【掲載日】2021/09/30

おたふく風邪の症状とは?原因や治療方法を解説

おたふく風邪とは?

「流行性耳下腺炎」を通称おたふく風邪と呼びます。これは、耳の前方下にある唾液を分泌する器官である耳下腺と、顎の下に位置する顎下腺が腫れて痛み、熱が出る症状です。 特に4歳以下の子供が感染しやすく感染力が非常に強い特徴があります。一度の感染で終生免疫(一生涯に渡って免疫ができる)という耐性ができますが、まれに成人以降に罹患する方もいます。この病気はかかっても軽症で済むことがほとんどですが、時には重症化し、合併症を引き起こすことでも知られています。

おたふく風邪の症状

おたふく風邪の症状が出るまでの期間

おたふく風邪の症状はすぐには発症せず、潜伏期間というものがあります。潜伏期間は病原体に感染してから体に症状が出るまでの期間、あるいは感染性を持つようになるまでの期間のことを指します。非常に感染力が強い反面、ほとんどの場合は感染しても症状のでない「不顕性感染」という状態になり、自覚症状がないために普段通りの生活をすることによって周囲に感染させてしまっている可能性があるので注意が必要です。
おたふく風邪は他の感染症に比べ潜伏期間が長く、潜伏期間は12~25日間(平均18日間)と言われています。

おたふく風邪の症状

おたふく風邪罹患後、2〜3週間の潜伏期間を経て症状が徐々に現れ始めます。
初期の症状として、原因となる菌が鼻・喉などの粘膜、首などのリンパ節で増殖し、血液によって全身に運ばれて広がります。そして、耳のすぐ前方下方向にある耳下腺、あごのえら辺りにある顎下腺、あごにある舌下腺などの唾液腺が腫れ始めます。通常片方の耳下腺が腫れ、その後70~80%の割合で反対側も腫れてきます。なお、腫れている耳下腺が赤くなることはほとんどありません。
唾液腺が腫れることで腫れた部分を押したり、飲食物を飲み込むときに痛みを感じます。特に酸っぱいものや硬いものを食べたときに、嚥下痛と呼ばれる強い痛みが出るため、食事が困難になることもあります。また、発熱を伴う場合もあります。通常こうした症状は、罹患後48時間以内にピークに達します。その他に、頭痛・食欲の低下・倦怠感など、風邪と似た症状が見られることもあります。これらの症状は、通常1〜2週間で治まります。
また、おたふく風邪から合併症を起こし、後遺症が残る場合があります。

難聴…おたふくかぜが治った後も残る後遺症として代表的なものが、難聴です。聴力が0なることはまれですが、一時的・部分的な聴力障害が残る可能性があると指摘されています。聴力回復は難しいため、もしおたふく風邪で難聴になった場合は、補聴器などで補う必要があります。

髄膜炎…約1割の患者さんに出る可能性があります。頭痛や嘔吐することもあります。

膵炎…非常に強い腹痛がおきます。

精巣炎/卵巣炎…思春期以降に感染すると、精巣炎・卵巣炎を起こすことがあると言われています。

不妊…精巣炎・卵巣炎に続いて耳下腺が両側腫れた場合、ごく稀に不妊になる可能性があります。

おたふく風邪の原因

おたふく風邪の原因となるのはムンプスウイルスです。ムンプスウイルスは感染者の唾液に多く含まれており、唾やくしゃみ・咳などの飛沫感染により周囲へ感染を拡大させます。幼児~小学校低学年くらいまでの小児が感染しやすく、季節を問わず年間を通して感染する可能性があり、特に春から初夏にかけて保育園や学校での集団感染によって流行しやすいといわれています。

おたふく風邪の感染経路は?

主な感染経路は2つ経路があり「飛沫感染」と「接触感染」です。
飛沫感染は、感染している人が咳やくしゃみ、会話などをすることでウイルスの含まれた唾液などが空気中に飛沫し、周囲の人が吸い込むことで感染します。また、飛散したウイルスが目の粘膜から体内に侵入して感染することもあります。
接触感染は、感染している人と同じタオルやコップを使用する、ウイルスが付着した手やドアノブ、手すりなどに触れた手で自分の口や鼻を触り、粘膜から体内に侵入することにより感染します。体の表面についただけでは感染はしないため、こまめな手洗い、アルコール消毒を心掛けるようにしましょう。

おたふく風邪の治療方法

おたふく風邪に効果的な特効薬・治療法はありません、ほとんどの場合1~2週間で自然に完治します。そのため、発熱や痛みには解熱鎮痛剤などを用いて症状を和らげ、痛みが激しく食事や水分補給もままならない場合は点滴などで補うといった対症療法にて処置します。

自宅療法で気をつけるポイントとして、食事の際に口を大きく開けたり、食べ物を飲み込む際にのどや顎が痛む可能性もあるため、食事はのどごしが良く刺激が少ないものや、嚥下の負担が少ないゼリー飲料、冷めたスープ類、ヨーグルトなどが望ましいです。発熱がある場合は補水が困難で脱水症状に陥る場合があるので、経口補水液や牛乳などの飲みやすい飲料でこまめに水分補給をしましょう。また、発熱時や腫れた部分の痛みが気になる場合は、保冷剤、冷却シートなどで冷やすことも効果的です。

おたふく風邪を予防する方法

おたふく風邪を予防するにはワクチン接種が有効です。基本的に2回接種する必要があり、1回目と2回目の間は1ヵ月以上間隔を空けるように決められています。
なお、現在日本国内では1歳から受けられますが、おたふく風邪ワクチンはまれに唾液腺の腫れ・無菌性髄膜炎などの副反応を起こすことがあるため、任意接種となっています。ですが、副反応が起こる頻度はおたふく風邪に感染して起こる症状・合併症と比較してかなり低いため、早めの予防接種をおすすめします。

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