【掲載日】2023/10/30
骨粗鬆症の薬の分類と副作用を紹介!
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骨粗鬆症とは
健康な状態の骨は、内部の骨組織の密度が高いために、外部から多少の衝撃を当てられても骨に影響はありませんが、骨粗鬆症になってしまうと骨密度が低下してスカスカの状態になってしまい、転んだり手や肘を少しぶつけるだけでも骨折したりするようになってしまいます。
骨粗鬆症の多くは、加齢や閉経による女性ホルモンの低下、喫煙や過度な飲酒などの生活習慣などが原因で発症する「原発性」に分類されることが多く、糖尿病などの生活習慣病、関節リウマチなどの免疫疾患といった特定の病気や薬の副作用が原因となる「続発性」は全体の割合のごく一部となります。
骨粗鬆症の薬の分類
通常、骨は成長とともに太く大きく変化していきますが、生まれた時の骨が大人になったときの骨と同一ではありません。骨は常に新陳代謝を繰り返しており、「破骨細胞」によって古い骨が壊され(骨吸収)、「骨芽細胞」によって新しい骨が作られています(骨形成)。
この破骨細胞と骨芽細胞の働きのバランスが崩れてしまい、うまく新しい骨が形成されないと骨粗鬆症になってしまうので、骨粗鬆症の方にはこれらのサイクルのバランスを整えたり、新陳代謝を促進させたりする作用が含まれる薬を使用します。
骨を壊す働きを抑える薬
ビスホスホネート
経口、注射、点滴のいずれの方法でも投与可能であり、破骨細胞に作用して過剰な骨吸収を抑えることで骨密度を強くする薬です。
食事後に服薬すると効果が少なくなる特徴があるため、朝食前の空腹時に服薬する必要があります。また、食道などに成分が残ってしまうと炎症を起こしてしまい、食道炎や潰瘍ができたりする恐れもあります。
デノスマブ
半年に1回、医療機関で皮下注射する薬で、破骨細胞の形成や活性化に関わるたんぱく質に作用して、骨吸収のはたらきを抑制します。骨密度を上げる効果は高いので比較的重症の方に処方され、投与する頻度も間隔が長いので負担も軽く使いやすい薬です。
SERM
女性ホルモンのエストロゲンは骨の新陳代謝と関連性があるため、加齢や閉経に伴ってエストロゲンが減ってしまうと破骨細胞が活発化し、骨芽細胞の働きが追いつかなくなるため新しい骨が形成されなくなってしまいます。
SERMにはエストロゲンと似た作用で骨密度を増加させるため、閉経後の50~60歳代の女性に使われています。
骨を作る働きを高める薬
骨の形成作用が弱いと骨の密度が低くなってしまうため、骨粗鬆症の治療薬である「副甲状腺ホルモン薬」や「ビタミンK2製剤」を使用することで新しい骨をつくる骨芽細胞を活性化させ、骨の形成作用を促進することができます。特に、「副甲状腺ホルモン」は患者さん自身が1日1回注射をする皮下注射剤と、週1回医療機関で皮下注射してもらうタイプがあるため、生活状況などに合わせて薬剤を選択することができます。
骨の作り替えのバランスを整える薬
通常、骨は細胞の破壊と形成を繰り返して丈夫な骨へと成長していきますが、加齢やホルモンの低下などにより形成サイクルのバランスが崩れてしまうと、骨を再生する働きが骨を壊す働きに追いつかなくなっていき、次第に骨粗鬆症が進んでしまいます。
そのため、骨の破壊と作る働きのバランスを調整する薬である「活性型ビタミンD3薬」には、破骨細胞の働きを抑えるとともに、カルシウムが小腸から吸収される作用を促進させ、骨を作る働きを円滑にする効果が含まれています。
骨粗鬆症の薬の副作用
骨粗鬆症の治療で使用される薬剤は、骨密度がすぐに上がるような即効作用はなく、長期的な治療で徐々に回復を図るものが多いです。そのため、投薬期間中は副作用を引き起こさないために様々な注意を向けなければなりません。
骨粗鬆症治療薬として一般的なビスホスホネート製剤は、体内に吸収されにくい成分でできているため、食事の前後に摂取するとさらに吸収率が下がってしまい、食道や胃に残留したものが消化器の粘膜に張り付き、場合によっては潰瘍を形成してしまう可能性もあります。
また、骨粗鬆症治療薬を使用している期間に歯科治療を合わせて行うことは危険ともされています。
薬剤が持つカルシウムの流出を抑制する作用が抜歯後にも影響してしまい、歯茎の回復が遅くなったむき出しの歯肉に細菌が感染し、炎症により顎の骨が腐る顎骨壊死を引き起こしてしまうといったケースも報告されています。
まとめ
骨粗鬆症の治療は、薬剤によって回復がある程度見込まれるものの即効性のような作用は持ち合わせていないため、長期的かつ継続的に治療と向き合っていかなければなりません。
また、表面上の異常が見られる病気でもないため、定期的な診断を受けなければ骨粗鬆症と気づくこともなく、進行具合も分かりづらい症状です。
骨の形成サイクルが低下する高齢者は、1~2年に1回を目安に骨密度検査を行い、骨粗鬆症と診断された場合は医師と相談して適切な薬剤を選択しましょう。
著者情報

JCVN編集部
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