【掲載日】2023/04/01
花粉症に効果的な治療薬とは?効果の違いや種類、注意点などを解説
そもそも花粉症とは?
花粉症は、植物の花粉によって引き起こされるアレルギー疾患で、主にくしゃみ・鼻水・目のかゆみなどの症状が現れます。日本では、約60種類の植物が花粉症を引き起こすとされており、花粉といえば春先のスギやヒノキのイメージが強いですが、1年を通して様々な植物の花粉が飛散しています。地域によっても花粉の飛散時期は若干異なりますが、花粉症は春先だけでなく、年間を通して起こり得るアレルギー反応で、今や日本人の2人に1人が花粉症の可能性があると言われるほどの国民病とされています。
季節性アレルギー性鼻炎
原因となる花粉の飛散時期だけに症状が出ます。
○東京都の季節ごとの花粉
・冬~春の花粉:スギ・ヒノキ・ハンノキ・シラカバなど
・春~夏の花粉:カモガヤ・オオアワガエリなど
・秋の花粉:カモガヤ・オオアワガエリ・ブタクサ・ヨモギ・カナムグラなど
○症状
くしゃみ・水のような鼻水・鼻づまり・目のかゆみや充血などが多く、その他皮膚のかゆみや喉のかゆみなどの症状が現れることもあります。
通年性アレルギー性鼻炎
季節を問わず、アレルゲンにより症状が現れます。
○主なアレルゲン
ダニ・ハウスダスト(カビの胞子・織物の繊維・ダニの糞なども含む)・ペットの毛など
○症状
くしゃみ・水のような鼻水・鼻づまり・目のかゆみや充血、その他皮膚や喉のかゆみといった、季節性アレルギー性鼻炎と同じような症状が現れます。また、通年性アレルギー性鼻炎では、花粉症に比べて喘息やアトピー性皮膚炎を合併する割合も高いとされています。
最近では、通年性と季節性の両方のアレルギー性鼻炎に悩む人や、複数の花粉に反応する人も増加しており、1年中くしゃみや鼻水に悩まされる人も少なくないようです。
春と秋の花粉の違いは?
春の時期の花粉症は、スギやヒノキなどの樹木の花粉が原因となりますが、秋の花粉症はキク科のブタクサやヨモギ、アサ科のカナムグラ、イネ科のカモガヤなどの雑草が原因で、これらは空き地や河原・市街地にも繁殖する植物です。開花期を迎える9~11月頃に花粉が飛散し、花粉症を引き起こします。花粉症といえば春先のスギやヒノキのイメージが強いため、秋の時期に症状が出ていても花粉症であることを気づかない方も多いようです。スギ花粉症の方は、秋の花粉症にもかかりやすいため、秋時期に鼻炎などの症状が続いた時には注意深く自身の症状を観察し、必要があれば抗体検査などでアレルギーの原因となる抗原を特定すると、今後の対処がしやすくなることでしょう。
主な花粉症原因植物の花粉捕集期間(2002~2018年開花時期)
出典:日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー学会 鼻アレルギー診療ガイドライン2020年版より
エリアごとにも花粉の種類や時期は異なる?
上記の花粉カレンダーのように、同じ日本国内でも地域によって花粉の種類や飛散時期が異なります。
特に「風媒花」と呼ばれる、風によって大量の花粉が長い距離飛ばされる木本植物を代表するのがスギです。スギ花粉症は日本の太平洋側の地域に多い傾向があり、反対に北海道や沖縄にはほとんど存在しません。また、北海道ではシラカンバ花粉症が多いなど、地域によって特徴があります。一方で、草本植物の花粉飛散についてはスギ・ヒノキに比べると全体的に比較的少な目ではあるものの、イネ科は関東・東北で4~6月、ブタクサ属、ヨモギ属、カナムグラは9月を中心に各地で花粉の飛散が確認されています。
花粉の飛散しやすい条件や時間帯は?
