【掲載日】2022/11/18
疲れやすい原因とは?運動習慣や食事で疲れにくい体を作ろう!
疲れとは?
一概に「疲れ」といいますが、大きく分けると3つに分類されます。
「肉体的疲労」・「精神的疲労」・「神経的疲労」と分けられ、これらはどれも相互に作用し影響する関係にあります。放っておくと悪化したり慢性化することにより余計に疲れが取りにくくなってしまいます。
また、疲れの種類や度合いによっては、日々の生活が楽しく感じられず、気分が落ち込んだり生活そのものに支障が出て来たりすることもあります。悪循環に陥り、疲労から抜け出せずに慢性化すると新たな病気を引き起こしたり、そもそも疲れだと思っていたものが実は病気からくるサインである場合もありますので、疲れやすさを頻繁に感じたりいつも疲れているという人は、ただの疲れと軽視せず一度医師に相談してみると良いでしょう。
ここではまず、疲れには3つの種類があるということから詳しく掲載していきます。
肉体的疲労
同じ場所の筋肉が長く緊張した状態が続くと(同じ場所の筋肉を使い続けると)、乳酸と呼ばれる疲労物質が蓄積し、それが溜まることで疲労感やだるさなどの症状が表れます。また、日頃から適度な運動をしておかなければ筋肉は萎縮し衰えていくため、少しの運動でも疲れを感じてしまうようになるのです。加えて、筋肉を動かす際に体のエネルギーが不足していると肉体的疲労の原因にもなります。
精神的疲労
職場や学校等での人間関係の悩み、家庭内での悩みなどによるストレスが原因の心の疲れをいいます。精神的疲労は年齢を問わず存在するため、子どもにおいても疲労感やだるさを感じている様子が見られた際には、精神的疲労が原因である可能性も疑ってみる必要があります。
神経的疲労
仕事や勉強などのデスクワーク等で大量に入ってくる情報を処理する際に、視神経や脳を酷使し、緊張した状態が長時間続くことで起こる頭や思考の疲れのことを神経的疲労といいます。脳の疲れをとるのに一番有効なことは毎日の質の良い睡眠です。休日の寝だめは体内サイクルを乱してしまうため避けた方がよいでしょう。
疲れやすい原因とは?
エネルギー不足
疲労は、体を組織している細胞の活動エネルギーが不足していると蓄積していきます。エネルギーの原動力である食事において、規則正しく栄養バランスの取れた食事を取り入れることは、疲れにくい体を作る上で非常に重要な要素なのです。
睡眠不足
睡眠は、脳や身体を休めるだけでなく、睡眠中に分泌される成長ホルモンによって細胞が活発になったり、食べ物が消化吸収されて翌日の活力となるエネルギーが生成される大切な時間です。
睡眠時間はもちろんですが、睡眠の質も重要で、浅い眠りでは疲れはなかなか取れません。枕や照明を工夫して心地よく睡眠のとれる環境を作ることが大切です。
運動不足
運動不足になると、新陳代謝の低下により血液や水分の循環が悪くなり、筋肉に溜まった乳酸が排出されにくくなります。乳酸の蓄積は疲労を感じる原因となります。
また、精神的疲労や神経的疲労も、運動不足が原因で蓄積されることがわかっています。ストレスが溜まったり、自律神経の乱れにより疲労感が続いたりなど影響がありますので、適度な運動は全ての疲労において効果的だと言えるでしょう。
疲労回復のコツ
疲労回復の効果的な方法2つをご紹介します。
ストレッチ
ストレッチなどの軽い運動は、疲労回復に効果的です。縮んだ筋肉をゆっくり無理なく伸ばすことで、血流が良くなり酸素や栄養が体の隅々まで運ばれるとともに、疲労物質である乳酸を流れやすくして排出を促します。また、ストレッチには肉体的な疲労改善の効果はもちろんですが、精神的な疲労についても改善が期待できます。筋肉を伸ばすことで副交感神経の働きが高まり、血圧や心拍数が下がって精神的にリラックスすることが出来るのです。
尚、ストレッチを行う際に、より効果を高めるためには呼吸が重要です。腹式呼吸でたっぷりと鼻から息を吸ってお腹を膨らませ、口からゆっくりと静かに吐くことで副交感神経が優位になり体がリラックスしていきます。
ストレッチに効果的な時間帯は入浴後もしくは就寝15分前くらいがおすすめです。あまり激しい運動を眠る直前に行ってしまうと、むしろ睡眠の妨げになってしまいますので、リラックスしながら気持ちよく感じられる程度のストレッチを心がけましょう。
