているような感覚や、自分自身が揺れているような「浮動性めまい」の二種類に大きく分類することができます。
また、めまいを引き起こす原因となった器官によってめまいを分類することができ、平衡感覚を脳に伝える器官の障害によるめまいを「前庭性めまい」と呼び、脳の障害によるめまいを「中枢性めまい」、内耳や神経の障害によるめまいを「末梢性めまい」にそれぞれ区別されます。また、貧血、精神疾患、婦人科疾患、自律神経障害など、全身のいずれかの異常により発症するめまいを「非前庭性めまい」と呼びます。

めまいの原因

めまいは、目から入る情報と脳が認識した情報に「ずれ」が生じ、自身の平衡感覚を正しく認識できない状態となった場合に起こります。この誤認識は脳や耳の病気や機能の異常、ストレス、睡眠不足などが引き起こすものと考えられています。
最も多いめまいの原因は、身体の平衡感覚を司る耳や脳などの器官の異常と考えられています。耳の内部にある三半規管や耳石器では動作や身体の傾きを感じ取り、脳ではそれらの動作や、視覚から得られる情報を統合して自分の姿勢を把握しています。つまり、耳または脳の一方、あるいは両方に異常が見られると、相互の情報に「ずれ」が生じてしまい、整合性が取れずにめまいを引き起こしてしまうと考えられています。
また、疲労やストレス、生活習慣の乱れは、情報を伝達する前庭神経や身体をコントロールする自律神経の機能を低下させてしまい、めまいの原因につながるとも言われています。

脳が原因のめまい

脳貧血

脳への血流が不足してしまうと貧血になり、めまいを引き起こすことがあります。
貧血は、主に血圧が下がったり血流が悪かったりといったことが原因とされ、日常生活の中で血圧が急激に下がってしまう状況は、横になった状態や座った状態から急激に立ち上がろうとする、長時間立っている状態が続く、夜中に尿意を催して起きた直後に尿を一気に放出する、お風呂で長湯をしてのぼせてしまう、といったケースが挙げられます。
多くの貧血の場合は一過性の症状であることがほとんどのため、少し安静にしたり横になって休憩したりすることですぐに治まりますが、体の不調や自律神経の乱れ、老化や脱水症状などにより血圧の調整や血流の循環が鈍くなってしまっている状態での貧血では、脳への酸素の供給が不足し、脳が酸欠状態となって立っていられなくなるばかりでなく、ひどい場合には失神に至ることもあります。

慢性脳循環不全

脳出血や脳梗塞などの脳血管障害の総称を脳卒中と表していますが、慢性脳循環不全も脳卒中の一つです。過去には脳動脈硬化症とも呼ばれ、老化に伴う血管内の硬化や、コレステロールなどの脂質の滞留により血管の内壁に厚みがでたり血管の内径が狭くなったりすることで血流が悪くなる状態を指します。高齢者や女性、高血圧や糖尿病の診断がある方に発症する傾向があり、頭痛、頭重感、めまい、手足のしびれなどの症状が表れます。悪化してしまうと脳梗塞を引き起こす可能性があるため、予兆を感じた場合には速やかに診察を受けましょう。

耳が原因のめまい

メニエール病

めまいの原因となる代表的な耳の病気がメニエール病です。メニエール病はストレスや疲労などの理由によって、内耳の三半規管と蝸牛の間に存在する前庭にリンパ液が増えてしまい水ぶくれのような状態になる症状です。主な症状は、視界がはっきりグルグルと回るように感じる激しい回転性めまいと難聴や耳鳴りがみられ、強い吐き気や嘔吐を伴うこともあり、発症中は頭を動かすだけでもめまいがひどくなり歩行することも困難となります。症状が一時的に治まっても間隔的に繰り返され、発作が何回も起こるにつれてめまい発作時以外でも耳鳴りや難聴が見られたり、聴力が段々と弱くなったりする場合があります。

