【掲載日】2022/11/18

耳が遠い(聞こえにくい)原因とは?治療方法まで解説

耳が遠い(聞こえにくい)原因とは

炎症や損傷

内耳(耳の中)での炎症で代表的なものは中耳炎です。膿がたまって聞こえにくくなります。
また、耳元で大きな衝撃音が鳴ったり、耳を殴打、鼓膜の損傷などでも聞こえが悪くなります。

ストレス・疲労

身体的ストレス(睡眠不足・栄養不足等)や精神的ストレス(仕事や人間関係等)が原因で難聴を引き起こすことがあります。耳鳴りやめまいを伴い、それが更にストレスとなって症状を悪化させるケースもあります。

加齢

加齢により耳の中の音を感知する細胞が減少してしまうことで聞こえが悪くなります。この減った細胞を再生させることはできません。耳が聞こえにくい為に、他人とのコミュニケーションを控えてしまったり、社会から離れてしまうことでうつ病や認知症になるリスクも高まります。

難聴になる原因と疾患

老人性難聴

加齢性難聴とも呼ばれ、加齢以外に難聴の原因がないものをいいます。内耳の中の、音を感じる細胞数が減少したり機能の低下により聞こえにくくなります。特徴としては、高音部から徐々に聞こえにくくなり、両耳ほぼ同時に進行します。また、男性の方が低下しやすいとも言われています。加齢に伴う機能低下のため、特別な治療法はありませんが、基本的には食生活と運動に気をつけ健康的に過ごすことが大切です。大きな音を避け、早い段階から補聴器を使用することで聴覚刺激が伝わり進行の予防にもなる可能性があるようです。

突発性難聴

ある日突然、片耳(まれに両耳)の聞こえが悪くなる疾患です。ウイルス感染や血流障害が原因という説が有力ですが、現時点でははっきりとした原因はわかっていません。突発性難聴は患者の3分の1が完治、残り3分の1が症状は緩和するが完治に至らず、残りの3分は改善がみられないという難治性の疾患です。発症してすぐに治療を始めないと聴力は固定してしまうため、早期発見・早期治療が非常に重要な疾病です。治療は、副腎皮質ステロイド薬の薬物療法が中心となり、その他血管拡張薬、ビタミンB12を併用することもあります。

急性及び慢性化膿性中耳炎

ウイルス感染などで中耳に炎症が起き、膿が溜まります。発熱の他、膿が外に出ようと鼓膜を押すため、強い痛みと難聴が生じ、鼓膜が破れると耳だれが出ます。慢性化膿性中耳炎は鼓膜に開いた穴や鼓膜の癒着を原因として感染と炎症を繰り返し、症状としては耳だれ、難聴、めまいがあります。

滲出性中耳炎

中耳に滲出液が溜まった状態で、この液に感染が起きていなければ痛みを伴うことはありません。耳管という管が潰されて発症することが多く、いつの間にかなっていたというケースが多いようです。小児では過去に中耳炎の治療を途中でやめてしまった時に多く起こります。症状は軽度ですが、難聴・耳鳴りなどがあるため幼児の場合は言語発達に影響があるため、チューブを用いた治療を行うこともあります。

真珠腫性中耳炎

鼓膜の一部が奥に入り込んで、垢や老廃物と混じって塊が形成されます。腫瘍ではなく炎症性の疾患で、放置すると中耳の周りの骨を溶かしていきます。塊が細菌感染すると膿や耳垂れが出て痛みが強くなり、重度の難聴や顔面神経麻痺、髄膜炎など命に関わる病気に発展する場合もあります。進行すると手術以外の治療はなく、躊躇している間に神経を損傷してしまうケースもありますので早期受診・早期治療が欠かせない病気です。

耳管狭窄症・耳管開放症

耳と鼻をつなぐ耳管という管の内腔が、狭くなったり開いたままになって働きが低下する疾患です。飛行機に乗った時や標高の高い所で耳の違和感を感じることがありますが、その際あくびをしたり唾液を飲み込んだりすることで、一時的に耳管が開き内耳内の気圧を調整しています。症状は狭窄症・開放症ともに、耳詰まり感、音がこもって聞こえる、耳鳴り、自分の声が響いて聞こえるなどがあります。

耳硬化症

耳小骨の一番奥にある「アブミ骨」という骨が振動しにくくなることで進行性の難聴となる原因不明の病気です。耳硬化症の治療は、9割が手術で聴力改善することが可能と言われていますが、「アブミ骨」は人体中で最小の骨のため、耳科手術の中でも最も繊細な手術とされています。

