【掲載日】2025/12/27
帯状疱疹に効く薬とは?飲み薬・塗薬の種類や違いを徹底解説
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帯状疱疹に効く薬とは?飲み薬・塗薬の種類や違いを徹底解説
帯状疱疹といえば、以前は高齢者が多く罹患する病気だとされていましたが、近年その患者数は増加傾向にあり、年齢層も低年齢化していると言われています。これは、高齢化やストレス社会による免疫力の低下の他に、子どもの水痘ワクチン普及による水ぼうそう患者数の減少とそれによって大人が水ぼうそうウイルスに晒される機会が少なくなり、ウイルスに対する免疫がなくなっていることが原因と考えられています。日本では2016年から帯状疱疹ワクチンの任意接種が始まり50歳以上の方には接種が推奨されています。また2025年4月1日からは、65歳以上の方などを対象に定期接種も始まりました。
この記事では、帯状疱疹の治療薬や薬の種類などについてまとめましたので何かの際の参考にして頂ければ幸いです。
そもそも帯状疱疹の治療法とは?
帯状疱疹は、水疱瘡と同じウイルスが原因です。体の中に潜んでいた水痘・帯状疱疹ウイルスが、大人になって免疫力の低下により再び活性化することによって発症します。基本的な治療は、抗ウイルス薬を投与し、ウイルスの増殖を抑える治療法となります。帯状疱疹の抗ウイルス薬は、発症して72時間以内に投与すると効果を発揮すると言われています。帯状疱疹の疑いがあったら、できるだけすぐに医師の診察を受けましょう。また、対症療法として痛みを和らげる鎮痛剤を使用することもあります。症状によって内服薬のほか、皮膚の炎症や発疹・水ぶくれ部分に直接塗布して痛みの緩和や水ぶくれからの化膿を防ぐための外用薬が処方され、痛みがひどい時には帯状疱疹後神経痛でも使用される神経ブロック注射などを行うこともあります。

帯状疱疹に効く薬とは?【飲み薬】
帯状疱疹と診断された際に処方される薬には、まず水痘帯状疱疹ウイルスの増殖を抑えるための抗ウイルス薬があります。同時に、痛みや皮膚の炎症が症状に現れている場合は、症状を抑えるために抗炎症剤や鎮痛剤が処方されます。ここでは処方される主な抗ウイルス薬について詳しく記載していきます。帯状疱疹治療薬として使用する場合、どの薬も7日間使用しても改善の兆しが見られない場合、あるいは悪化する場合には他の治療に切り替えるように添付文書に明記されています。
アシクロビル(抗ウイルス薬)
先発品薬剤名:ゾビラックス
後発品薬剤名:アシクロビル
抗ヘルペスウイルス薬のひとつで、水痘・帯状疱疹ウイルスに対して有効性を持つ薬です。
帯状疱疹の他、単純疱疹の治療や、造血幹細胞移植における単純ヘルペスウイルス感染症の発症抑制にも使用されます。ウイルスが増殖する際に必要なDNAの複製を阻害することでウイルスの増殖を抑える作用があります。
帯状疱疹の治療に使用する場合、発疹が出てから5日以内に投与することとされており、発病初期に近いほど効果が期待できるため、より早期の投与が望ましいとされています。通常成人には、1回800mgを1日5回経口投与されますが、腎機能が低下している高齢者などに対してはクレアチニンクリアランス値(老廃物であるクレアチニンが尿中にどのくらい排泄されているかをみるための腎機能の指標)に応じて、投与量や投与間隔を調整する必要があります。また、免疫機能が低下した患者には、経口投与ではなく点滴静脈内投与が検討される場合もあります。
重大な副作用としては、アナフィラキシーショック、汎血球減少、無顆粒球症、血小板減少、播種性血管内凝固症候群(DIC)、血小板減少性紫斑病、急性腎障害、尿細管間質性腎炎、精神神経症状、中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群、呼吸抑制、無呼吸、間質性肺炎、肝機能障害、急性膵炎などの可能性があることが添付文書に記載されています。(添付文書参照元:日本薬局方_日本ジェネリック株式会社『アシクロビル錠400mg「CH」』)
アシクロビル錠400mg 1錠あたりの薬価:33.5円
