【掲載日】2022/11/14

頻尿の原因・対処法は?セルフチェックで病気がわかる!

頻尿とは?

頻尿とは、排尿回数が多い、尿意を短時間で何度も感じる、急な尿意により我慢できずに失禁してしまう、などといった排尿障害です。正常な排尿回数は、1日に7回以下と言われており、起床後から就寝するまでの排尿回数が8回以上の場合に頻尿とみなされます。また、日中の頻尿と、就寝中に排尿のために起きてしまう夜間頻尿に分類することができます。
しかし、生活習慣や気候要因、個人の身体能力によってこの定義に当てはまらないこともあり、一概に排尿回数だけで決められるような症状ではありません。そのため、排尿が1日8回以上でも頻尿ではない場合や、7回以下でも頻尿の可能性が高い場合もあります。

頻尿の原因は?

過活動膀胱

過活動膀胱(OAB)は、何らかの理由で膀胱の収縮運動が過敏な状態となり、膀胱に尿が十分に溜まっていないにも関わらず頻繁に尿意を生じさせてしまう疾患です。また、一回の排尿量が減り、短時間の間に何度もトイレに行きたくなるのが特徴です。
40歳以上の中高年層に多く見られ、肥満や加齢、便秘・高血圧・糖尿病との関連、過度な飲酒、喫煙、運動不足などにより、膀胱の血流低下で膀胱の神経が傷ついたり硬くなったりすることが原因とされています。また、男性の場合は前立腺肥大症が原因となることもあります。

『過活動膀胱』(OAB)とは?頻尿などの症状と原因・治療方法について

膀胱炎

膀胱炎は尿道を通って膀胱内に細菌が入ってしまうこと(尿路感染)により生じる炎症で、細菌が膀胱の知覚神経を刺激し、過敏な状態となって頻尿や残尿感、排尿時の痛み、血尿などの症状が引き起こされます。
疲労が溜まって睡眠不足が続いていたり、精神的ストレスを感じていたりなどで免疫力が低下している状態であると細菌に感染しやすいと言われていますが、特に女性の場合は尿道から膀胱までの距離が男性よりも短く、生理、妊娠、出産時に膀胱炎が起こりやすいと言われています。

前立腺肥大症

前立腺は膀胱の下部、尿道括約筋の奥に位置していますが、加齢や男性ホルモンの変化により前立腺が肥大化してしまうことで尿道が圧迫され、排尿時にいきむ、途切れる、勢いがないなど全量排尿を妨げてしまいます。また、十分に排尿ができないことで膀胱内に尿が残留した状態が続いてしまい、排尿後に残尿感が残ったり、新たに尿が生成されたりすることで尿意を早い段階で感じやすくなってしまうなど、前立腺肥大症患者の50~70%に過活動膀胱の症状が見られます。
主に中高年男性特有の症状で50歳を超えると急激に発症率が増加し、はっきりとした原因はまだ分かっていませんが、男性ホルモンであるテストステロンの影響や加齢、食生活の欧米化が関連しているとされています。

子宮筋腫

子宮筋腫は、子宮壁の筋肉が何らかの異常で硬質化・肥厚化した、こぶのような良性の腫瘍です。原因ははっきりとはわかっていませんが、卵巣から分泌される女性ホルモンが影響し、筋腫が発育すると考えられています。
子宮筋腫が進行してさらに大きくなると、次第に膀胱が圧迫されるようになり、男性の前立腺肥大症と同様に頻尿の症状が表れることがあります。なお、初期の子宮筋腫では、外部の衝撃で膀胱が筋腫に押されて刺激を受けることによる不意の尿失禁の症状が見られますが、筋腫が大きくなるにつれて尿道の下位置を圧迫する形となると、尿が出にくくなる症状に変わっていきます。
なお、子宮筋腫自体の症状がまったく出ない人も多く、これらの頻尿症状や貧血、便秘などの合併症状が受診のきっかけになることも少なくありません。

水分の取り過ぎ

頻尿の原因として最もシンプルなものは、飲み物や水分を過剰に摂取することによる尿の多量生成によるもので、膀胱や腎臓機能に異常がなくとも必然的に排尿回数が増加します。特に、コーヒーやビール、ワインなどの飲料に含まれるカフェインやカリウムには利尿作用があるため、飲みすぎてしまうと排尿回数が増えてしまいがちです。
また、美容や健康のためにと沢山飲水をしても、不要な水分は尿や汗となって体外に排出されます。単純な水分量の摂取と利尿作用の相乗効果により頻尿症状を悪化させる可能性がありますので、必要以上の水分摂取は控えましょう。