花粉飛散量は、その日の天候や温度、時間帯などによっても変わっていきます。
○花粉が多く飛びやすい日
・湿度が低く乾燥した晴れ、またはくもりの日
・強い風が吹き、その後北風に変わった日
・雨が降った翌日
○花粉が飛びやすい時間帯
1日2回、花粉の飛散ピークの時間帯があります。どちらも人の動きが多い時間帯になるので、花粉症の方はマスクなどの対策をしっかり行うと良いでしょう。
・1回目:11~14時頃
→早朝にスギの花が開花し、徐々に山から都市部に花粉が風で運ばれてきます。それにより午前中から昼過ぎにかけて1回目のピークを迎えます。
・2回目:17~19時頃
→日没後気温が低下し空気の対流が起こることで、上空にあった花粉が下りて来たり、地面に落ちていた花粉が舞い上がったりするため、飛散量が多くなります。
花粉症を引き起こすメカニズム
花粉症は、スギやヒノキなどの花粉が原因となって起こるアレルギー反応です。花粉がからだの中に入ってくると、くしゃみや鼻水などで入ってきた花粉を取り除こうとするからだの反応ですが、そのとき私たちのからだの中ではどのようなことが起こっているのでしょうか。
1. 抗原(ここでは花粉)が鼻や目の粘膜に付着し体内に入ると、「IgE抗体」がつくられ、マスト細胞(別名:肥満細胞)と結合します。これは、からだが花粉を異物と認識し、次に来た時に備え攻撃する準備を整えているのです。これを「感作」といいます。
2. IgE抗体ができた後、再び体内に抗原である花粉が入ると、1.でIgE抗体が結合したマスト細胞(肥満細胞)の表面でアレルゲン(花粉)と抗体がくっつきます。
3. すると、肥満細胞からアレルギー誘発物質のヒスタミンやロイコトリエンなどが放出され、くしゃみや鼻水などを引き起こすようになります。
【Q】発症する人としない人がいるのはどうして?
【A】1.のように「感作」が成立しても全ての人が花粉症を発症するわけではありません。花粉に接触するたび体内にIgE抗体が少しずつ蓄積されていき、一定の水準に達したときにくしゃみや鼻水などの花粉症の症状が出現するのです。この蓄積期間は人によって数年・数十年と様々のため、「今まで花粉症ではなかったのに急に今年から発症した!」というケースがあるのはこういった理由からです。
花粉症で見られるおもな症状
花粉症といえば、くしゃみや鼻水・目のかゆみといった症状が代表的ですが、風邪との違いなど、詳しく記載していきます。
鼻の症状
○くしゃみ
アレルギー誘発物質ヒスタミンの影響で、鼻の粘膜についた花粉を取り除こうとしてくしゃみが起こります。花粉症の場合、連続して起こり、回数も多いといった特徴があります。
○鼻水
花粉症の鼻水は、粘り気がなくサラサラした、透明の水のようなものが止まらずに出るのが特徴的です。アレルギー誘発物質ヒスタミンの影響で起こります。
○鼻づまり
鼻粘膜が腫れて鼻からのどへの通り道が狭くなることによって、鼻づまりが起こります。アレルギー誘発物質ロイコトリエンが影響しています。口呼吸になりがちなので、口の渇きや咳といった症状が出ることもあり、食べ物のにおいや味もわかりづらくなったりします。
目の症状
○目のかゆみ
目の粘膜に花粉が付着することにより、アレルギー反応を引き起こしてかゆみが生じます。
○目の充血
目の血管が刺激され拡張することで結膜炎を引き起こしている状態です。
○涙が出る
目に入った花粉を洗い流そうとして涙を出します。
※このほか、人により皮膚のかゆみや頭痛、倦怠感などの症状がでる場合もあります。
風邪と花粉症を見分けるポイントは、高熱や激しい喉の痛みなどがなく、サラサラした鼻水、立て続けに出るくしゃみ、目のかゆみといった症状が出ている点で、そのような場合は花粉症の可能性があります。
口腔アレルギー症候群
シラカンバ・ハンノキ・イネ科などの花粉症の人の中には、果物や生野菜などを食べたあとに口の中のかゆみやしびれ、むくみなどの症状がでる人がいます。これは花粉のアレルゲンと果物や野菜に含まれるアレルゲンが似ているために起こるもので、リンゴ・モモ・メロン・スイカ・オレンジ・キウイ・マンゴー・トマトなどが報告されています。
花粉症に効果的な治療方法は?