バラシクロビル(抗ウイルス薬)
先発品薬剤名:バルトレックス
後発品薬剤名:バラシクロビル
抗ヘルペスウイルス薬のひとつで、水痘・帯状疱疹ウイルスに対して有効性を持つ薬です。
帯状疱疹の他、単純疱疹・水痘の治療や、造血幹細胞移植における単純ヘルペスウイルス感染症の発症抑制、性器ヘルペスの再発抑制にも使用されます。ウイルスが増殖する際に必要なDNAの複製を阻害することでウイルスの増殖を抑える作用があります。
帯状疱疹の治療に使用する場合、発疹が出てから5日以内に投与することが望ましいとされていますが、発病初期に近いほど効果が期待できるため、より早期の投与が望ましいとされています。
通常成人には、1回1000mgを1日3回経口投与されますが、腎障害のある患者に対しては前述のクレアチニンクリアランス値に応じて、投与量や投与間隔を調整する必要があります。
重大な副作用としては、アシクロビルとほぼ同内容での事象が添付文書に記載されています。(添付文書参照元:日本薬局方_ニプロ株式会社『バラシクロビル錠500mg「NP」』)
バラシクロビル錠500mg 1錠あたりの薬価:67.5円~153.2円/500mg1錠(製薬会社により異なる)
ファムシクロビル(抗ウイルス薬)
先発品薬剤名:ファムビル
後発品薬剤名:ファムシクロビル
抗ヘルペスウイルス薬のひとつで、単純疱疹または帯状疱疹の治療に使用されます。ウイルスが増殖する際に必要なDNAの複製を阻害することでウイルスの増殖を抑える作用があります。
帯状疱疹の治療に使用する場合、目安として発疹が出てから5日以内に投与することが望ましいとされていますが、発病初期に近いほど効果が期待できるため、より早期の投与が望ましいとされています。また、原則として7日間続けて使用することとされています。
通常成人には、1回500mgを1日3回経口投与されますが、腎障害のある患者に対しては前述のクレアチニンクリアランス値に応じて、服薬量や服薬間隔を調整する必要があります。
重大な副作用としては、精神神経症状、重篤な皮膚障害、急性腎障害、横紋筋融解症、アナフィラキシー、汎血球減少、無顆粒球症、血小板減少、血小板減少性紫斑病、呼吸抑制、間質性排煙、肝機能障害、急性膵炎などの可能性があることが添付文書に記載されています。(添付文書参照元:日医工株式会社_『ファムシクロビル錠250mg「日医工」』)
ファムシクロビル錠250mg 1錠あたりの薬価:68.9円~82.8円(製薬会社により異なる)
帯状疱疹に効く薬とは?【塗り薬】
帯状疱疹は、神経に沿って帯状に赤い発疹と水ぶくれができるのが特徴です、体の左右どちらか片側に出現し、強い神経痛を伴う場合が多く見られます。症状が出たらできるだけ早く皮膚科または内科を受診しましょう。帯状疱疹は診察だけで診断がつくことがほとんどで、内服の抗ウイルス薬の他に鎮痛薬、そして皮膚の発疹や水ぶくれには直接塗布できる外用薬が処方されます。基本的に帯状疱疹にはステロイド剤はタブーとされていますので、自己判断で自宅にある薬を塗ることにより悪化してしまうことがあります。きちんと医師の診察を受けて早期に治療するようにしましょう。赤い発疹には非ステロイド性の抗炎症薬が、水ぶくれがひどく皮膚症状の重い場合には皮膚腫瘍治療薬が処方されることが多いようです。
ビダラビン軟膏(抗ウイルス薬)
先発品薬剤名:アラセナ
後発品薬剤名:ビダラビン
ビダラビンは抗ヘルペスウイルス薬のひとつで、ウイルスのDNA複製に必要な酵素の働きを阻害しウイルスの増殖を抑え、痛みなどの皮膚症状を改善する働きをします。
原則として発症から5日以内に使用開始することとされていますが、発病初期に近い時期に使用するほどより効果が期待できます。7日間使用し、改善の兆しが見られない、もしくは悪化する場合には他の治療を検討することととされています。ビダラビン軟膏は比較的軽症で、帯状疱疹後神経痛の恐れがない場合に処方されることが多いようですが、重症の場合はビダラビンの点滴静注が必要になる場合もあるようです。
塗り薬であるビダラビン軟膏の用法及び用量は、1日1~4回を患部に塗布、または貼布し使用します。
