【掲載日】2026/02/27
貧血を治療する時の薬の選び方は?種類や特徴を解説
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貧血の症状が続くと、立ちくらみや息切れなどの症状により、日常生活にも影響が出てしまいます。薬で症状を抑えようにも貧血の原因は様々で、薬の選び方も一様ではありません。鉄分を補う薬だけでよいのか、受診が必要なのか迷う場面も多いのではないでしょうか。
誤った判断で薬を使うと改善につながらない場合もありますので、貧血治療に使われる薬の種類と特徴を整理し、自分の状態に合った薬を選択しましょう。
貧血とは?
貧血とは、血液中の赤血球や血色素(ヘモグロビン)が不足し、全身に十分な酸素を運べなくなっている状態を指します。なかでも鉄分不足による鉄欠乏性貧血は頻度が高く、立ちくらみや息切れ、全身のだるさといった不調が現れやすくなります。
血液検査ではヘモグロビン(Hb)値が重要な指標となり、一般的に以下の基準を下回る場合、「貧血」と診断されます。
・男性:13.0 g/dL 未満
・女性:12.0 g/dL 未満
・妊婦:11.0 g/dL 未満
貧血の7つの原因
貧血は一つの理由だけで起こるとは限らず、生活習慣や体の状態、病気など複数の要因が関係すると考えられています。鉄分の不足が代表的ですが、それ以外にも栄養の偏りや体内で血液が作られにくくなる状態、出血を伴う病気などが原因となる場合があることを正しく理解しましょう。
鉄欠乏症貧血
鉄欠乏症貧血は、赤血球を生成するために必要な鉄分が体内で不足することで起こります。
食事からの鉄分摂取が少ない場合や、月経や出血によって鉄が失われ続ける状態が主な要因と考えられます。特に女性に多くみられ、慢性的なだるさや立ちくらみにつながることがあります。
ビタミンB12欠乏性貧血
ビタミンB12欠乏性貧血は、赤血球の正常な生成に必要なビタミンB12が不足することで生じます。食事量が少ない場合や、胃や腸の働きが弱まり吸収が低下している場合に起こりやすいとされています。貧血症状に加え、しびれなどの神経症状がみられることもあります。
葉酸欠乏性貧血
細胞分裂に関わる葉酸(ビタミンB9)が不足することで、必要な赤血球の生成がうまく行われなくなる状態です。偏った食生活や、妊娠中など葉酸の必要量が増える時期に起こりやすい傾向があります。進行すると、全身のだるさや息切れなどが目立つようになります。
鉄の吸収不良
食事から鉄分を取っていても、胃や腸の働きが弱っていると体内に十分吸収されない場合があります。胃の手術後や消化管の病気がある場合など消化吸収機能が低下している場合にみられ、食事量の改善だけでは改善しにくく、根本となる器官の回復が必要とされる点が特徴です。
溶血性貧血
赤血球が壊れやすくなることで起こる貧血で、何らかの原因により赤血球の寿命が短くなると、生成される量が追いつかず、貧血状態になることがあります。体質や病気、薬の影響などが関係する場合があり、黄疸や尿の色の変化などを伴うこともあります。
慢性病貧血
腎臓の病気や炎症が長く続く状態では、体の中の鉄の利用や赤血球の生成が妨げられ、貧血症状が起こります。鉄分が不足していない場合でも貧血が生じる点が特徴で、背景にある病気への対応が重要になる点が特徴です。
再生不良性貧血
骨髄の働きが低下すると、必要な赤血球が十分に作られなくなります。
赤血球だけでなく、白血球や血小板も減少する場合があり、感染症や出血しやすくなる点が特徴です。加齢や特定の病気、治療の影響など様々な要因が考えられるため、特定しにくいことも多く専門的な治療が必要とされます。
貧血の主な症状
貧血になると、血液による酸素の運搬が十分に行われなくなり、立ちくらみやめまい、息切れ、動悸、疲れやすさなど全身にさまざまな不調が現れます。また、顔色が悪くなる、集中力が続きにくいといった変化を感じる場合もあります。
貧血の治療法
貧血の治療は、原因に応じた対応を行うことが基本となります。鉄分不足が原因の場合は、食事の見直しや鉄剤の使用が検討されます。一方で、ビタミン不足や病気が関係している場合は、必要な栄養素の補充や原因疾患の治療が重要です。自己判断で対処せず、医師の指示に基づいて治療を進めることが改善につながります。
内服薬
| 有機鉄剤 | 徐放性鉄剤 | シロップ剤 | |
|---|---|---|---|
| 薬剤名 | フェロミア | フェロ・グラデュメット | インクレミン |
| 効果 | 溶けやすい特性を持ち、消化管からの吸収が良い | 鉄がゆっくり放出されるため、胃粘膜への刺激が少ない | 乳幼児や小児の鉄欠乏貧血に有効 |
| 用法 用量 |
食後 1~2回に分割 | 1日1~2回など、服用回数が少ない | 3〜4回に分けて適量投与 |
| 胃腸への影響 | 胃腸症状が比較的起こりにくい | 胃への急激な刺激が少ない | 液状のため吸収しやすく胃腸障害も起こりにくい |