花粉症の治療には、大きく分けて「薬物療法」、「アレルゲン免疫療法」、「手術療法」の3つがあります。ここでは薬物療法について詳しく記載していきます。
花粉症の内服薬
薬の有効成分が血管を通して体の隅々まで行き届くので、目・鼻・のど・皮膚など体全体のアレルギー反応に対して効力を発揮します。その一方で、薬によっては効果が現れるまで時間のかかるものや、眠気などの副作用が出ることがあります。
○抗ヒスタミン薬
神経伝達物質ヒスタミンの働きを抑えることでアレルギー反応を抑え、くしゃみ・鼻水・痒みなどの症状を改善する薬。第一世代と第二世代がありますが、現在花粉症で使用されるのは第二世代が主となります。抗ヒスタミン薬は比較的早く作用し、くしゃみ・鼻水によく効くとされていますが、鼻づまりの解消にはあまり効きません。
代表的な抗ヒスタミン薬: アレジオン、エバステル、ジルテック、タリオン、アレグラ、アレロック、クラリチン、ザイザル、ディレグラ、デザレックス、ビラノア、ルパフィンなど。
○セレスタミン
抗ヒスタミン剤と副腎皮質ホルモン(ステロイド)の2成分が配合されています。
抗炎症作用が強いため、重度の花粉症の治療薬として用いられます。
○抗ロイコトリエン薬
鼻粘膜の炎症や鼻づまりを引き起こす「ロイコトリエン」の働きを抑える薬。特に鼻づまりに有効とされ、抗ヒスタミン薬と合わせて使用されることが多いです。眠気などの症状も少ないです。
代表的な抗ロイコトリエン薬:プランルカスト、モンテルカスト、オノン、シングレア
○漢方薬
症状の出始めから慢性化した症状まで、幅広く対応できます。抗ヒスタミン薬で起こりやすい眠気などの副作用もなく安心して飲めるのも大きなポイント。受験生や車の運転をされる方にはおすすめです。鼻炎の症状も様々なので、症状に合わせた漢方を選ぶようにしましょう。
代表的な漢方薬:小青竜湯(サラサラした鼻水・くしゃみが連続して出るなどの症状に)
→症状が強くなる前の初期段階から飲み始めるのが効果的とされています。
○経口ステロイド薬
ステロイドの内服薬で鼻づまりに高い効果が期待できると言われていますが、効果が強い反面、骨粗鬆症や血圧上昇などの副作用が出る可能性があるため、重度の花粉症患者を対象に使用されています。
花粉症の外用薬
内服薬に比べ、早く効果を実感できるものが多いですが、目や鼻などピンポイントで使用するものになるため、効果の範囲は限定的となります。また、眠気などの副作用は出にくいとされています。
○点鼻薬
鼻粘膜局所の治療に有効です。
・ステロイド点鼻薬:フルニソリド、プロピオン酸フルチカゾンなど。即効性はありませんが、1日1回の点鼻で効果的に作用します。使用開始後3~5日ほどで効果が出てくるようです。副作用として鼻血や鼻中隔穿孔などが発生してしまう可能性もあります。
・抗ヒスタミン点鼻薬:主な成分はフマル酸ケトチフェンや塩酸レボカバスチンなど。もともと内服薬としても使われている成分を点鼻薬にしたもので、主流派ステロイド点鼻薬ですが、何らかの理由で内服薬を避ける必要がある場合に使用することがほとんどです。ステロイド点鼻薬と比べて即効性がありますだ、副作用として眠気が出ることがあります。
・血管収縮薬:硝酸ナファゾリンやテトラヒドロゾリンなどが主な成分で、鼻の粘膜を収縮させる作用があり鼻閉を著明に改善してくれますが連用すると効きにくくなることがありますので注意しましょう。
○点眼薬
花粉症においては、目のアレルギー反応を抑えることで目のかゆみや充血などを緩和するのに有効です。目の粘膜に直接作用するので、内服薬より効き目も早く、眠気などの副作用も出にくいとされています。
・抗アレルギー薬:クロモグリク酸ナトリウムなどが代表的。処方薬以外にも複数種類は市販で販売されています。アレルギー反応を抑えるものなので、即効性はなく予防として用いられることが多いです。副作用はほとんどないため、長期的に使用しやすいメリットがあります。
・抗ヒスタミン薬:フマル酸ケトチフェン、塩酸レボカバスチン、マレイン酸クロルフェニラミンなど。即効性がある反面、効果は短期的であるため、一日に何度も使用するようになります。即効性の高いものほど副作用も強く、長期間使用すると眼圧が上昇しやすくなるデメリットがあります。市販のものでも同様の特徴を持つものがありますので、出来る限り医師の指導のもと使用することが望ましいとされています。
・副腎皮質ホルモン剤(ステロイド):フルオロメトロン、リン酸ベタメタゾンナトリウムなどが主な成分で、内服薬同様に強い効果が期待できる反面、副作用の出る可能性も高く安易な使用は危険です。長期間使用し続けると、眼圧上昇や角膜穿孔などの副作用が起こる可能性があります。市販薬はなく処方薬のみとなります。
花粉症におすすめの治療薬は?