副作用としては、接触皮膚炎の症状、刺激感、そう痒感等などが出る可能性があり、皮膚にかゆみやチクチクとした不快感が生じることがあります。(添付文書参照元:沢井製薬株式会社_『ビダラビン軟膏3%「SW」』)
ビダラビン軟膏3%の薬価:74.1円/g
コンベック軟膏(非ステロイド抗炎症薬)
非ステロイド性抗炎症薬のひとつで、皮膚の腫れや赤み、痛みや痒みを緩和させる薬です。
帯状疱疹の他、急性湿疹・慢性湿疹・アトピー皮膚炎・脂漏性湿疹・接触皮膚炎・おむつ皮膚炎・口囲皮膚炎等にも効果があるとされています。
1日数回患部に塗布または貼布して使用します。
副作用としては、発赤 ・そう痒・丘疹・接触皮膚炎・腫脹・潮紅などの過敏症の他、刺激感・灼熱感・乾燥などの皮膚状態が見られる可能性もあります。(添付文書参照元:田辺三菱製薬株式会社_『コンベック軟膏5%』)
コンベック軟膏5%の薬価:13.2円/g
ゲンタシン軟膏(化膿疾患外用薬)
ゲンタシン軟膏にはゲンタマイシン硫酸塩が含有されており、この成分は抗菌効果に優れ細菌の増殖を防ぐ効果のある抗生物質です。多くの細菌類に効果を発揮し、1970年に販売開始されて以来、皮膚感染症、やけどや潰瘍の二次感染など皮膚表面の感染症に広く使用されてきました。
帯状疱疹自体を治療する薬ではありませんが、薬の成分が皮膚表面にとどまることで表皮に存在する細菌に対して殺菌効果を発揮するため、症状の緩和に繋がるという点で補助的に使用される外用薬です。
1日1~数回、清潔にした患部に塗布またはガーゼなどにのばしたものを貼布して使用します。長期間の使用は、耐性菌ができてしまう可能性があるので避けた方がよいとされています。
ゲンタシン軟膏の副作用はまったくないわけではありませんが、皮膚からの吸収がほとんどされないため、体内で生じる副作用も少ないとされています。
ゲンタシン軟膏0.1%の薬価:11円/g
ゲーベンクリーム(潰瘍治療薬)
この薬は、通常、外傷・熱傷や手術後の二次感染・床ずれの皮膚潰瘍などの皮膚感染症の治療に用いられる薬です。帯状疱疹においては、水ぶくれなどで深い傷になりそうな皮膚症状の重い場合に処方されることがあります。
有効成分は、スルファジアジン銀という銀成分で、抗菌作用があり細菌の増殖を抑制する効果があります。
用法は1日1回、滅菌手袋等を用いて患部に厚さ2~3mmで直接塗布するか、ガーゼ等に同様にのばし、それを貼付して包帯を巻くようにします。2日目以降の塗布は、前日に塗布した同剤を清潔な布でふき取るか洗い落とした後に新たに塗布するようにします。
重大な副作用としては、汎血球減少、皮膚壊死、間質性腎炎等があらわれる可能性があります。(添付文書参照元:田辺三菱製薬株式会社_『ゲーベンクリーム1%』)
ゲーベンクリーム1%の薬価:12.8円/g
帯状疱疹の飲み薬と塗り薬の違い
帯状疱疹の薬には、原因となっているウイルスの増殖を抑え治療するための飲み薬と、皮膚状態を緩和したり悪化させないための塗り薬があります。鎮痛剤や塗り薬は市販でも入手できますが、抗ウイルス剤の飲み薬は処方薬のみとなっているため、帯状疱疹が疑われる場合には出来るだけ早い時期に内科または皮膚科を受診する必要があります。
効果の違い
帯状疱疹と診断されたら、まず原因となっている水痘・帯状疱疹ウイルスの増殖を抑えるために抗ウイルス剤の飲み薬が処方されます。内服薬は全身に作用するため、投与時期を早期にするほど早い段階でウイルスの増殖を抑え、症状の悪化を防ぐことができます。抗ウイルス剤の投与時期が遅くなると、ウイルスが増殖して神経線維を傷つけ、帯状疱疹後神経痛を発症してしまうため、それを予防するためにも早期の受診と抗ウイルス剤の早期投与開始が重要なポイントとなります。
また、塗り薬には、先に述べたようにビダラビン軟膏のような抗ウイルス薬もありますが、多くは消炎鎮痛剤や抗菌剤のように、患部の炎症やかゆみ・痛みを軽減させるために部分的に使用するための薬となります。
使用場面の違い
