【掲載日】2016/08/03   【最終更新日】2022/07/15

関節リウマチとは?初期症状から原因まで解説

吉田智彦医師

監修者

内科・リウマチ・膠原病・アレルギー

吉田智彦医師

リウマチってどんな病気?

リウマチは手や足の指、肘や膝など関節が腫れて熱を持ったり、痛んだりします。悪くなると全身の関節痛で動けなくなり、寝たきりになる方も少なくありません。
しかも発症した手や足の指などの関節は変形することも・・・。以前には「一度発症したら治らない病気」とも呼ばれていました。
現在は治療が進歩し、リウマチの症状が感じなくなる寛解(かんかい)と呼ばれるゴールの実現が現実的になっています。

こんな症状続いていませんか?リウマチの初期症状チェック

関節リウマチの症状は起床後30分以内が最も出やすく、左右の手指の第2関節や、片手の指先、片膝などに痛みや腫れといった症状がみられ、日中や夜は落ち着くのが特徴です。
また、日常生活の中で以下のような違和感を覚えた場合は関節リウマチのサインかも知れません。
該当項目がある場合には早めに専門医に相談しましょう。

  • □ドアノブが回しにくい
  • □ペットボトルのキャップが開けにくい
  • □歯ブラシが持ちにくい
  • □牛乳パックが開けにくい
  • □お箸が上手に使えない
  • □朝食を作るとき、動作に違和感がある
  • □朝フローリングの床を歩くと足の裏に違和感や痛みがある
  • □あくびなどで顎関節が痛む

リウマチの症状

手足の関節の痛み・起床時に手がこわばる(関節が曲げられない)、そんな症状があれば要注意です。
リウマチの主な症状は朝のこわばり(関節が曲げられない)・手指関節の痛みと腫れです。これらの症状がほぼ左右対称に出現することも特徴です。
病気が進行すると関節の破壊(骨の変化)に至ることがあります。

全身に起こる症状

リウマチには関節以外の症状として、微熱、体重減少、貧血、リンパ節の腫れなどのほか、だるさ、疲れを感じることが挙げられます。

関節に起こる症状

◆朝のこわばり
リウマチに特徴的な症状です。からだや手足のこわばりが、特に朝に強く現れます。

◆関節炎
関節部位が熱感をもって腫れ、痛みが生じます。おもに手指(指の付け根や指先から二番目、三番目の関節)、手首、足趾の関節に多く見られ、足首、肩、ひじ、ひざ、股関節などの関節に広がる場合もあります。関節全体が一度に痛むことは少ないですが、その関節はほぼ左右対称で、痛む箇所が移動する特徴があります。

◆関節水腫
関節が炎症を起こすと、関節内に水が溜まる場合があります。特に膝関節周辺に発症すると膝のお皿周辺が腫れたり、ベーカーシストといって膝裏が腫れたりすることがあります。

◆腱鞘炎
手指、足趾の筋肉が骨に付着するところに腱と腱をつつむ腱鞘という組織があります。腱もしくは腱鞘に炎症が起こると、指などの動きが悪く痛みがでます。「ばね指」と呼ばれる症状は、腫れた腱が腱鞘の中を引っかかりながら動くことで、指がばねのように弾みます。

◆滑液包炎
滑液包は、関節の周囲にある組織で、関節の摩擦を減らすゼリー状の滑液が入っています。滑液包に炎症が起こると、滑液が過度にたまって腫れて痛みます。滑液包炎は、特に肘や足関節、膝前面によくみられます。

◆関節変形
リウマチが進行すると、関節が破壊され、腱が断裂するなどして関節が変形します。手の指が外側を向いたり反り返ったりなど、足の指は外反母趾のような変形をきたします。これらの変形の総称をリウマチ変形と呼びます。

関節以外に起こる症状

◆リウマトイド結節
肘の伸側や膝などによく見られる、痛みの無い皮下のしこりです。関節リウマチの炎症の程度に比例して、米粒大から大豆程度まで大きさが変化します。

◆肺障害
関節リウマチの合併症として、リウマチ肺とよばれる間質性肺炎(かんしつせいはいえん)や肺線維症といった合併症が現れることがあります。症状として息切れや空咳が現れたり、肺に水がたまったりする胸膜炎が起こることもあります。なお、リウマチの治療薬(リウマトレックス)による作用でも肺障害を起こすことがあるので、喫煙者やもともと肺疾患の持病がある方は注意が必要です。

◆悪性関節リウマチ
リウマチの炎症が血管にまで及ぶことで症状が悪化する状態を、悪性関節リウマチと呼びます。太い血管に炎症が及んだ場合は、心筋梗塞や間質性肺炎、腸間膜動脈血栓症などを起こします。手足などの細い血管に炎症が及んだ場合は、皮膚潰瘍や神経炎などを起こします。

◆二次性アミロイドーシス
リウマチの強い炎症が長期化すると、アミロイドというタンパク質が身体の広範囲に蓄積されることがあります。アミロイドが腸管にたまると下痢、心臓にたまると心不全、腎臓にたまると腎不全の原因になります。

リウマチの原因は?

人体には、外部からの細菌やウイルスを守り、体から取り除く「免疫」といった仕組みが備わっています。この「免疫」に何らかの異常が起こり、本来自分の身体である関節、滑膜、骨、軟骨を外敵と誤判断して破壊しまう症状がリウマチです。一般的に自己免疫疾患と呼ばれ、根本的な原因はわかっていませんが、体質的にかかりやすかったり、歯周病、過労やストレス、喫煙、出産やけがなどの経験をきっかけに発症したりすることがあります。

リウマチはどんな人がかかりやすい?