花粉症治療薬として、処方薬・市販薬がありその中でも更に、内服薬・点眼薬・点鼻薬と色々な形態での薬が出ています。症状や生活スタイルなどに合わせて、自分にあった治療薬を選んで使用すると良いでしょう。
また、近年では、病院で処方される処方薬と同じ成分・用量を配合した「スイッチOTC(OTC医薬品)」と呼ばれる医薬品も増えています。市販薬は処方薬より効き目が弱いというイメージがありますが、こういったOTC医薬品も選択肢の一つとして取り入れてみるのも良いでしょう。
第一世代・第二世代のヒスタミン薬とは?
花粉症の薬のうち、最も代表的な抗ヒスタミン薬には、第一世代と第二世代があります。どちらも鼻水・鼻づまり・くしゃみの対策に使用され、ヒスタミンの作用を抑制しアレルギー反応を抑える効果があります。
第一世代の抗ヒスタミン薬は、脳への影響が大きく、眠気や認知機能の低下・口の渇きなどが副作用として見られます。現在では第二世代が主流となっており、第一世代のものよりも副作用が少なく、ヒスタミンの抑制作用だけでなく効き目の持続性や、他のアレルギーを起こす物質の放出を抑えるという点で優れています。また、OTC医薬品が多いのもこの第二世代の抗ヒスタミン薬で、花粉時期の少し前や症状が軽症のうちに服用すると効果的と言われています。
○花粉症におすすめの市販薬(第二世代)
・アレグラFX (フェキソフェナジン塩酸塩 120mg) ※OTC医薬品
服用:1日2回朝夕
飛行機のパイロットにも服用が許可されているほど、脳への影響(眠気、集中力・判断力の低下)が少ない薬。
・クラリチンEX(ロラタジン) ※OTC医薬品
服用:1日1回食後
医療用医薬品ではジェネリック医薬品(後発医薬品)も多く出ており、『ロラタジン錠10mg「○○」』という薬名となっています。
・アレジオン20 (エピナスチン塩酸塩) ※OTC医薬品
服用:1日1回就寝前
眠気に関してはアレグラの次に少ないとされていますが、自動車等の運転に関する注意が記載されています。また、医療用では10mg用量は小児用とされており、成人の場合は1回20mgを服用します。成分であるエピナスチンは、内服薬の他、点眼薬としても用いられています。
医療用医薬品ではジェネリック医薬品(後発医薬品)も多く出ており、『エピナスチン塩酸塩錠10mg/20mg「○○」』という薬名となっています。
・エバステルAL(エバスチン) ※OTC医薬品
服用:1日1回就寝前
眠気は少ないとされていますが、自動車等の運転に関する注意が記載されています。
医療用医薬品ではジェネリック医薬品(後発医薬品)も多く出ており、『エバスチン錠5mg/10mg「○○」』という薬名になっています。
・ストナリニZ(セチリジン塩酸塩) ※OTC医薬品(医療用薬名は「ジルテック錠10mg」)
服用:1日1回就寝前
花粉症治療にも使用されますが、アレルギー性のかゆみに用いられることが多いようです。
有効成分であるセチリジンの点眼薬も出ています。
医療用医薬品ではジェネリック医薬品(後発医薬品)も多く出ており、『セチリジン塩酸塩5mg/10mg』などの薬名となっています。
※自動車運転に関する注意喚起が記載されていない薬剤例
アレグラ(フェキソフェナジン)
クラリチン(ロラタジン)
ビラノア(ビラスチン)
デザレックス(デスロラタジン)
花粉症用の薬を使用する際の注意点
病気の治療は通常症状が出てから薬を使用するものですが、花粉症の場合は予防的に使用することが認められているものもあります。
予防治療(花粉が飛散し始める前に治療を始める)
花粉症の人は、わずかな花粉でも体内に入り込むことでアレルギー反応が始まってしまいます。人によりアレルギーを引き起こす花粉が違うため時期も様々ですが、その人の症状が出る時期というのはある程度決まっています。そのため、花粉が飛び始める少し前から薬を飲み始めることで、症状を軽く抑えることが可能となります。以前は花粉の飛び始める2週間前ごろから飲み始めると良いとされていましたが、近年では薬の改良が進み、花粉が飛散する1週間前ごろから服用しても効果が得られるようになりました。
花粉の飛散期間中は継続使用する
花粉の飛散量は時期や天気によっても異なります。花粉が少ない時に、症状が良くなったと感じて服用を止めてしまうと、飛散量がまた増えた時に症状が悪化してしまいます。花粉の飛散時期が終わるまでは継続して服用することが大切です。
