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【掲載日】2016/07/27   【最終更新日】2022/02/28

糖尿病の最新治療薬とは?糖尿病を治すポイントと治療の流れ

伊藤幹彦医師

監修者

伊藤メディカルクリニック / 内科・皮膚科医

伊藤幹彦医師

最新治療で糖尿病を治すことは可能なのか

糖尿病は治るか?という質問の回答は、「はい」でも「いいえ」でもありません。
治療の結果、血糖値を正常に近い範囲でコントロールできていれば、健常者と同じ状態でいられる病気です。
わかりやすい規準として糖尿病と診断された後、糖尿病の薬を使用しなくてもいい状態に至り、その状態を継続することができれば「治った」とみなすことができます。

そもそも糖尿病とは「膵臓から分泌されるインスリンが正常に機能せず、高血糖状態が継続する」症状です。
また、糖尿病は大きく2つの病態に分かれます。

A:なんらかの影響で膵臓からインスリンが出なくなり、血糖値を下げることができない
→遺伝や先天的な要因が含まれ、生まれつきインスリンそのものが不足しているため、外部からインスリン注射による治療が必要となります。

B:太り過ぎや脂肪肝などの生活習慣の影響でインスリン作用が低下し、血糖値が高くなる
→減量や生活習慣の改善によりインスリン作用を改善させることができるため、食事療法や運動療法がメインとなり、それでも改善できない場合に治療薬を使用します。

まずは、自身の糖尿病がどちらの病態かを把握し、Bの場合は「治る」見込みのある病態なので、まずは自身の生活習慣を見直し、適切な体重や体型を取り戻すことが先決です。

そもそも糖尿病とは何か

糖尿病とは、血液中のブドウ糖濃度を表す「血糖値」が慢性的に高い状態を指す病気です。
本来、ブドウ糖は生命を維持するために必要なエネルギー源であり、膵臓から出るインスリンという血糖を下げるホルモンによって体内で一定の濃度を保つような仕組みが整っています。しかし、さまざまな原因によってインスリンの効きが悪くなったり血糖のコントロールができなくなったりすることで、糖尿病を発症します。

糖尿病の症状

糖尿病自体の症状としては、口渇感、多尿、疲れやすいなどが挙げられますが、血液検査などで数値を確認しなければ糖尿病と判断することが難しいです。症状がまったくないまま健診などで糖尿病が判明する方もいれば、急に高血糖の症状が現れて糖尿病と診断を受ける方もいます。
また、糖尿病が悪化することで血管へ悪影響を及ぼし、影響を受けた血管の部位により重大な合併症を引き起こす要因となります。
例えば心臓の血管が影響を受けることで狭心症や心筋梗塞、脳の血管の場合は脳梗塞や脳卒中を引き起こすことになります。さらに、細い血管の方が影響を受けやすく、末梢神経生涯や失明、腎障害などの合併症が発症するケースもあります。

糖尿病の種類

1型糖尿病

1型糖尿病では、膵臓からインスリンがほとんど出なくなる(インスリン分泌低下)ことによりコントロールができず、血糖値が高くなります。そのため、注射投与などで外部からインスリンを補う治療が必須となります。
膵臓でインスリンを作っているβ細胞が壊されて、インスリンを出す力が弱まったり、先天的に膵臓でインスリンを分泌する機能が備わっていなかったりすることが発症の要因とされ、主に若い方を中心に幅広い年齢で発症し、世界的には糖尿病全体の約5%が1型糖尿病と言われています。

  • 年齢・・・若年に多い(発症する年齢は幅広い)
  • 症状・・・急激に発症する
  • 体型・・・痩せ型に多い
  • 原因・・・膵臓でインスリンを作るβ細胞という細胞が壊れてしまうため、インスリンが膵臓からほとんど出なくなり、血糖値が高くなる
  • 治療・・・インスリンの注射

1型糖尿病とは?原因や症状は?治療方法や食事について

2型糖尿病

2型糖尿病は、1型糖尿病と同様に遺伝的な影響によりインスリンの分泌機能が衰えていたり、食べ過ぎ、運動不足、肥満などの生活習慣を起因とすることでインスリンの作用が効きにくくなったりすることで血糖値が高くなります。
一方で、胎盤からでるホルモンの影響でインスリンが効きにくくなり、食後の血糖値は上がりやすくなります。多くの場合、高い血糖値は出産のあとに戻りますが、妊娠糖尿病を経験した方は将来糖尿病になりやすいといわれています。

  • 年齢・・・中高年に多い
  • 症状・・・自覚症状があまりなく、気が付かないうちに進行する
  • 体型・・・比較的肥満体型に多い
  • 原因・・・生活習慣や遺伝的な影響により、インスリン作用が効きにくくなったり、インスリンが膵臓から出にくくなったりする
  • 治療・・・食事療法・運動療法、飲み薬、症状によりインスリンを使用

糖尿病治療の流れ

糖尿病の治療は、食事療法や運動療法、生活改善を基本とし、状況に応じて適切な薬剤を使用します。糖尿病と診断されても主だった症状が見られないために症状を放ってしまいがちなので、合併症を引き起こす前に適切な治療をすることで普段どおりの生活をすることができます。
目安となる以下の数値を目標として治療を続けてみましょう。

