【掲載日】2022/07/20   【最終更新日】2022/08/24

頻尿の原因は?夜間頻尿や対策方法も解説

頻尿とは?

頻尿とは、その名の通り頻繁な尿意や排尿が伴う症状、状態を指します。
正常な排尿回数は、1日に7回以下と言われているため、朝起きてから就寝までの排尿回数が8回以上の場合に頻尿と診断されます。しかし、生活習慣や気候要因、個人の身体能力によってこの定義に当てはまらないこともあり、一概に排尿回数だけで決められるような症状ではありません。そのため、排尿が1日8回以上でも頻尿ではない場合や、7回以下でも頻尿の可能性が高い場合もあります。

夜間頻尿とは?

頻尿とは、主に日中または起床している時間帯に起きる症状を指していますが、就寝時に尿意で目が覚めてしまったり、夜間の排尿回数が多かったりする場合は夜間頻尿と呼ばれます。
日中は頻尿でなくとも夜間だけ頻尿症状に該当するといったケースもあり、頻尿と夜間頻尿との原因が合致するとも限りません。また、夜間頻尿を自覚する人数は昼間頻尿の人数よりも多いと言われ、40歳以上の男女約4,500万人が夜間頻尿の症状があるとされています。
夜間頻尿は、尿意によって就寝を妨げてしまうために慢性的な睡眠不足となり、日中の生活にも大きな影響を及ぼしてしまいます。

頻尿の原因

原因

疾患面
膀胱炎、前立腺炎、糖尿病などは腎機能や膀胱に直接影響を及ぼす疾患であるため、腎臓や膀胱が刺激されたり尿を蓄える容量が低下してしまったりすることで、排尿機能にも影響をおよぼすことがあります。

  • 過活動膀胱
    膀胱内の尿が十分に溜まっていないにも関わらず膀胱が過敏に反応し、膀胱が収縮して尿量が少なくても急激に尿意を感じてしまい、トイレの回数が多くなってしまう症状です。
  • 前立腺肥大症
    加齢や男性ホルモンの変化により前立腺が肥大化してしまう、中高年男性によくみられる症状です。肥大化した前立腺が尿道を圧迫することで排尿時にいきむ、途切れる、勢いがないなどの状態になります。また、十分に排尿ができないことで膀胱内に尿が残留した状態が続いてしまい、排尿後に残尿感が残ったり、新たに尿が生成されたりすることで尿意を早い段階で感じやすくなってしまいます。
  • 糖尿病
    常に血糖値が高く血液がドロドロ状のために血流が鈍くなってしまい、血流を促すために体が水分を欲するために喉が渇きやすくなります。また、血糖コントロールがうまくいかないと、腎臓が血液中のブドウ糖を体内の水分と一緒に尿として出そうとするために排尿回数が増えてしまい、水分不足や脱水状態が頻発します。これらのことから、糖尿病の方は必然的に水分を多く必要とするため、排尿回数が増えてしまいます。
  • 膀胱炎
    膀胱内に細菌が入ってしまう炎症で、疲労などで免疫力が低下しているときや、妊娠・出産したときなどに膀胱炎が起こりやすいと言われています。膀胱炎の症状は頻尿や残尿感、排尿時の痛み、血尿などがあり、女性に多く再発しやすい特徴があります。
  • 子宮筋腫
    子宮にできる良性腫瘍が肥大化し、膀胱をはじめとする周辺の臓器を圧迫することで、頻尿や尿失禁を起こすことがあります。

生活習慣面

  • 水分の多量摂取
    頻尿の最も単純な原因は、過剰に水分を摂取したことによる尿の多量生成によるもので、膀胱や腎臓機能に異常がなくとも必然的に排尿回数が増加します。美容や健康のためにと沢山飲水をしても、不要な水分は尿や汗となって体外に排出されます。また利尿剤でなくともカフェインやカリウムには利尿作用があり、コーヒーや紅茶、ワインなどを飲むことでも同様に排尿回数が増えることがあります。
  • 体温の低下
    冷たい海に入ることや、冬場の夜などは体温が低下してしまい、膀胱の収縮により尿意を促して頻尿となります。
  • 条件反射
    水の流れる音やおもむろにトイレを見かけたりすることで排尿行為を無意識に連想してしまい、急に膀胱が刺激されて頻尿になる場合があります。
  • 加齢
    加齢に伴う膀胱機能の低下により頻尿になることがあります。尿を濃縮するホルモン分泌量の減少により排尿回数が増えたり、膀胱の柔軟性が失われて硬くなることで、尿を貯められなくなったりします。
  • 心理的要因
    会議や大舞台での発表など、日常で緊張やストレスを感じる場面では尿意を感じやすくなったり、トイレのことを考えたりなど病的な所見がなくとも一時的に頻尿状態になることがあります。心理的要因が慢性的な頻尿や夜間頻尿を引き起こすことは殆どなく、大事な場面を終えた次の日には頻尿が治まっていることが多いです。
  • 夜間頻尿の原因

    ・膀胱容量減少
    加齢や疾患に伴う膀胱容量の減少は、膀胱内に尿を少量しか溜め込むことができず、さらに膀胱が過敏に反応してしまうため尿意をすぐに感じてしまうようになります。
    膀胱が勝手に収縮してしまう過活動膀胱では、尿意切迫感や排尿頻度が増えるような傾向が見られ、前立腺肥大症では肥大した前立腺が膀胱を圧迫し、残尿感や排尿困難を感じるようになります。これらは頻尿を引き起こす代表的な疾患のため、昼夜を問わず症状が見られます。

