【掲載日】2016/08/03   【最終更新日】2023/06/21

ニキビの原因と炎症があるときの対処法を解説

稲葉岳也医師

監修者

耳鼻咽喉科・皮膚科・アレルギー科

稲葉岳也医師

ニキビ(尋常性ざ瘡)とは?

ニキビとは、毛穴に皮脂が溜まり、そこにアクネ菌などの細菌が加わって炎症を起こした状態を言います。顔面にできることが多く、進行すると硬いしこりになったり、膿を持つこともあります。特に、10代の男女や、30歳くらいまでの女性に多くみられます。

医学的に尋常性ざ瘡(じんじょうせいざそう)、または単にざ瘡(ざそう)と言います。
一般的にニキビは青年の顔面に発生するものをいい、それ以外のものは吹き出物(ふきでもの)ということが多いようです。

ニキビの原因と種類

ニキビは、毛穴がホルモンと細菌と皮脂の相互作用によって炎症を起こすことで発症します。
従って、皮脂が多く分泌される部位によくできます。ニキビは、皮脂を分泌する毛穴が詰まるところから始まり、詰まった毛穴の中に乾いた皮脂や角質がたまった状態を言います。

ニキビの原因と種類

黒ニキビ、白ニキビの状態から赤ニキビへと変化していくのには、皮膚常在菌のアクネ桿菌が原因です。アクネ桿菌は、嫌気性の細菌のため酸素のない脂腺の奥に生息します。また、皮脂を好むため、詰まった毛穴の中で皮脂を栄養として過剰に増殖し、脂肪分解酵素のリパーゼを分泌し、皮脂を遊離脂肪酸にしてコメドとなります。このように皮脂が遊離脂肪酸へ変化し酸化され過酸化脂質へと酸化された結果、炎症が起きて赤くなったり、膿がたまって黄色い部分ができるという症状が起こります。
また、さらに進行すると、毛穴が破れて中身が流れ出し炎症が広がることもあります。その場合は皮膚の深い部分を傷つけてしまうため、炎症が治っても痕が残る場合が多いようです。

黒ニキビ イメージ

白ニキビ イメージ

赤ニキビ イメージ

ニキビができてしまったときの治し方 ①炎症のないニキビ

医療機関での治し方

ニキビの初期段階で、まだ炎症のない未発達の状態を「面皰(めんぽう)」と呼びます。
この状態は、毛穴内部に皮脂や古い角層のタンパク質といった角質のつまりが原因なので、面皰を専用の器具で除去する面皰圧出や、毛穴のつまりや炎症を改善する外用薬を用います。
外用薬には、毛穴のつまりをとる抗面皰作用をもつ薬剤として、ビタミンA誘導体のレチノイドの一種であるアダパレンや、酸化剤の一種である過酸化ベンゾイル(BPO)が一般的に使用されます。

家でのセルフケア

ニキビを予防するために自宅でできる簡単なケアとして、適切な洗顔で肌を清潔に保ちつつ、化粧水や乳液で水分と油分をバランスよく補い、古い皮脂や角質が残留しないように清潔な肌を持続させることが重要です。おすすめの化粧水や乳液として、ニキビに有効な成分(グリチルリチン酸ジカリウム、アラントイン、ビタミンC誘導体、リチル酸)が配合されたものや、保湿効果のあるもの、無添加成分のものを選びましょう。
また、市販薬を使用する場合は、ニキビになりにくい製品かをチェックするテストを通過した商品を選びましょう。該当する商品には「ノンコメドジェニックテスト済み」と表記されていますので、目安にしましょう。

ニキビができてしまったときの治し方 ②炎症のあるニキビ

医療機関での治し方

炎症がひどく化膿してしまったニキビや、顔全体に炎症が広がるなどの症状が見られる場合、すみやかに炎症を鎮めなければ患部が膿んでしまうなど更に悪化する可能性があります。
また、患部に強いかゆみや痛み、市販薬を使用しても効果がない場合は速やかに医療機関へ相談しましょう。

炎症が見られる赤ニキビは、炎症反応の原因となるアクネ桿菌を除去する治療が一般的です。おおまかな方法として、細菌そのものに対する抗菌作用、炎症に対する抗炎症作用が用いられます。
炎症が目立つ場合は抗炎症成分のあるミノサイクリン、ドキシサイクリン、ロキシスロマイシン、クラリスロマイシンなど、患部を広げないための抗菌作用を持つクリンダマイシンやナジフロキサシンといった一般的な抗生物質を用います。
また、面皰の治療に使用する過酸化ベンゾイルも抗菌作用をもち合わせているため効果的です。外用抗生物質は長期間使用することで耐性菌が出現するリスクを伴いますが、抗生物質ではない過酸化ベンゾイルでは耐性菌の出現がないという利点があります。

治療が長引き耐性菌が増加してしまうと、保険外治療としてケミカルピーリングや抗アンドロゲン治療、光線殺菌治療などを適用することがあります。

ニキビができてしまったときの注意点

洗顔をしすぎない

自宅でできるセルフケアの一つに洗顔がありますが、肌を清潔に保とうとするあまり一日に何回も洗顔してしまうのは逆効果です。肌に必要な油分を必要以上に流してしまうほか、洗顔時にニキビに触れてしまうことで傷がついてしまったり、刺激によって角質が硬くなるため、ニキビが悪化したり化膿する場合があります。
また、洗顔後の肌は乾燥しやすくなっているため、洗顔後のケアとして保湿を欠かさないように気をつけましょう。