日本国内のリウマチ患者数は、82万人とも言われ、年間約15,000人が発症しています。海外の患者数との割合に大きな差はなく、年齢別では30~50歳代、男女比では女性の方が男性に比べて5倍も多く発症しやすい病気でもあります。
なお、男性よりも女性がリウマチになりやすい原因として、妊娠や出産などによるホルモンバランスの変化が起因すると考えられていますが、明確な理由はわかっていません。

リウマチを改善する4つの治療法

服薬も運動も食事も。リウマチ治療は「バランス」が大事

リウマチ治療は【関節の変形・破壊を防ぐこと】、【痛みを和らげること】、【関節の機能を保つこと】の3点がポイントです。
主に服薬・注射などの薬物療法、リハビリテーション療法、基礎療法、手術療法の4つに分かれます。

・薬物療法(服薬療法)
薬物療法はこの15年から20年で急激に進歩しました。
かつてはステロイド・痛み止めが主流でしたが現在は免疫抑制剤などの抗リウマチ薬の早期使用が主流です。
免疫抑制薬(メトトレキサート・MTX)、抗リウマチ薬や生物学的製剤、JAK阻害薬と呼ばれる薬の登場で今まで治らない病気と呼ばれていたリウマチもその症状がほぼ無くなる寛解(かんかい)を実現することが可能になりました。
ただ、高い有効性があると同時に注意すべき副作用などもあります。必ずお医者さんの指示に従い用法用量通りに服薬しましょう。
(免疫抑制剤などは胃・肝障害や間質性肺炎を引き起こす可能性、生物学的製剤は感染症、JAK阻害薬なども帯状疱疹、感染症、心・脳血管障害などの副作用があるので注意が必要です)

・リハビリテーション療法
関節リウマチの症状の主体は関節症状です。
これは痛みを伴うもので、痛いからと何もせず放っておいてしまえば、だんだんと筋肉の機能が衰えていきロコモティブ症候群、廃用症候群となる危険があります。
関節症状があるリウマチのリハビリはただ闇雲に運動をすればいいというわけではありません、方法次第では逆効果にもなります。
必ず医師や専門家(理学療法士・作業療法士・運動療法士)などに指導を受け、根気良く続けていくことが重要です。
痛み(リウマチの活動)が強い時には安静にし、ある程度コントロールされている時はリハビリを行うことが服薬療法と同等に効果のある治療法です。
ここでは一例を紹介します。

温熱療法
炎症が静まっている時に有効、患部を温める治療法です。
お風呂・サウナに入る、マイクロウェーブなどを用いて患部へ温熱を届けます。

冷却療法
炎症が激しい時に有効、患部を冷やす治療法です。
氷などを用いたアイスマッサージなどで患部を冷やし、炎症を抑えます。

運動療法
運動は主にリウマチの活動がある程度コントロールされている時に行います。
関節をあまり酷使しない運動が良いとされますが、日常的動作を意識的に行うことでも全然違います。
(無理しない程度に出かける。買い物にいくなど)
特に良いとされるのがプールで行うエクササイズです。
水中では関節にかかる負担が少なく効果的なトレーニングが行えます。

【トレーニングの方法】
水の中で15分ほど柔軟運動をする。
水に慣れてきたら水中を歩く。(できるだけ大股で、足を上げながら、速度を付けて歩く)
効果としては水の抵抗が筋力をつけるのに役立ち、しかも浮力があるので、関節を傷めることが少ないと言われています。
また血液の流れが良くなり、関節周りの筋力が強化され、痛み・こわばりが軽くなる効果も期待できます。

・手術療法
関節リウマチは大きく分けて痛みを和らげるための手術と、機能を回復するための手術があります。
関節の腫れや痛みを和らげる「滑膜切除術」や、機能回復のための人工関節置換術・関節固定術・関節整形術などがあります。

監修者

吉田智彦医師

内科・リウマチ・膠原病・アレルギー

吉田智彦医師

専門

日本外科学会認定外科専門医/日本循環器学会認定循環器専門医

認定資格

日本内科学会総合内科専門医/日本リウマチ財団登録医/日本リウマチ学会 リウマチ専門医/日本リウマチ学会 リウマチ指導医/日本医師会認定産業医/身体障害者申請医(肢体不自由)など

経歴

聖マリアンナ医科大学大学院卒。
聖マリアンナ医科大学病院リウマチ膠原病アレルギー内科に入局し同大学病院でリウマチ膠原病の診療にあたりながら、難病治療研究センターに所属して研究に従事しました。
平成10年12月から長野県坂城町の父のクリニックで診療をはじめ、
平成12年4月~平成14年3月:日産厚生会玉川病院で診療。
平成17年4月~平成18年5月:児玉経堂病院リウマチ内科で診療。
平成18年6月に世田谷区に日本で初めてのリウマチ膠原病の専門施設として世田谷リウマチ膠原病クリニックを開業いたしました。
現在は、世田谷リウマチ膠原病クリニックと長野県坂城町の東信よしだ内科の2施設でリウマチ膠原病診療にあたりながら、全国で講演、学会発表、論文発表、市民公開講座などを行っています。

世田谷リウマチ膠原病クリニック公式HP

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