【掲載日】2023/08/31
糖尿病によるめまいとは?低血糖の症状から対処法まで解説
糖尿病によるめまい
めまいとは、自分または周囲が実際には動いていないにも関わらず、視界が動く、あるいは自分自身が動いているかのように錯覚する症状で、身体の平衡感覚を司る耳や脳などの器官の異常が原因の多くを占めています。
このうち、脳の異常によるめまいは、貧血などで血流が悪くなってしまい、十分に脳へ血液が運ばれなくなってしまうことで引き起こされますが、糖尿病の症状があると高血糖による血流の鈍化や、血糖降下薬による低血糖症状でも同様にめまいが引き起こされることがあります。
糖尿病の合併症について
糖尿病により血糖値が高い状態が続くと徐々に血管にダメージが蓄積されると、傷んだ血管に血栓ができるなどして血液が流れにくくなり、糖尿病の合併症が進行していきます。
有名な糖尿病の合併症として、「網膜症」「腎症」「神経障害」が挙げられます。
網膜症は目の網膜に栄養を送っている細い血管の流れが悪くなったり詰まったりするなど目の血管が著しく傷むことで引き起こされ、目の出血や網膜剥離による失明などの視覚障害に至る場合があります。
腎症は腎臓の血管が正常に循環しなくなる病気で、身体の中の毒素が排出されずに貯まってしまい、末期では腎不全となって人工透析が必要になってしまいます。
神経障害では自律神経や運動神経に影響を及ぼし、立ちくらみやしびれなどの初期症状から手指の感覚消失、麻痺症状なども見られるようになります。
糖尿病によるめまいはなぜ起こる?
起立性低血圧
座った状態から急に立ち上がったときなどにクラッとする立ちくらみのことで、姿勢が急激に変わることで立った時に血圧が著しく低下し、脳への血流が低下することで引き起こされます。
糖尿病による神経障害がみられると自律神経にも影響を及ぼし、汗をかきにくい、尿意を感じない、排泄が困難になるといった症状のほか、血圧のコントロールが正常に機能せずに低血圧状態となって立ちくらみを引き起こすことがあります。
低血糖
血液の中のブドウ糖の量(血糖値)が正常値より低くなってしまう低血糖状態では、冷や汗、動悸、意識障害、けいれん、手足の震えといった症状のほか、意識が朦朧として立ちくらみを引き起こすことがあります。
糖尿病の治療では血糖降下剤が使用されるため、インスリンが過剰に分泌された場合や、空腹で血液中のブドウ糖が少ない状態で服薬してしまうと、薬剤の効能が過剰に作用してしまい、低血糖状態に陥りやすくなってしまいます。
一過性脳虚血発作
脳には内頚動脈と椎骨動脈という大きな動脈が左右合わせて4本ありますが、糖尿病による動脈硬化などで血流が詰まりやすくなり、椎骨動脈へ流れる血液がほんの一瞬だけ途絶えてしまうことで、一時的な身体麻痺やめまい、ふらつきを引き起こすことがあります。
文字通り一過性のため、通常24時間以内に発症した症状がなくなりますが、一過性脳虚血発作は脳梗塞を発症するリスクが高い状態であるので、速やかに脳神経外科または神経内科のある病院を受診してください。
糖尿病の対処法
糖尿病になってしまうと、体質的に血糖値がとても上がりやすい状態になってしまうため、元の体質に戻ることはできないとされています。
そのため、糖尿病の治療は元の体質の状態を維持、あるいは高血糖状態を緩和することを目的とした、3つの方法を適用することが一般的です。
食事療法
血糖値が上昇しないよう適正な体重や摂取カロリーを維持するために、以下の注意点を考慮しながら食事管理を続けます。
- 摂取カロリー・・・必要以上に食べすぎていないか
- 栄養素バランス・・・偏食せず、さまざまな食材をバランスよく食べているか
- 食事時間・・・朝食を抜いたり、就寝直前や深夜に食事をしたりしていないか
- 食事の順序・・・野菜から先に食べるように心がけているか(ベジファースト)
- 食事にかける時間・・・よく咀嚼(そしゃく)し、早食いをしていないか
運動療法
糖尿病はインスリンの効きが悪くなったり分泌量が低下したりすることで血糖をコントロールできなくなり、高血糖状態が継続してしてしまいます。
ダイエットなどで大幅な減量を目指すのではなく、適度な運動で体内の脂肪を減らし、筋肉量を増やすことでインスリンが効きやすい身体の状態を保つことが重要です。
薬物療法
食事療法や運動療法では血糖をコントロールできない場合に、薬物療法が適用されます。
糖尿病治療薬には注射薬と飲み薬の2種類があり、糖の吸収を抑制する効果、糖を体外へ排出させる効果、インスリン分泌を促進させる効果、インスリン作用を促進させる効果のある薬剤を、症状によって使い分けます。
糖尿病の予防方法
糖尿病の予防方法には、治療方法と同じように食事のコントロールと適度の運動習慣が必要です。
糖質の多い炭水化物や砂糖が多く含まれる甘い食べ物は摂取をなるべく控え、お肉や魚、卵、豆腐といったタンパク質の多い食材を選ぶようにしましょう。
また、偏食や極端な断食などは避け、一日に必要な自己の摂取カロリーを把握し、朝昼晩と適切な食事を摂りましょう。
食事から摂取した糖分は体の中にどんどんと蓄積されてしまうので、糖をエネルギー源として使用するために適度な運動を行いましょう。
運動によってエネルギー消費量が上がれば糖分の代謝が早くなり、運動によって筋肉が増えると、血中の糖分濃度が下がりやすくなるので、血糖値を安定させることにつながります。
体に負担をかけるようなハードな運動ではなく、ウォーキングや家でできる筋トレなど、習慣化できる運動プログラムを取り入れることが重要です。
糖尿病の予防は食生活と運動での体質改善から~すぐに始められる予防法ご紹介~
まとめ
めまいは貧血や過労などで見られる一過性の軽い症状と軽んじてしまいがちですが、体の不調や病気のサインとして見られる症状でもあり、大きな病気が潜んでいる可能性もあります。
生活習慣病の代表とも言える糖尿病にも、その兆候が見られる場合がありますので、自身の食事や運動習慣を見返し、糖尿病リスクに心当たりがある場合は改善してみましょう。
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