良性発作性頭位変換性めまい

良性発作性頭位変換性めまいとは、寝返りをうった時や頭の位置を変えた時に、内耳にある「耳石器」から耳石の一部がはがれ落ちてしまい、その破片が半規管に誤って入った際の刺激により回転性めまいを引き起こしてしまう症状です。このめまいの特徴は、症状は数十秒程度で治まること、頭の位置を変えなければめまいが起こらないことなどが挙げられます。
めまいの原因としてはメニエール病より多いですが自然治癒する病気であり、悪化したり後遺症が残ったりするものではなく、数週間で治るものがほとんどです。
また、めまいを起こらなくする運動療法(めまい体操)や、体勢を変えたり頭部を動かしたりして三半規管に入ってしまった耳石を移動させて戻す方法(エプリー法)や耳石を拡散させる方法(ブラント・ダロフ法)などの薬物療法以外の治療法もあります。

前庭神経炎

メニエール病と同様に前庭に異常が起こって起こるめまいとして、前庭神経炎があります。
メニエール病のような難聴や耳鳴りは伴わず、激しい回転性めまいと吐き気、嘔吐が何日も続くような症状があります。明確な原因はわかっていませんが、主に風邪を始めとするウイルス感染症の後に体内に残ったウイルスが、前庭神経に入って炎症を引き起こす説が有力だと考えられています。
良性発作性頭位変換性めまいとは異なり、安静にしても症状は治まらない反面、動いてしまうと症状がさらに悪化してしまいます。また、症状が強い場合は入院が必要となるほど動けなくなることもあり、ステロイド薬、抗めまい薬、循環改善薬を主とした薬物療法によって治療しますが、神経の炎症によってめまいが改善されてもふらつく感覚が後遺症として残る場合があり、リハビリが必要となるケースもあります。

外リンパ瘻

内耳には外リンパ液と内リンパ液があり、何らかの理由で外の中耳腔側に漏れ出してしまい、その刺激によってフラフラ感、くらくら感などの朦朧とするようなめまいや、難聴、耳鳴りが引き起こされる病気を外リンパ瘻といいます。
咳やくしゃみ、強く鼻をかむ、ダイビングや飛行機の離着陸時など、耳や鼻に強い圧がかかった際に瘻孔と呼ばれる小さな穴上のものが生じてしまい、そこからリンパ液が漏れ出すものと考えられています。
ほとんどの場合では自然回復に至りますが、大きな瘻孔が確認されたり症状の改善が見られたりしない場合は手術が必要となります。

その他のめまい

めまいはストレスや寝不足、疲労なども原因の一つと言われています。とくに三半規管はストレスに弱く、過労や心労の蓄積により過敏に反応することがありますので、めまいを感じる方は十分な睡眠を取り、心身を休めることを心がけましょう。
また、過度な喫煙は血流を悪化、飲酒は平衡感覚を損なうことに繋がりますので、タバコやアルコールを嗜む方は頻度を減らしたり控えたりするように注意しましょう。

めまいの対処方法は?

1.安静・水分摂取

めまいを感じたら、第一に安静にしましょう。立っていたり歩いていたりするとバランスを崩して転倒してしまう可能性があるため、座るか、可能であれば横になる体制を取りましょう。ポイントは頭の位置を低くすることが大切です。また、脱水を原因としてめまいが起こっている場合もありますので、適量の水分を摂取してください。

2.目・耳に入る刺激を避ける

自律神経が過敏になり刺激を受けやすい状態の可能性があるので、部屋を暗くしたり音楽を消したりなど、目に入る光、耳に入る音といった五感を刺激するような直接的な情報をなるべく避けてください。

3.ストレス解消と、規則正しい生活

一過性のめまいは自律神経の乱れが原因となっていることもあり、自律神経の機能はストレスや不摂生により低下することがあります。早寝早起きや、適度な運動と休息、適切な食事を摂るなどの規則正しい生活を取り入れ、ストレスを溜め込まないように日頃から心がけましょう。

4.急な動作を控える

頭部を激しく動かしたり体勢を急に変えたりすると、耳石やリンパ液、貧血など予期せ ぬ体の異常を引き起こす可能性があります。めまいをよく感じる方は、体勢を変える際 にはゆっくり動くように注意しましょう。

5.医療機関を受診する

めまいが長期間続く、あるいは治まったり発症したりを頻繁に繰り返す場合には、体の隠れた病気や症状が原因でめまいを引き起こしている可能性がありますので、速やかに医療機関を受診してください。

まとめ

めまいは様々な要因で引き起こされるために、原因を特定することが難しい症状の一つです。
目に見えない病気が起因している場合もありますので、めまいを頻繁に感じる方は医師に相談し、速やかに診断を受けましょう。

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