【掲載日】2021/03/19

心筋梗塞とは?原因と予防

心筋梗塞イメージ

全体の5割は前兆なく突然発症。日本人の死亡原因第2位の心疾患(心筋梗塞)に注意

心筋梗塞ってこんな病気です

心筋を取り巻いている冠動脈の役目は心臓に血液と酸素を送ることですが、動脈硬化で硬くなりコレステロールなどが冠動脈の血管壁に沈着すると血液の通り道が塞がれ、心筋に血液を送ることができなくなります。そうなると、心筋が酸素不足となり、壊死してしまうのです。これが心筋梗塞です。

心筋梗塞では早期の受診が重要です

突然、胸が痛みだしたら・・・

我慢せずにすぐに救急車を呼びましょう。発症直後は危険な不整脈も生じやすく、発症後1時間以内に死亡する原因の多くがこれにあたります。タクシーや自家用車では不整脈の対処はできません。一刻を争いますのでただちに119番に連絡しましょう。
また、心停止の場合、家族やその場に居合わせた人が自動体外式除細動器(AED)の使用や心臓マッサージを行えるかどうかにより、助かる確率やその後の回復傾向も大きく変わります。大切な人を守るためにも「心肺蘇生法」の心得があるとよいでしょう。

主な原因

冠動脈がつまる原因のほとんどは、動脈硬化です。
(動脈硬化とは血圧や脂質の過剰摂取などのさまざまな要因で血管が柔軟性を失い、硬くなってしまう現象のこと)
そして動脈硬化の原因はひとつではなく、危険因子を多く持つ人ほど、動脈硬化が加速度的に早まることがわかっています。

  • リスク要因

    高血圧・肥満・糖尿病・高脂血症・喫煙・運動不足・家族歴

  • 引き金となる要因

    激務などによる過度の疲労・睡眠不足・強いストレス・暴飲暴食・うつ状態・急激な温度変化

    引き金となる要因イメージ

狭心症と心筋梗塞の違い

狭心症

冠動脈の動脈硬化が進み、血管の内腔が狭くなるのが「狭心症」。虚血になっても心筋は生きている。

  1. 症状…絞めつけられる、押さえつけられるような鈍い胸の痛み(数十秒~10分程度)。安静にすると治る。
  2. 硝酸薬(ニトログリセリン)の効果…ニトログリセリンを使用すると症状がおさまる
  3. 顔色…蒼白にはならない
  4. 血圧…上昇する

・労作性狭心症:重い荷物を持ったり、坂道を登る時など、心臓に負担がかかった時に症状が出るが、原因となる労作を中止することで症状も治まる。
・安静時狭心症(異型狭心症):冠動脈の一過性の痙攣が原因

心筋梗塞

冠動脈の動脈硬化が進み、血管が完全につまるのが「心筋梗塞」。一部の信金が壊死する。

  1. 症状…冷や汗や吐き気、意識喪失、恐怖感を伴う耐え難い胸の痛み(20分以上)
    安静にしても治らない。
    ※発作後、数時間で痛みが引くことがあるが壊死が始まり感覚がなくなるためで、壊死すると細胞は元の状態には戻らない。
  2. 硝酸薬(ニトログリセリン)の効果…ニトログリセリンを使用しても症状はおさまらない。
  3. 顔色…蒼白になる
  4. 血圧…降下する

検査方法

基本となる検査として、心電図、血液検査、画像検査(胸部X線検査、心エコー検査など)があります。
さらに、より詳細の検査として別の画像検査(マルチスライスCT検査やカテーテル検査)などがあります。

心電図

心筋梗塞特有の、典型的な波形の変化が見られるので、それを基に、血管の詰まった箇所や範囲が推定できます。

血液検査

心筋梗塞が起こり心筋が壊死すると、心筋細胞からさまざまな酵素が血液中に漏れ出ます。

  • CPK(クレアチンフォスフォキナーゼ)

    代表的な心臓マーカーの一つです。心筋梗塞の発症後、4~5時間経ってから血液中に増えてきます。

  • CK-MB(クレアチンキナーゼ)

    この酵素の血液中の濃度が上がると、かなりの確率で心筋に障害が出たと推定できます。数値は壊死の程度を反映します。

  • トロポニン

    最も早期に値の上昇が見られ、90~95%の精度で心筋梗塞の診断ができます。心筋梗塞の程度によりますが、発症後3~12時間で血液中に増え始め、数日間、高い値を示します。

  • BNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)

    このホルモンの血液中の濃度が高いと、心臓に負担がかかったり心筋が肥大したりしている状態です。自覚症状がなくても、心機能低下の早期発見に役立ちます。

画像検査

胸部X線検査

X線を当てて心臓の画像を得る検査です。心筋梗塞により左心不全(左側の心臓の機能低下)が起きていると、この検査で肺の鬱血【うっけつ】や心拡大といった心不全像が得られます。

心エコー(心臓超音波)検査

心エコー検査とは、超音波(エコー)という人の耳には聞こえない高い周波数の音波を使って心臓の状態を探るものです。心筋に血液が行かなくなることによって起こる心室の収縮性の低下や消失が、心電図の変化や心臓マーカーの上昇より早く出現するので、有用です。

マルチスライスCT

心臓全体を短時間で鮮明に撮影することができます。

カテーテル検査(冠動脈造影検査)

冠動脈に造影剤を流し込み、X線撮影する検査です。股の付け根や手首等から動脈に入れたカテーテル(細い管)を、冠動脈にまで持ってゆき、これを通じて造影剤を注入し撮影します。画像から、どの冠動脈がどの程度詰まっているかといった情報が得られ、診断の確定とそれに引き続いて行われる治療のために、緊急で心臓カテーテル検査が行われます。

その他、心筋シンチグラム検査(心臓核医学検査)などを行うことがあります。

治療法

初期治療

痛みを抑えたり、酸素吸入をしたり、一般的な治療とともに、危険な状態を脱するための処置や、緊急で行う冠動脈造影(カテーテル)の準備をします。
また心筋梗塞は不整脈を合併しがちで、発症後1時間以内に死亡する原因の多くは不整脈にあるので、薬を投与して対処します。

再灌流(さいかんりゅう)療法

閉塞した冠動脈を再び開通させる処置を一刻も早く行います。この再開通作業を再灌流療法と言い、発症から6時間以内にこれを実施し、成功すれば最も有効ですが、発症から12時間以内であれば有用性が高いとされています。

  1. 血栓溶解療法(線維素溶解療法)

    血栓溶解薬を使って血栓そのものを溶かし再開通を試みる方法
    発症後すぐ行わないと効果が見られないこと、また副作用として出血を起こしやすくなってしまうため、脳出血などの合併症に注意が必要ということがあげられます。

    カテーテル・インターベンション(PCI)

    カテーテル(細い管)を手や足から動脈に入れ、冠動脈の詰まった箇所まで持ってゆき、カテーテルの先端に装着したバルーン(風船)とステント(筒状になった網目の金属)を使って再開通させる方法です。体にメスを入れないので、外科手術に比べ体の負担が軽く、入院も数日で済むという利点があるので、現在、1枝病変(冠動脈の1本が詰まった状態)では、主にこの治療法が用いられています。

    冠動脈バイパス手術(CABG)

    冠動脈の詰まった箇所を迂回し、新たな血管(バイパス)を繋ぐ手術です。
    体の別のところから切り取ってきた血管の、一方を大動脈に繋ぎ、もう一方を詰まった箇所の先に縫い付けます。
    PCIが梗塞を再発しやすいのと比べ、新しい血管を設置するので血流が完全に改善されるという長所があります。ただし、急性心筋梗塞の場合は、手術の準備に時間を要するという難点があります。
    また、直径1.5ミリから2ミリくらいの血管を、髪の毛より細い糸で繋ぎ合わせる手術なので、執刀医の腕が問われます。手術時間が長くなると合併症を起こす危険性が加速度的に増すので、スピードも要求されます。

心筋梗塞治療イメージ

予防法

心筋梗塞の予防は、危険因子(喫煙・糖尿病・高脂血症・高血圧・肥満・運動不足等)と呼ばれる因子の除去に努め、動脈硬化の進行を予防することが大切です。
また、心筋梗塞は過度の疲労やストレス、暴飲暴食、気象条件(5度以下の寒い日、強風時、曇りや雨の日)などをきっかけに生じることが多いので、それらを避けることが大切です。そして血圧の急上昇を防ぐ注意をしましょう。寝る前や朝起きたときにコップ1杯の水を飲むことも効果的です。

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