服薬のタイミングや用量などに注意する
花粉症治療薬には色々な種類があり、薬によって服用するタイミングや用法・用量が異なります。
必ず確認してから服用するようにしましょう。
花粉症の症状を抑えるためにできる予防・対策
ご本人の日常生活の中でかなり対策できます。自分にできる予防・対策を行い、花粉症と上手に付き合っていきましょう。
花粉を浴びない・体内に取り入れないようにする
・マスク装着
コロナ禍になり、マスクが当たり前となった期間が長く続いたため、昔に比べるとマスク対策は自然とできている方が多いと思います。マスクを装着することで、花粉を吸いこむ量は1/3~1/6に減らす効果があると言われています。自分の顔のサイズに合ったできれば不織布のマスクをつけるようにしましょう。
・眼鏡装着
目の表面に花粉が付着するのを防ぎます。普通の眼鏡やサングラスでも、ある程度効果はあると言われていますが、花粉の侵入を防ぐ防護カバーがついた花粉症専用の眼鏡だと更に効果が高まります。
・手洗い・うがい・洗顔等
外から帰ってきたら、手洗い・うがいはもちろん、顔についた花粉を洗い流したり、目の洗浄や鼻うがいなども有効です。
・服装
一番上に着るコート類はウール素材のものは避け、ツルツルした素材のものを選ぶと良いでしょう。また、家の中に入る前には衣服についた花粉をよくはらい、上着はリビングに持ち込まないようにするのも対策の一つです。
・洗濯
衣服の表面に静電気が起こると花粉が付着しやすくなります。洗濯の際は静電気予防のため柔軟剤を使用すると良いでしょう。また、洗濯物を干す際は、外ではなく部屋干しにすることを心がけましょう。
・室内のこまめな掃除
外出して帰ってきた人が花粉を持ち込んだり、換気の際に花粉が侵入したりと、室内でも花粉は存在します。こまめに掃除をし、特に床を水拭きするのも効果的です。また、換気する場合は、1日の中で花粉の飛散量が少ない早朝や夜の時間帯を選んで短時間だけ行いましょう。空気清浄機の使用も有効で、花粉が飛散する時期は24時間稼働させると症状の軽減が期待できます。
薬や治療による対策
・薬による対策
これまでに述べてきたように、花粉症治療薬には経口薬(内服薬)や外用薬(点眼薬・点鼻薬)のように取り入れる形態も種類があり、その成分も様々です。自分の症状や生活スタイルに合わせた薬を取り入れて症状を軽減させましょう。
・アレルゲン免疫療法(舌下免疫療法)
アレルゲン(アレルギーの原因物質=ここでは花粉)を少しずつ体内に入れて吸収させることで、アレルギー反応を弱めていく治療法です。現在ではスギ花粉と、ダニ抗原によるアレルギー性鼻炎に対して、根本的に治せる唯一の方法で約70%の人に効果があると言われています。花粉が飛ぶ時期は治療を始めることができません。スギ花粉症に対する舌下免疫療法であれば、治療開始時期は6月~11月下旬頃となり、その後3~5年程度が治療期間とされています。治療期間は長いですが、治療内容は自宅で一日一回服用するだけです。経過観察のため定期的にクリニックに通院は必要ですが、比較的簡単に治療ができる点では取り入れやすい治療法と言えるでしょう。
・手術による治療
鼻づまりがひどく、薬や舌下免疫療法などで十分な効果が得られない場合には手術による治療も選択肢となります。レーザー治療(鼻腔粘膜焼灼術)や鼻腔を拡大する手術(粘膜下下甲介骨切除術)・後鼻神経の数本を切断してアレルギー反応を抑える手術(後鼻神経切断術)などがあります。
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まとめ
花粉症は重度になると、人によっては風邪よりもつらいとされています。対策としての最大のポイントはアレルギー症状が悪化する前に早めに実行することです。自分が何の花粉でアレルギー反応が起こるのか、きちんと検査し知っておくことも大切です。また、その花粉が飛散する時期をある程度把握しておくことも重要で、その年の花粉情報をチェックし、花粉飛散の少し前から薬を服用するなどの対策をとりましょう。症状がひどくなる前に対策をとっておくことで、自身のQOL(生活の質)の低下を防ぐことにもつながるでしょう。
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