内服薬は体内で全身に作用し、抗ウイルス薬の投与によりウイルスの増殖を抑えることができるため、帯状疱疹治療の主軸となります。また、症状が広い範囲に広がっている場合や、症状が重い場合なども内服による体内投与が有効に働きます。帯状疱疹の治療において早期に投与開始することは、帯状疱疹後神経痛の発症を予防することにも繋がります。
また、免疫機能が低下した患者には、経口投与ではなく点滴静脈内投与が検討される場合もあります。
塗り薬は、患部の痛みやかゆみが強い場合に、症状を和らげる目的で内服薬と併せて消炎鎮痛剤などが補助的に処方されます。また、発疹が悪化して水ぶくれや二次感染を起こしている状態の時には、抗菌力の高い塗り薬が処方されます。局所的に作用するため、重篤な副作用の心配が少なく、痛みや炎症に直接塗布して症状を緩和させることができます。
帯状疱疹の治癒後に注意したい神経痛について
帯状疱疹の皮疹が消失した後に残る合併症として、帯状疱疹後神経痛(PHN)があります。
これは、帯状疱疹の際に表れる皮膚表面の炎症から来る痛みではなく、帯状疱疹治癒後に起こる後遺症で、帯状疱疹発症の際には正常であった神経線維が、ウイルスによって傷つけられ損傷したことで引き起こされると考えられています。神経が損傷し、痛覚過敏や痛みを抑制する機能に障害が起きると、軽く触れただけでも痛みを感じる「アロディニア」と呼ばれる皮膚感覚の異常が生じます。具体的にはヒリヒリ・ズキズキする痛み、針で刺すような痛み、焼けるような痛みを感じることが多く、「服が擦れて痛い」、「触るだけで体が痛くて洗えない」というように日常生活に支障をきたすケースも少なくありません。このPHNには絶対的な治療法はなく、薬物療法を中心に鎮痛薬やオピオイドと呼ばれる麻薬性の薬剤、又は神経ブロック療法で局所麻酔薬を注射するなどで痛みをコントロールしてうまく付き合っていくしかないとされています。特に高齢者や帯状疱疹の初期症状が重症であった人は帯状疱疹後神経痛を発症しやすいため、それを予防するためにも帯状疱疹の疑いがあったらすぐに病院を受診し治療を開始することが重要です。特に発疹が出現してから治療を開始するまでに72時間以上が経過してしまうと帯状疱疹後神経痛の発症率が高くなるとされていますので早期の治療開始が望まれます。また、50歳以上は帯状疱疹ワクチンの接種が可能なので、根本的な予防策として50歳を過ぎたらワクチン接種を検討することも推奨されています。
帯状疱疹の市販薬における注意点
帯状疱疹の治療薬は市販されておらず処方薬のみとなりますが、痛みやかゆみなど辛い症状を和らげるための薬は市販でも入手できます。すぐに病院に行けない場合などには市販の鎮痛薬や塗り薬を使って一時的にしのぐことも有効ですが、市販薬ではウイルスの増殖を抑えることはできませんので根本的な治療にはなりません。帯状疱疹の治療は、とにかく早期の治療開始が重要です。帯状疱疹かもと思ったらすぐに内科や皮膚科を受診し、診断を受けたら処方薬の抗ウイルス剤を服用するようにしましょう。
帯状疱疹の痛み止めとして使用される市販薬
カロナール(非ピリン系解熱鎮痛薬)
【カロナールA】は、1錠中にアセトアミノフェン300mg配合。中枢神経系に速やかに作用します。効き目は穏やかで他の鎮痛剤に比べると鎮痛作用についてもやや弱い反面、胃腸や腎臓への負担は少ないです。抗炎症作用はほとんど期待できません。妊婦にも使用可能で、高齢者などにも効き目が穏やかな分、胃腸や腎臓への影響が少なく安全面で選ばれる場合も多いです。鎮静催眠成分は含んでいません。
ロキソニン(非ステロイド性抗炎症薬NSAIDs)
【ロキソニンS】は、痛みにすばやく効く鎮痛成分「ロキソプロフェンナトリウム水和物」が痛みの原因となっている物質「プロスタグランジン」の分泌を抑え鎮痛効果を発揮します。ただし、高血圧の方、腎機能が低下している方や消火器症状のある方は使用を控えた方がよい場合があります。
鎮痛薬として効果が期待できるが胃腸が弱い人は服用には注意が必要です。急性期の痛みの緩和に効果的ですが、慢性的な痛みに対しては限定的な効果しかないことが多いため、長期間の使用は避けた方が良いとされています。また、帯状疱疹後神経痛は、神経そのものが異常な活動をすることで生じる痛みのため、NSAIDsは効かないとされています。