身体の冷え

冷たい海に入ったり、冬場の外気温にさらされ続けたりすることで体温が低下してしまうと、筋肉が縮こまってしまうのと同様に膀胱の収縮作用も強くなり、尿意を促して頻尿となることがあります。また、排尿には、自律神経の交感神経(膀胱に尿を留める働き)と副交感神経(排尿させる働き)が大きく関わっているため、身体が冷えた状態では血行が悪くなり、自律神経が乱れることもあります。
その他の理由として、人間は体温調節のために汗をかきますが寒い場所では必然的に汗をかきにくい状態となります。発汗しない分の体内の水分は尿として生成されるため、寒い場所では尿意を感じやすくなってしまいます。

緊張

大一番の場面や、一人で大勢の人前に立つ面など、慣れないことやプレッシャーのかかる大事な局面では緊張をするものです。適度な緊張感を持って望むことは、真価を発揮しやすいと言われていますが、緊張の度が過ぎてしまうと交感神経が過剰に活発してしまい、身体に悪影響をもたらすことがあります。筋肉に関しては、細胞が緊張して動作がぎこちなくなるため、膀胱の周辺にある排尿筋は、通常尿を溜めるために弛緩していますが、緊張により筋が収縮してしまい、尿が溜まっていなくても尿意を催してしまいます。

ストレス

心配事や不安を感じてしまうと無意識に体にストレスがかかってしまいます。
ストレスを感じる場面では、病的な所見がなくとも一時的に頻尿状態になることがあります。
例えば、長時間の拘束が強いられる場面で、一時的にトイレにいけなくなってしまうと考えて逆にトイレに行きたくなったり、初めて訪れる建物や見慣れない場所でトイレが近くにないか不安に感じて尿意を催したりしてしまう、といったような状態です。
心理的要因が慢性的な頻尿や夜間頻尿を引き起こすことは殆どなく、大事な場面を終えた次の日には頻尿が治まっていることが多いです。

簡単セルフチェック

頻尿であるかどうかの基準は、日中トイレに行く回数が8回以上であることを目安としています。
自身が頻尿に当てあまり、その原因として過活動膀胱の症状が原因ではないかを確認するには、それぞれの頻尿症状の頻度をチェックすることで判断できます。
下記の質問は過活動膀胱症状質問票(OABSS)と呼ばれるチェックリストであり、1~4で当てはまる回答をひとつずつ選び、最後に点数を合計してください。
「合計点数が3点以上」もしくは「質問3で2点以上」の場合、過活動膀胱が疑われます。

簡単セルフチェック

頻尿の対処法

過活動膀胱の場合

・適量の水分摂取
頻尿は多量の水分摂取が原因となる場合が多いため、頻尿の症状があると、水分摂取を控えてしまいがちです。しかし、極端に水分を摂らないでいると血栓や心筋梗塞、免疫力低下による感染症罹患など深刻な状態になりかねません。水分の摂取量目安は1日1.5~2リットルとされていますので注意してみましょう。

・刺激の強い食べ物や利尿作用のある飲み物を避ける
頻尿の原因となる食べ物として、酸味の強い食品(唐辛子、からし、わさびなどの香辛料
レモン、グレープフルーツなどの柑橘類)、塩分の多い食品(ベーコンやハムなどの加工肉、ラーメン)、利尿作用のある飲料(コーヒー、緑茶などのカフェイン飲料、炭酸飲料、アルコール)などは摂りすぎに注意してください。

・膀胱訓練
膀胱訓練とは過活動膀胱により尿意切迫感や頻尿症状がある場合に行うトレーニングの1つです。 膀胱の筋肉を柔軟にさせ、膀胱にためることができる尿量を徐々に増やしていきます。
①尿意を感じた際にすぐにトイレに駆け込まず、深呼吸などしてリラックスの状態を作り、1分間程度トイレを我慢しましょう。
②徐々に我慢する時間の間隔を伸ばし、5~10分程度の我慢を目安に1週間継続します。
③尿意を感じた時に毎回我慢する必要はありませんが、最終的にはトイレに行く間隔が2~3時間になることを目標とします。

・骨盤底筋体操

骨盤底筋とは骨盤の底にある筋肉を指し、便意や尿意があると緩んで排泄を促す働きがあります。骨盤底筋を鍛えることで排尿のコントロールがしやすくなり、症状が改善されます。