メニエール病

自分の周りがぐるぐると回っているように感じる「回転性のめまい」に加え、片耳の耳鳴りと難聴が同時に起こる病気です。その他吐き気や嘔吐を伴うこともあります。原因は内耳の内リンパにリンパ液が溜まること(内リンパ水腫)だと考えられており、ストレスや睡眠不足・過労なども影響して悪化させると言われています。

聴神経腫瘍

脳腫瘍の一種で、聴神経を包む細胞から発生する良性の腫瘍です。軽い耳鳴りで始まり、徐々に強くなっているのが特徴で、めまいや難聴の症状が出てきます。他の部分に転移することはありませんが、大きくなりすぎると脳幹を圧迫し命にも関わる病気なので軽視はできません。

外リンパ瘻

飛行機に乗った時やプールでの飛び込み、ダイビングなど外から圧がかかることや、くしゃみ・強く鼻をかむ、いきみなど体の中から圧がかかることなどが原因で、内耳の窓にあたる膜が破れてリンパ液が内耳に漏れてしまう疾患です。他にも耳かきで中耳を傷つけてしまった場合やむちうち・頭部打撲、また原因不明のケースもあり、外リンパ瘻の原因は日常茶飯事で、非常にたくさんの原因が考えられます。

耳性帯状疱疹(ラムゼイ・ハント症候群)

水疱瘡と同じ、「水痘・帯状疱疹ウイルス」が原因で、耳介や外耳道に激しい痛みとその後水疱ができます。神経がウイルスに感染して起こるため、皮膚症状の他に顔面神経麻痺・難聴・めまいの症状が現れることもあります。体の抵抗力が低下した時に起こりやすいため体調管理を十分に行い、水疱瘡が出るようならすぐに受診することが大切です。治療は抗ウイルス薬とステロイド薬の薬物療法が基本となります。

その他の原因によって耳が遠くなっているケース

老化

加齢とともに、内耳の感覚細胞の数は徐々に減っていきます。まず高音域が聞こえにくくなり、その後だんだんと中音域・低音域も同様に聞こえにくくなっていきます。老化現象のため治療法はありませんが、定期的な聴力検査を行い、必要であれば早めに補聴器を使用していくことで進行を遅らせることができる可能性があるようです。

ストレス

精神的ストレスや、寝不足・疲労などの身体的ストレスにより、自律神経が乱れると難聴が起こることがあります。重ねてめまいや耳鳴りが同時に起こることもあり、それらが更にストレスとなり、症状を悪化させ悪循環に陥る場合もあります。

耳垢

耳掃除をしているつもりが、反対に耳垢を奥に押しこんでしまい外字に耳垢が詰まって聞こえにくくなることがあります。耳垢は自然に外へ出ていくようになっているので、頻繁に耳掃除を行う必要はありません。また、耳に水が入った時や、小さい虫が入った時なども聞こえにくくなりますが、原因を除去すれば元通りに治ります。

気圧

耳の中の気圧は通常外の気圧と同じ状態に保たれていますが、飛行機の離発着時やエレベーターの急降下時、ダイビングの際など急激に気圧が変化すると、耳の中で気圧差が生じて痛みや耳鳴り、一時的に聞こえにくいなど違和感を感じることがあります。

耳が遠くならないための予防法

大音量を避ける

普段から大音量でテレビを見たり音楽を聴いたりしないようにしましょう。また、騒音など大きな音が常時出ている場所を避けたり、やむを得ず騒音下で仕事をする場合などは耳栓をして耳を守るようにしましょう。

ストレスを溜めない

ストレスが原因で難聴となるケースは少なくありません。一日の終わりに心と体をリラックスさせる時間を作り、ストレッチなど適度な運動や、ぬるめのお風呂にゆっくり浸かって日々の疲れを取りましょう。睡眠時間と睡眠の質も重要です。また、休みの日は趣味の時間や、旅行などで気分転換をし、ストレスを溜め込まないようにすることが大切です。

ビタミンB12を積極的にとる

ビタミンB12は損傷した末梢神経の修復を助ける働きがあります。レバーやあさり・しじみ、サンマなどに多く含まれていますが、補助的にサプリメントを活用しても良いでしょう。

まとめ

聞こえづらさは、自分ではなかなか気づきにくく、なんとなくそう思ったとしても「歳のせい」と感じて放置してしまう方が多いようです。難聴になると、必要な音が聞こえず社会生活に影響を及ぼしたり、他人とのコミュニケーションがうまくいかなくなることはもちろんのこと、危険を察知する能力も低下してしまうため日々の生活にも支障をきたすようになってしまいます。それが続くと自信がなくなったり、うつや認知症の発症リスクにも繋がります。人に呼ばれても気づかなかったり、聞き返すことが多くなってきたと自分自身で気づいたり、家族や友人に指摘されたときには、早めにクリニックを受診するのが良いでしょう。

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