タイレノール(非ピリン系)
【タイレノールA】は、1錠中にアセトアミノフェン300mg配合。胃にやさしく空腹時にも飲め、小児から高齢者、妊婦と幅広く使える鎮痛薬です。眠くなる成分を含んでいません。アセトアミノフェンは、痛みの原因物質である「プロスタグランジン」を作り出す酵素「シクロオキシゲナーゼ」の働きを阻害することで痛みを抑えると考えられています。抗炎症作用はなく、鎮痛効果もNSAIDsと比べるとやや穏やかです。その分、重大な副作用の心配がNSAIDsより少なく、NSAIDsで起こりやすいとされている消化性潰瘍などの胃腸障害も起こりにくいとされています。
イブ(非ステロイド性抗炎症薬NSAIDs)
【イブA錠EX】は、1回2錠中にイブプロフェン200mgを配合。イブプロフェンは痛みのもとである「プロスタグランジン」の生成を抑える鎮痛成分で、それ以外にイブプロフェンの鎮痛作用を高めるアリルイソプロピルアセチル尿素と無水カフェインも配合されています。鎮静成分を含むため眠気が起こることがあります。服用間隔は4時間以上おき、1日3回を限度として服用することとされています。帯状疱疹後神経痛に対してはNSAIDsは効かないとされています。
帯状疱疹の薬の料金が高い理由とは?
医療用医薬品の価格は「薬価」と呼ばれ、製薬企業が勝手に決めているわけではなく、くすりの効果などを考慮して厚生労働省によって決定されます。これを「公定価格」といい、基本的に改定は2年に1度で、改定のたびに薬価は引き下げられます。薬価の決め方には二通りがあります。
①類似薬効比較方式:
似た効果を持つ類似薬がある場合、その薬を基準に価格が決まります。
②原価計算方式:
過去に発売された医薬品の中に類似品がない場合で、新薬の製造原価・販売促進のための宣伝費用、研究開発費・営業利益などを積み上げて薬価とします。この方式の問題点として、製薬会社が提示する製造原価の根拠や適正性に透明性が疑問視されることもあります。
帯状疱疹の薬、例えば「アメナリーフ錠200mg」は2017年に新薬として発売され、2024年11月時点での薬価は1錠1177.5円です。この薬は1日2錠を1度に服薬すればよいため患者さんにとって使用しやすい用法用量となっていますが、連続投与が必要と考えられる7日分の処方で16485円、3割負担で4945.5円となります。これは、当初、薬価設定の際に類似薬であったファムビル錠(一般名:ファムシクロビル)の1日薬価にあわせて薬価が決められたためです。その後の薬価改定を経て少しずつ価格は下がっていますが、新薬については極端に価格が下がらないよう特別なルールが設けられているため、いまだに薬価が高止まりしている状態です。
帯状疱疹を薬で治療する際のポイント
帯状疱疹は基本的には内服薬の投与により治療が可能です。その際にいくつかの気を付けるポイントがありますのでご紹介します。
ポイント1 早期治療の開始
帯状疱疹は発症後72時間以内に抗ウイルス剤を投与することが重要とされています。それ以上経過してしまうと、後遺症である帯状疱疹後神経痛になる可能性が高くなるためです。帯状疱疹後神経痛となると、そこから長期間激痛が続いたり、「アロディニア」と呼ばれる皮膚感覚の異常により日常生活に大きく支障をきたす状態が続いてしまいます。帯状疱疹の初期症状としては身体の片側だけにピリピリした痛みや違和感が出現し、その数日後に赤みや水疱が見られるようになります。帯状疱疹の疑いがあったら早期に内科や皮膚科で医師の診察を受けましょう。
ポイント2 患部を冷やさない
帯状疱疹の治療中は、処方された薬を指示された期間しっかり飲み続けることが大切ですが、いくつかのしてはいけないことについて注意が必要です。
皮膚に赤みや炎症がおきている状態だと、患部を冷やしたくなる人も多いかもしれませんが、帯状疱疹の場合は冷やすと血管が収縮して血行が悪くなり痛みが更に強くなります。反対に患部を温めると血行が促進され痛みが軽減するので、カイロや温湿布・温めたタオルなどを患部に当てて温めると良いとされています。