疲労回復の期待できる食材と栄養素を摂る
疲労回復には、1日3回のバランスの取れた食事が大切です。特に朝・昼はしっかり食べて、夜は朝昼に比べて軽めに抑えると、胃腸の負担が抑えられるのでおすすめです。エネルギーの元となるご飯やパンなどの糖質(炭水化物)ですが、それだけ取っていても疲れが取れるわけではありません。糖質の代謝は、ビタミンB1などの栄養素を一緒に取り入れることにより、効果的にエネルギーを作り出すことが出来るのです。他の栄養素も同様で、一つだけ摂っても十分に働くことができません。お互いに関係し合うことでより効果的に働くので、結論としてはやはり「栄養バランスの整った食事」が必要なのだと言えます。
とはいえ、ここでは特に疲労回復に効果のある食材や栄養素をご紹介していきますので、ご参考になれば幸いです。
・ビタミンB1
糖質の代謝に必要で乳酸を溜まりにくくする働きがあります。不足すると糖質の代謝がうまくいかず、エネルギー不足となります。その結果乳酸が体内に蓄積されやすくなり、だるさ・倦怠感が増します。
食材例:豚肉・レバー・うなぎ・胚芽米・玄米・きのこ類・ごま
・ビタミンB2
脂質・糖質の代謝に関与する重要な栄養素。皮膚や粘膜の保護や髪や爪などの再生にも関与し、「美容・発育のビタミン」とも呼ばれています。不足すると口内炎やニキビができやすくなったり、子どもの場合は成長障害にもつながります。
食材例:レバー、納豆、焼きのり、アーモンド、小松菜など
・カルシウム、鉄
カルシウムは骨を強くし筋肉をスムーズに動かす働きがあり、精神的疲労も緩和する作用があると言われています。鉄は体内の酸素を各細胞に運ぶ役割があるため、不足すると運動能力が低下して疲れやすくなります。
食材例(カルシウム):牛乳・干しエビ・小魚・小松菜
食材例(鉄):レバー・カツオ・イワシ・大豆製品・小松菜・ほうれん草・ひじき
・クエン酸
エネルギー代謝に必要な成分で、乳酸を分解する働きもあると言われています。
食材例:酢・柑橘類・梅干し
・アスパラギン酸
クエン酸回路に働きかけ、乳酸の分解を促進させます。
食材例:アスパラガス・ソラマメ・ニラ・鶏肉・まぐろ
・亜鉛
体内で作り出すことができない必須ミネラル。食事から摂取する必要があります。新陳代謝やエネルギー代謝、免疫反応などの働きをサポートしている栄養素で、不足すると疲れやすくなったり風邪をひきやすくなったりします。
食材例:牡蠣・煮干し・牛肉赤身・レバー・カシューナッツ
疲れにくい体にする習慣
健康的な食習慣
疲れやすい人の食事の特徴をあげると、「朝食を食べない」・「甘いものを多く食べる」・「炭水化物の摂取量が多い」・「早食い」といった点が目立ちます。
①朝食はしっかり食べましょう
一日の食事の中で朝食は、最も重要な食事です。朝食を摂ると体温が上昇し、その日一日を活動するためのエネルギーの元になります。また朝食を抜くと、たんぱく質と糖質が不足し体内時計が乱れるために自律神経の不調とともに疲れを感じる原因となりますので、一日3食しっかり食べるようにしましょう。
②糖分の摂り過ぎに注意
甘いものを多く食べると血糖値の急激な上昇を引き起こしますが、それを抑えるためにインスリンの分泌が急増し、その結果血糖値が急降下します。血糖値が急激に下がる際に疲労感を感じると同時に、糖質の過剰摂取によりビタミンB1が不足し、結果的にエネルギーがうまく作られない為疲れやすくなります。
③炭水化物の摂り過ぎに注意
ご飯・麺類・パン類などの炭水化物=糖質です。過剰摂取すると③と同じ状態になる為、強い眠気やだるさ、集中力の低下などが表れます。また、糖質の過剰摂取を続けると肥満や糖尿病・認知症などの発症リスクを高める他、余分な糖質と体内の蛋白質が結びついてAGEsという物質が多く蓄積されることで体全体の老化も早まると考えられています。
炭水化物の摂り過ぎを予防するために、白米や食パンを玄米・雑穀米・ブランパンに置き換えると過剰摂取予防につながります。
④よく噛んでゆっくり食べる
早食いや、よく噛んで食べない人は、食べ物の消化吸収が悪く、胃腸に負担をかけているため、それが疲労にもつながります。
⑤食べる順番に気を付ける
疲れやすくなる原因の一つが血糖値の急上昇・急降下です。