  • 空腹時血糖値110 mg/dl以下
  • HbA1cは4.6%~6.2%
  • 適切な標準体重は「身長(m)×身長(m)×22」

STEP1
食事療法・運動療法・生活習慣の改善を取り入れ、2~3カ月様子を見る

STEP2
上記で効果が見られない場合は、食事療法・運動療法・生活習慣の改善に加え、薬物療法を開始する

STEP3
上記で効果が見られない場合は、薬剤の変更、や併用を取り入れ、STEP1を継続する

糖尿病を治すためのポイント

前提として、糖尿病は完治しない病気です。一旦発症してしまうと「血糖値が上がりやすい体質」に変わってしまい、症状が落ち着いても再発する可能性があるからです。
そのため、糖尿病の治療は、症状や検査異常が消失した「寛解」といった状態を目指します。
糖尿病はインスリンの分泌が衰えていたり、インスリン作用が効きにくくなったりすることが要因で発症するとされているので、十分に膵臓を休ませ、少しのインスリンでも効率よく血糖値が下がる体づくりを意識することが重要です。
1型糖尿病は先天的な要因が含まれるため、インスリン投与による治療で寛解状態を維持することができますが、特に肥満型の2型糖尿病の場合では、食事療法や運動療法により減量に成功するだけで寛解する可能性があります。また、発症早期に治療を開始することで、低下していたインスリン分泌の回復が期待できる場合があります。

糖尿病の治療も年々進化しています

糖尿病の治療も年々進化しています。
現在開発が進められているお薬や、海外では既に使用されている治療薬を、日本国内で治験中、承認待ちのお薬をご紹介致します。

ジペプチジルペプチターゼ(DPP)IV阻害薬

インスリン分泌を促すインクレチンという消化管ホルモンがあります。インクレチンを体内で分解する酵素がDPP-Ⅳというもので、このDPP-Ⅳの働きを抑えることでインクレチンが身体の中で行動する→インスリン分泌する→血糖値が抑えられる、といった働きに繋がります。
主な商品名:グラクティブ/ジャヌビア/エクア/ネシーナ/トラゼンタ/テネリア/スイニー/オングリザ

GLP-1アナログ製剤

GLP1(グルカゴン様ペプチド1)はインスリンの分泌を促進させる消化管のホルモンです。上記のDPP-Ⅳ阻害薬はDPP-Ⅳの働きを抑えてインクレチンの働きを活発にすることが目的ですがこのGLP-1は直接体内にインクレチンを取り入れます。
主なメリットとして食欲の抑制、すい臓ランゲルハンス島β細胞(インスリン分泌の重要な臓器)の保護効果などがあります。
主な商品名:ビクトーザ/ビデュリオン/バイエッタ/リキスミア

SGLT2阻害薬

ブドウ糖が体内に吸収される前に尿として排泄する事で高血糖状態を抑える薬です。インスリンの分泌に関与しない薬なので低血糖の心配がないのが大きなメリットですが尿路感染・脱水などの副作用もあるので処方には十分な注意が必要です。
Na+-ブドウ糖共輸送体(SGLT)は尿細管内腔にあり糸球体で、ブドウ糖をナトリウムと共に尿細管細胞内に再吸収し、この蛋白を阻害する事で尿糖を増やして血糖を減少させる作用があります。

主な商品名:スーグラ/フォシーガ/ルセフィ/デベルザ/アプルウェイ/カナグル/ジャディアンス

まとめ

慣れ親しんだ生活習慣を意識して改善するとなると、難しく大変なことのように感じますが、少しずつ食事の変化や運動を取り入れ、からだを馴染ませていくことが重要です。
「糖尿病の治療のため」といった意識よりは、「からだ作りの見直し」や「健康維持のため」といった意識で療法そのものを楽しめるように継続していきましょう。

監修者

伊藤幹彦医師

心臓血管外科を専門とし、高血圧や糖尿病、AGAなど幅広く対応が可能。
皆様の健康を生涯にわたってお守りする良きパートナーとして、わかりやすく、丁寧な診察に努めている。

専門

日本外科学会認定外科専門医/日本循環器学会認定循環器専門医

所属医療機関

伊藤メディカルクリニック

認定資格

日本医師会認定産業医

経歴

東京医科大学卒業
東京医科大学 第2外科(心臓血管外科)入局
東京医科大学霞ヶ浦病院 循環器外科助手(現 東京医科大学茨城医療センター)
東京医科大学八王子医療センター 心臓血管外科などを経歴
東京医科大学第2外科助手
新潟こばり病院(現 新潟医療センター 心臓血管外科)
東京警察病院外科 医長を経歴(血管外科責任者)

伊藤メディカルクリニック公式HP

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著者情報

JCVN

JCVN編集部

JCVNでは、病気やからだに関する様々な知識をコラムとして掲載しております。
また、ご覧いただく皆さまへ分かりやすくお伝えできるコンテンツをお届け致します。

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