ポイント3 水ぶくれを破らない・ガーゼ等で覆う
患部が水ぶくれになっている場合は、破らないように気を付けましょう。破れた部分から細菌が入り感染症を引き起こす可能性があります。また、この帯状疱疹のウイルスは感染力が非常に高いです。感染防止のため、水ぶくれの部位はガーゼ等で覆い、水ぶくれが乾燥するまでは周りの人との接触に注意しましょう。免疫力が正常な大人であれば水痘・帯状疱疹ウイルスに感染しても帯状疱疹は発症しませんが、高齢者や免疫力が低下している人の場合は帯状疱疹が出現することがあります。また、ウイルスの抗体を保有していない
乳幼児に感染すると、水疱瘡を発症しますので子どもとの接触は特に注意が必要です。
ポイント4 休養をしっかりとる
帯状疱疹を発症した場合は、体力と免疫力が低下している状態です。早期に治療が開始できて抗ウイルス剤を投与できたとしても、発症中に無理をすることで症状の重篤化に繋がり、後遺症である帯状疱疹後神経痛に移行してしまう可能性があります。十分な栄養を取りながら、体をゆっくりと休めることが大切です。
帯状疱疹の薬に関する質問
帯状疱疹やその薬について、よくある質問を下記にまとめました。
帯状疱疹は人に移りますか
帯状疱疹自体が人に移ることはありませんが、原因となる水痘・帯状疱疹ウイルスが人に感染することはあります。2017年に発表された国立感染症研究所のファクトシートによると、成人の90%以上が水痘・帯状疱疹ウイルスの抗体を保有しているとされています。帯状疱疹は体内に潜伏しているこのウイルスが、体力や免疫力が低下した際に再活性化し発症する病気なので、ウイルスに感染しても免疫が落ちていない健康な大人であれば発症しません。ただし、水疱瘡に感染したことのない乳幼児や、水疱瘡の予防接種をしていない子どもに接触すると、水疱瘡を発症させてしまうリスクがあるため接触は避けた方がよいとされています。
薬を飲まなくても自然治癒しますか
帯状疱疹は、軽い症状であれば無治療でも2~3週間程度で自然治癒する場合もありますが、特に高齢者は放置しておくと重症化したり後遺症の帯状疱疹後神経痛に移行することが多いと言われています。したがって、高齢者に限らず帯状疱疹の疑いがあったら、すぐに病院を受診し、診断を受けた場合は速やかに抗ウイルス剤を投与して治療を開始するようにしましょう。
皮膚患部に使用してはいけない薬はありますか
一般的に帯状疱疹にステロイド剤は使用してはいけないとされています。病院を受診する前に自己判断で自宅にあるステロイド剤を塗ってしまうケースがよくありますが、帯状疱疹の場合は症状を悪化させてしまうため安易な使用は注意が必要です。ステロイド剤には、免疫抑制作用があるため、自己免疫力が低下しウイルスの増殖を促進してしまうと考えられています。ただし、状態により医師の判断でステロイドの塗り薬を処方されるケースもあるようですので、一概に禁止とは言い切れませんが自己判断での使用は注意しましょう。
まとめ
帯状疱疹は、子どもの頃にかかる水疱瘡と同じウイルスが原因の病気ですが、大人になってから帯状疱疹として罹患すると、特に高齢者になるほど体力や免疫力が低下しているため重症化しやすく、後遺症である帯状疱疹後神経痛への移行も懸念されます。帯状疱疹になったら早期の治療開始がとても重要となりますが、一番の予防はワクチンの接種ではないでしょうか。帯状疱疹や帯状疱疹後神経痛の予防効果が認められています。50歳を過ぎたらワクチンの接種対象です。更に2025年度からは65歳以上の方などは定期接種の対象となり、ワクチン接種が推奨されています。
JCVNでは、これまでに帯状疱疹後神経痛に関連する治験のご案内を何度か行っています。興味のある方で、まだ会員登録をお済みでない方は、下記ページより医学ボランティア会JCVNのボランティア登録へとお進みください。会員になると該当案件の募集があった際に、ご案内をメールにて受け取れます。
著者情報

JCVN編集部
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