ニキビを潰さない、触らない

「ニキビは潰せば治りやすい」といった説があります。実際に面皰圧出という治療法があるため、一概に誤りとは言えませんが、これは消毒した適切な器具で適切な方法で処置する場合を指します。ニキビを見つけたからと言って自分で潰そうとすると、かえって手指や爪、身近にあるピンセットなどの器具から雑菌が患部に付着し、潰した跡から雑菌が増殖しニキビが悪化することもあります。
また、ニキビが気になるあまり過渡に患部に触れてしまったり、髪の毛やマスクがこすれるといった外部からの刺激によって、ニキビが固くなったり化膿することもありますので、衛生面やケアの際には注意しましょう。

長時間のメイクはしない

外出前や大事なイベントが控えている場面では長時間メイクすることがありますが、化粧品を使用する場合には、薄化粧を心掛け、油分の多いファンデーションは選ばないようにしましょう。
必要以上に肌が油分を含んでしまうほか、化粧後の洗顔が適切でないと油分が落ちきらずにニキビの元となる場合があります。化粧後はしっかりスキンケアを行い、肌の保湿、清潔を保ちましょう。

ニキビの予防方法

ニキビ予防の基本

ニキビの原因は、毛穴の詰まりによる皮脂の滞留と炎症です。つまり、ニキビを予防するには、毛穴の詰まりを解消する事と過剰な皮脂分泌を抑制する必要があります。
たとえ、白ニキビや黒ニキビになってもニキビ予防の基本さえ理解していれば短期間で治療できてしまいますので、基本は頭に擦り込みましょう。

毛穴の詰まりを予防

ニキビを予防するならば、まず毛穴を詰まらせないことが重要です。
毛穴の詰まりはなぜ起きるかというと、不十分なスキンケアや加齢による肌ターンオーバーの乱れから剥がれ落ちずに残ったままになっていた古い角質が毛穴に入り、汚れやほこり、皮脂などとともに混ざりあった混合物質が毛穴に栓をしてしまうためなのです。
毛穴が詰まることにより毛穴の外に排出されるべき皮脂が滞留しはじめ、これがコメド(面皰)となりやがてニキビ(白にきびや黒にきび)へと進化していくのです。
毛穴の詰まりを予防するには、毎日の正しい洗顔を継続して行い、常に清潔で瑞々しい肌を実現する必要があります。肌が清潔であることは、汚れが毛穴内に溜まりにくく、古い角質や皮脂とも混ざり合う可能性が低くなるので非常に効果的です。

過度の皮脂分泌を抑制

過度な皮脂分泌は、ニキビの出来やすい肌にします。悪化させたニキビ跡やニキビ痕など肌にとって取り返しのつかないことになる直接的な原因となるので注意が必要です。余分な皮脂分泌を抑制するには、食生活と生活環境、洗顔法などを改善する必要があります。 皮脂は、糖分や脂質の多い食品を多く摂取することにより分泌量が増し、忙しい労働環境やストレスによるホルモンバランスの崩れも大きな原因となっています。睡眠不足も大きな原因のひとつで非常に重要な要素です。女性の場合は、生理前後にホルモンバランスが乱れますのでこの時期が特に重要です。皮脂分泌には男性ホルモンの分泌が大きく影響しているので、コントロールする必要も場合によってはございます。

ニキビに良い食物を摂る

抗酸化作用のあるビタミンはビタミンCとビタミンEで、これら栄養素を多く含む食品をバランス良く摂取する事で抗酸化作用が期待できます。ビタミンCはイチゴやレモンなどの果物から摂取できます。紫外線対策、排気ガス対策、禁煙などに注意しニキビの出来にくい生活環境を整えましょう。

ニキビ治療

ニキビ治療は下記のような目的に沿って、治療薬の処方や生活指導が行われます。

・ 抗酸化物質の塗布
・ アクネ菌の殺菌
・ 厚くなった角質を正常化させる
・ 皮脂分泌の正常化
一般的なニキビ治療は、ニキビができた部位を、日に1~2回低刺激性の石鹸で洗うのが効果的です。抗菌石鹸やスクラブ入り石鹸の使用は、有用な皮膚常在菌を過度に洗い流し、且つ皮膚を刺激し悪化させる恐れがあります。

医療品による治療

現在日本では、一般的に皮膚科で処方されるニキビ治療には外用の局所抗菌剤として、クリンダマイシン、ナジフロキサシンの2種類のほか、過酸化ベンゾイルや抗炎症剤が使われています。
外用の抗菌薬が効かない場合、毛穴の詰まりを取る効果のあるトレチノインなどを使いますが、トレチノインは日光に対し過度になる作用があり慎重な処方が行われる必要があります。処方なしで入手できる物として、サリチル酸やレゾルシノール、硫黄を含んだクリーム状の薬(軟膏)で、これらは吹き出ものを乾かす効果がありますが、若干のかさつきが生じる場合があります。 重症なニキビでは、ミノサイクリン、テトラサイクリン、エリスロマイシンなどの経口用抗生物質が使用される場合もあります。
いずれにせよ早い段階で専門の処方を受け治療を受けることが一番の近道であると考えます。

監修者

稲葉岳也医師

耳鼻咽喉科・皮膚科・アレルギー科

稲葉岳也医師

皮膚科・形成外科領域のレーザー治療、及びアレルギー疾患の総合的治療が専門です。皮膚科、美容皮膚科、形成外科、美容外科、耳鼻咽喉科、呼吸器内科、アレルギー科を主体として、幅広い視点で総合的な診療を行っております。レーザー機器を導入した医療を行っており、幅広い年齢層を対象としたホームドクターとして、地域密着の診療に尽力しております。

専門

日本耳鼻咽喉科学会認定 耳鼻咽喉科専門医/日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医

経歴

東京慈恵会医科大学卒業後、千葉大学大学院にて医学博士取得。
東京慈恵会医科大学附属病院、聖路加国際病院を経て、2004年にいなばクリニックを開業。

いなばクリニック公式HP

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