【掲載日】2021/06/08
PMS(月経前症候群)とは?症状・原因・ケアの方法
PMSとは?
月経前のイライラや情緒不安定、胸の張り、むくみ、体重増加など、月経前の3~10日の間に起こる精神的あるいは身体的症状のことを「月経前症候群(premenstrual syndrome : PMS)」と呼びます。
月経の開始に伴い、症状が軽快もしくは消失していくのが一般的な傾向で、月経のある日本人女性の約70~80%が月経前症候群の何らかの症状を持ち、内5.4%が生活に支障を来していると言われています。
PMSの症状とは?
PMSのからだの症状
身体的症状としておなかや乳房の張り・痛み、頭痛、腰痛、肩こり、むくみ、体重増加、めまい、肌トラブルなどが挙げられます。
PMSのこころの症状
精神神経症状として情緒不安定、イライラ、抑うつ、不安、眠気、集中力の低下、睡眠障害、自律神経症状としてのぼせ、食欲不振・過食、めまい、倦怠感が挙げられます。とくに精神状態が強い場合には、月経前不快気分障害(premenstrual dyspholic disorder : PMDD)の場合もあります。
PMSは年齢・ライフステージによって症状が変わる
月経周期と連動するPMSは、年齢とともに月経の回数を重ねることで、症状が強くなっていく傾向があるようです。
月経が始まる10~20歳の思春期頃から症状が出始め、20代に入ると、くよくよしたり憂うつになる傾向が多くなり、30代になると怒りやすくイライラすることが多くなります。また、こころの症状に加えて、頭痛、めまい、吐き気、疲れやすいなどのからだの症状もでてくるようになります。
年齢だけではなく妊娠・出産経験、子育て、仕事の有無といったライフステージも、PMSの症状に大きく影響します。
例えば、妊娠時期や出産前に不安にかられることや、精神的に負担がかかる育児など、こころの余裕が影響して、PMSの症状として表れやすいと言われています。
また、仕事に集中できない、ミスがあった際に極端に落ち込む、家事が手につかない、イライラして家族に八つ当たりするといったこともPMSと連動して表れることがあります。
どんな人がPMSになりやすい?
PMSにも個人差があり、特に以下のタイプに該当する方はPMSの症状になりやすいと言われています。
PMSの症状になりやすいタイプ
律儀 / 我慢するタイプ / 真面目 / こだわりが強い
完璧主義 / 生活リズムが変則的 / 負けず嫌い / 自分に厳しい
PMSの原因
明確な原因はわかっておりませんが、女性ホルモンの変動が関わっていると考えられています。排卵のリズムがある女性の場合、排卵から月経までの期間(黄体期)にエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)が多く分泌されます。この黄体期の後半に卵胞ホルモンと黄体ホルモンが急激に低下し、脳内のホルモンや神経伝達物質の異常を引き起こすことが、PMSの原因と考えられています。しかし、脳内のホルモンや神経伝達物質はストレスなどの影響を受けるため、PMSは女性ホルモンの低下だけが原因ではなく多くの要因から起こるといわれています。
PMSの治療方法
薬に頼らないセルフケア
自分の症状を理解し把握するために日記などの記録をつけましょう。自分の体調や気分のリズムを見返し、気分転換やリラックスする時間をつくったり、自分が心地良いと思えるようなセルフケアを試してみましょう。また、カルシウムやマグネシウムを積極的に摂取し、カフェイン、アルコール、喫煙は控えたほうがよいと言われています。
薬による治療方法
PMSによる身体的な症状が重い場合には、薬剤などによる治療を施します。
◆排卵抑制療法(排卵を抑える治療法)
排卵が起こり女性ホルモンの大きな変動があることがそもそもの原因なので、排卵を止め女性ホルモンの変動をなくすことで症状が軽快します。低用量経口避妊薬(OC、低用量ピル)や低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(LEP)は少ないホルモン量で排卵を止めます。
この方法は、現時点での妊娠を望んでいない女性に勧められるもので、これらの薬は副作用が少なく、服用している期間だけ一時的に排卵を止めるものなので、服用を止めるとすぐに排卵が回復し、その後の妊娠にも影響を与えないものです。
◆症状に対する治療法
痛みに対しては鎮痛剤、むくみなどの水分貯留症状に対しては利尿剤や抗アルドステロン療法(尿量を増やす治療法)、精神神経症状や自律神経症状に対しては精神安定剤や選択的セロトニン再取り込み阻害薬物療法(脳内の活性物質セロトニンを維持する治療法)を使用し、症状を和らげます。
◆漢方療法
複数の症状を同時に改善しながら、体全体のバランスを整える方法で、当帰芍薬散、桂枝茯苓丸、加味逍遥散、桃核承気湯、女神散、抑肝散などが挙げられます。
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