    ・睡眠障害
    眠りが浅かったり、睡眠の質が悪かったりするとすぐ目が覚めてしまうため、目が覚めるごとにトイレに行きたくなってしまいます。特に高齢者は深い睡眠に至るまでの頻度が減り、浅い睡眠状態が継続するため若い人に比べて中途覚醒する事が多くなります。そのほか、就寝前の過剰飲水やアルコール摂取、服薬、ホルモンバランスの乱れ、睡眠時無呼吸症候群なども中途覚醒の要因となります。
    また、排尿時に光を浴びてしまうことで、交感神経作用を刺激し睡眠を促すホルモンであるメラトニンの分泌を抑制させる原因となり、睡眠の質をさらに妨げるといった悪循環に陥る場合があります。

    頻尿の対策方法

    頻尿は、水分の過剰摂取、生活面、疾患など様々な原因が考えられるため、まずは自身の頻尿の原因を把握することが大切です。
    単純に水分を日常で多く摂取しているだけであれば、水分摂取量を調節することで頻尿は改善します。また、コーヒーやビール、紅茶といった飲み物には利尿作用が含まれているため、とくに就寝前にこれらを飲む習慣がある方は、夜間に飲むことを控えるように注意することで、夜間頻尿を予防することが期待できます。
    緊張感や不安感から催してしまう急な尿意には、リラックスや安心感を得ることが効果的です。
    深呼吸や軽い運動を試したり、好きな音楽や動画を視聴するなど気分を紛らわせたりすることが効果的です。また、初めて訪れる場所や施設では、事前にトイレの位置を確認しておくだけでも安心感を得ることができます。
    また、膀胱トレーニングや、女性の方は骨盤底筋体操などを取り入れることもおすすめです。
    膀胱トレーニングでは膀胱の容量を大きくするため、排尿後に程無くしてから尿意を感じても、あせらず深呼吸や別のことを考えて気を紛らわせたり、足を組む、椅子に座る、下腹部を押さえたりすることで尿意が自然に収まるのを待ちます。膀胱は伸縮力のある筋肉でできているため、排尿を我慢する時間を段々と長くすることで膀胱が柔軟性を保つようになり、尿を蓄える容積が広くなっていきます。
    骨盤底筋体操は、仰向けに寝た状態で両膝を軽く曲げて足を肩幅に開き、肛門、尿道、膣全体を5秒程度締め、その後は力を抜いて体をリラックスさせます。このサイクルを繰り返すことで下腹部が鍛えられると尿道を締める力が強くなり、尿を我慢する時間が長くなります。

    排尿日誌をつけてみよう

    頻尿にお悩みの方の多くは、治療にあたり排尿日誌を記録することを課せられます。
    排尿日誌は、トイレの回数、時間、排尿量といった排尿に関する項目と、水分摂取の時間や量、睡眠時間などの生活リズムを約3日間連続で記録します。排尿日誌の記録を鑑み、水分摂取量と排尿量のバランスが適切ではなく、生活面での影響も見られず原因が思い当たらない場合は、男性の場合は前立腺肥大症、女性の場合は婦人科圭疾患や膀胱炎などが頻尿の原因となっている可能性があるため、泌尿器で診断を受け、原因を明らかにして適切な治療や対処をする必要があります。

    排尿日誌

    頻尿の検査の流れ

    ①問診
    初めの検査では、頻尿になった経緯、発症時期、頻尿の症状を確認し、頻尿のタイプを予測します。また、持病や既往歴、服薬状況なども確認し、原因となる疾患が潜んでいないかをあらかじめ確認します。

    ②尿検査、血液検査
    尿の中の成分を顕微鏡で観察し、尿に炎症成分が混在しているかを確認します。尿路の炎症がある場合は膀胱炎の可能性などを検討します。また、男性の場合は血液検査でPSA(前立腺がんの腫瘍マーカー)をチェックすることもあります。

    ③腹部超音波検査
    残尿量を測定し、膀胱容量が減少しているかを確認します。また、腎臓や膀胱なども検査し、膀胱結石や水腎症などの大きな病気が潜んでいないかを確認します。その他に、尿細菌培養検査や尿細胞診検査、診検査、採血にてPSA検査や内分泌検査を行うこともあります。

    ④腹部レントゲン検査
    男性の場合は直腸診を含めた泌尿器科での診察を受け、前立腺炎や前立腺肥大症などの有無を確認します。

    ⑤排尿日誌を3日程度記録し、実際の排尿量や排尿状況を確認します。

    ⑥膀膀胱内視鏡検査
    血尿がある方、膀胱、尿路に異常が疑われる方、または膀胱がんの術後の経過観察として内視鏡検査をする場合もあります。

    頻尿の治療方法

    頻尿の検査により、ほとんどの場合ではその原因が判断されますので、それぞれの原因に効果的な治療を選択されます。

    ・対症療法
    水分の摂取量やコーヒー、飲酒の習慣など、水分摂取方法を見直します。その他、運動不足の解消や、長時間の座り仕事や体を冷やすような環境を改善するなど、頻尿の原因となりうる行動を避けるように意識します。

    ・薬物療法
    交感神経を刺激し、膀胱の収縮を抑制させたり膀胱容量を広げたりする作用の薬剤や、男性の前立腺肥大の場合は、前立腺を縮小させ、圧迫を解消させる作用の薬剤を主に使用します。

    手術療法
    薬物治療を行っても症状が改善されない場合や、疾患や合併症などが原因とされる場合に手術を採る場合もあります。

    まとめ

    頻尿は自分の意志だけでは制御できず、日常生活に支障をきたしてしまう症状です。
    原因によっては長期的な治療を伴う場合もありますので、頻尿を感じる方は速やかに医師に診断してもらいましょう。

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