これを抑えるために、食べる順番や食材を工夫しましょう。具体的には、副菜→主菜→主食の順で食べることが良いとされており、中でも野菜(芋類は除く)や海藻類など食物繊維が豊富な食材から食べていくと、血糖値の急激な上昇を抑制する効果があると言われています。
健康的な生活習慣
疲れやすいと感じた時に気を付けたい食事以外の生活習慣のポイントをご紹介します。
①睡眠
身体と脳を休めるためにはまずは適切な睡眠時間を確保するようにしましょう。年齢や体質・個々の状況により何時間取らないといけないという絶対的な基準はありませんが、アメリカの大規模調査によると成人では7時間程度の睡眠の人が最も死亡率が低く長寿だったという結果もあるようです。また8時間を超える長すぎる睡眠時間も死亡リスクが上昇するとも言われています。睡眠で大事なのは自分の体に必要な睡眠時間なので、日中眠くなることが多かったり思考がうまく働かなかったりする場合は睡眠不足となります。また必要な睡眠時間に加え、質の良い睡眠をとることも重要です。寝室の照明や枕の高さを調整し心地よく眠れる環境を整えると良いでしょう。寝る直前のスマホは、脳が覚醒し眠りが浅いなどの睡眠障害を起こしやすくなりますので要注意です。また、夜更かしや休みの日の朝寝坊なども体内リズムが乱れてしまうため良い睡眠が得られにくくなります。
睡眠には、脳や身体の休養・疲労回復・免疫機能の増加・記憶の固定など非常に重要な役割がありますので、睡眠不足の解消と質のよい睡眠に加え、体内リズムを整えながら規則正しい生活を送ることが大切です。
②入浴
疲れが溜まっているな・・・と感じたら適切な入浴をすることも疲れの改善には効果的です。
身体が温まると血流やリンパの流れが良くなり、体内の老廃物が流されていくため疲れが残りにくくなります。また、全身の筋肉の緊張がほぐされるため、リラックスにつながり心身ともに疲労回復が期待できます。
ただし、お湯の温度が高すぎたり長時間の長風呂は、逆に体を疲労させてしまうため、40℃以下のぬるめのお湯に10分程度浸かるのが良いとされています。
③姿勢
現代では特に、スマホやパソコンなどを長時間使用し同じ姿勢でいることも多くあるかと思います。長時間同じ姿勢を取り続けると、一部の筋肉が緊張し乳酸が溜まってしまいます。更に、血行が悪くなっていくため疲れが取れにくくなっていきます。予防には、合間合間に首や肩などを伸ばして固まった筋肉をほぐしてあげるようなストレッチを心がけるとよいでしょう。
④運動習慣
疲労時にあえて体を軽く動かすと、血流が改善され、筋肉に溜まった乳酸を排出させやすくする効果があります。これはアクティブレスト(積極的休養)と呼ばれる休養方法で、元々はアスリートが翌日に疲れを残さないために生まれた疲労回復法で、運動後に軽く体を動かしたり、ストレッチしてクールダウンさせるのもアクティブレストの一つです。また、このような軽い運動は疲労の蓄積予防だけでなく、神経伝達物質である「セロトニン」の分泌も促進されるため、自律神経のバランスが整いイライラやストレスが解消されるため、神経的疲労や精神的疲労にも効果があると言われています。
アクティブレストを実践するコツは、あまりハードすぎず気軽に継続できて心地よいと感じられる程度にとどめて行うことが大切です。きついと感じてしまうと反対にストレスになって疲労が溜まる原因の一つにもなってしまいますので、自分が楽しみながらできる範囲で無理なく行いましょう。
⑤リラックスできる環境づくり
例えば部屋の中を、自分の好きなアロマオイルなどで心地よくしたり、好きなものを飾ってみる、照明をリラックスできる明るさにする、など気分をコントロールできるようにすると良いでしょう。自分が落ち着ける香りや照明は、就寝前では安眠効果も期待できます。
まとめ
現代の成人において、まったく「疲れていない」人はほとんどいないでしょう。多くの人が何かしらの疲れを感じ、複合的な要因で色々な疲れが重なっている人もいるかと思います。
疲れの原因を分析して、自分に合ったそれぞれの対処法でうまく解消していきましょう。
うまく解消できない場合には、無理を続けず医療機関を受診してみるのも一つの選択肢として視野に入れておくと良いかもしれません。
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