| 対象者 | 胃が弱く、長期間の服用が必要な場合 | 服用回数を減らしたい場合 | 乳幼児や小児、嚥下力の弱い高齢者 |
リオナ®錠とは
リオナ®錠は、もともとは慢性腎臓病に伴う「高リン血症」の治療薬でしたが、鉄分を補う効果が認められたため、2021年に「鉄欠乏性貧血」への適応が追加されました。
従来の鉄剤とは異なり、腸での吸収を調整する働きがあり、必要以上に鉄が取り込まれにくい点が特徴とされています。そのため、体への負担を抑えながら鉄欠乏状態の改善を目指せる可能性があります。また、胃や腸への刺激が比較的少ないとされ、これまで鉄剤で胃の不快感が出やすかった方でも継続しやすい場合があります。
比較的副作用が少ないとされていますが、まれに下痢や腹部の張りなどの消化管症状がみられることがあります。また、体質によっては吐き気や腹痛を感じる場合もあります。
注射
| 項目 | 筋肉内投与の注射鉄剤 | 高用量投与が可能な注射鉄剤 |
|---|---|---|
| 薬剤名 | フェジン®筋注 | フェインジェクト®静注 |
| 効果 | 筋肉から徐々に吸収され、持続的な補充が見込まれる | 一度に多量の鉄を補給でき、短期間での改善が期待される |
| 用法 | 筋肉内に注射 | 点滴で一定時間かけて投与 |
| 用量 | 数回に分けて投与される場合が多い | 必要鉄量を算出したうえで投与される |
| 対象 | 内服が難しい場合や継続的な補充が必要な場合 | 重度の鉄欠乏性貧血や早期改善が求められる場合 |
| 注意点 | 注射部位の痛みや色素沈着が起こることがある | 投与中・投与後の体調変化に十分な注意が必要 |
治療した方がいい貧血の種類
| 貧血の種類 | 症状・特徴 | 治療すべき理由 |
|---|---|---|
| 鉄欠乏性貧血 | 体内の鉄分不足により赤血球が十分に作られず、疲れやすさ、立ちくらみ、息切れなどが現れやすい。 | 原因を確認し、適切に鉄分を補う治療が必要となる。放置すると慢性化しやすい。 |
| 再生不良性貧血 | 骨髄の働きが低下し、赤血球が作られなくなる。同様に白血球や血小板も減少し、強いだるさ、免疫低下、出血しやすいなどの症状がみられる。 | 自然に回復することは少なく、進行すると重篤な状態になる可能性がある。 |
| 巨赤芽球性貧血 | ビタミンB12や葉酸の不足により、赤血球が正常に成熟しない。舌や手足のしびれなどが起こることがある。 | ビタミンB12不足では神経障害が残る可能性があるため、早めに原因を特定し、適切な補充治療を行うことが重要。 |
| 溶血性貧血 | 赤血球が通常より早く壊れることで貧血が進行する。関連して、黄疸や尿の色の変化などの症状を伴う場合がある。 | 免疫異常や遺伝による原因も考えられるため、医療機関での検査が必要となる。 |
| 二次性貧血 | 慢性疾患や炎症、腎臓の病気などが影響し、鉄が十分あっても貧血が起こる。 | 貧血の背景にある病気への対応が不可欠であり、放置すると全身状態の悪化につながる。 |
| 出血性貧血 | 外傷や消化管出血、月経過多などにより血液が失われて起こる。 | 出血が続く限り貧血は改善しないため、原因の特定と止血を含めた治療が不可欠となる。 |
放置するとどうなる?
貧血の種類を問わず放置すると、体内に十分な酸素が行き渡らない状態が続き、日常生活にさまざまな支障が生じる可能性があります。疲れやすさや息切れが悪化し、仕事や家事に集中しにくくなるだけでなく、動悸やめまいによって転倒のリスクが高まることも考えられます。さらに、原因となる病気が隠れている場合、貧血を放置することで本来治療すべき疾患の発見が遅れるおそれがあります。再生不良性貧血や溶血性貧血などでは、感染や出血の危険性が高まり、重篤な状態に進行する可能性も否定できません。
病院受診の目安
病院での治療を要する貧血かどうかを判断する注目すべきポイントは、自覚症状の有無と強さです。立ちくらみやめまい、息切れ、動悸、強いだるさなどが日常生活に支障をきたしている場合や、軽い不調であっても、長期間続いている場合には注意が必要です。
次に重要なポイントは貧血の進行具合です。貧血の原因が明確であったり、血液検査により数値が明らかに低下していたりする場合は、症状が軽くても治療が勧められることがあります。
まとめ
貧血は原因によって適切な治療法が異なり、治療に使われる内服薬や注射薬にもそれぞれ特徴があるので、症状の程度や体の状態に応じた治療法を選択することが求められます。
また、基礎疾患や自覚しにくい体の異常が貧血の背景に隠れていることもあり、放置すると全身症状の悪化につながるリスクも否定できません。
「貧血だから大丈夫」と軽視せず、医療機関を受診する目安を理解したうえで、早めの対応を心がけましょう。
著者情報

JCVN編集部
JCVNでは、病気やからだに関する様々な知識をコラムとして掲載しております。
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