①床に仰向けの状態を取り、足を肩幅に開いて膝を立てます。
②腹筋に力が入らないように膣や肛門の筋肉に力を入れて、10秒ほど引き締めます
③力を緩めてリラックスした跡、部分的に締めたり緩めたりを繰り返します。
④慣れてきたら座位や立位の姿勢で行いましょう。

前立腺肥大症の場合

・適量の水分摂取
過活動膀胱の場合と同様、水分不足は腎機能低下のリスクを高めます。尿路感染や尿路結石の原因にもなるため、日中は適度な水分摂取を心がけましょう。

・下半身の血行悪化を防ぐ
半身浴など、40度くらいのぬるめのお湯にゆっくり浸かって血行をよくしましょう。その他にも、靴下やレッグウォーマーなどを履いて下半身の冷えを防いだり、長時間座りっぱなしでいる時間を避けたりしましょう。

・食生活に気をつける
高脂肪、高たんぱくの生活を続けていると男性ホルモンが活発になり、前立腺肥大症のリスクが高まります。肉類やチーズなどの乳製品といった動物性たんぱく質の摂取を控え、キャベツやバナナといった食物繊維をたくさん含んだ食品中心の生活を心がけましょう。

・ウォーキングやスクワット運動

前立腺肥大症にはテストステロンと呼ばれる男性ホルモンの減少が関わっています。テストステロンの分泌量は筋肉量と連動するため、スクワットやウォーキングなどで太ももの大きな筋肉を鍛えることで効率的にテストステロンの分泌量の増加が期待でき、前立腺肥大症の予防につながります。

頻尿以外の尿トラブルは?

排尿障害は、頻尿以外の症状が原因となっている場合もあります。
男女特有の疾患もありますので、該当する症状がないか確認してみましょう。

男性の場合

尿潜血
膀胱がん/腎がん/尿路結石/膀胱結石/前立腺炎などが原因で、尿に血が混ざってしまいます。

PSA値が高い
PSAは「前立腺特異抗原、prostate-specific antigen」の略語で、前立腺の上皮細胞から分泌されるタンパク量を指し、前立腺がん/前立腺炎/前立腺肥大症などが原因で正常値の4.0 ng/mLを超える場合があります。

陰嚢・睾丸に腫れや痛みがある
精巣がん/精巣炎/精索静脈瘤/精巣捻転/鼠径ヘルニアなどが原因で、陰嚢内に水が溜まったり炎症が起き、腫れや痛みを引き起こします。

夜尿症
大人の夜尿症は加齢、自律神経の乱れ、睡眠障害、病気のいずれかが原因とされており、病気の場合は遺尿症/睡眠時無呼吸症候群/回腸利用新膀胱などが原因となっている場合があります。

排尿時の痛み
尿道炎(クラミジア感染症/淋病)/前立腺炎/尿道結石などにより尿道に炎症が起き、排尿時に痛みを感じることがあります。

排尿困難
前立腺肥大症/尿道結石/尿道狭窄などが原因で膀胱や尿道が圧迫され、排尿時にいきんだり残尿感を感じたりします。

女性の場合

尿漏れする
骨盤底筋の緩みや腹部への圧力と連動した失禁(切迫性尿失禁/腹圧性尿失禁)の他に、認知症による理解力や判断力の低下が原因となる失禁や、脊髄損傷によりうまく膀胱に尿が貯められずに失禁してしまうことがあります。

膣から何かが下がる感じがする
膀胱・子宮・直腸・腟などが腟口から出てしまう骨盤臓器脱により、何かが降りてくるような異物感や、腰痛、排尿・排便困難を引き起こします。

排尿時に痛みを伴う
膀胱炎などの炎症や、尿道口付近に生じる血豆のような尿道カルンクルなどで排尿時に痛みを感じることがあります。

尿が白濁している
腎盂腎炎/膀胱炎/乳び尿などにより、尿中の塩分の結晶化や血が混じることで尿が白く濁る(尿白濁)ことがあります。

残尿感がある
残尿感を感じる場合は膀胱がん/膀胱炎/腎盂腎炎/溢流性尿失禁などの疾患により十分に排尿がなされていない場合があります。

まとめ

頻尿となる原因は、腎機能の低下、心理的要因、病理的要因など様々です。まずはどのような場面で頻尿症状が起きているのか、症状はどのようなものがあるのかを自己チェックし、原因を見極めることが重要です。

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