【掲載日】2022/08/16
痛風に食事療法は有効?おすすめレシピやNGな食品もご紹介!
通風の主な原因は?
「風に吹かれただけでも痛い!」と表現されるほどの激痛に見舞われることから、『痛風』と呼ばれる症状は、ある日突然、足の親指のつけ根から猛烈な痛みにおそわれ、1~2時間もすると足の甲がパンパンに腫れあがるという病気です。
血液中の尿酸が7.0mg/dLを超えると「高尿酸血症」と呼ばれる状態になり、痛風発作や尿路結石などを引き起こす可能性が高まります。なお、女性ホルモンには尿酸を排泄する働きがあることから、患者数は男性が多いと考えられています。
尿酸値が上がる原因として代表的なものは以下となります。
①プリン体の過剰摂取
食品の中にはプリン体を多く含むものがありますが、プリン体を体内(肝臓)で分解する際に作られる物質が尿酸です。尿酸の体内量はほぼ一定に保たれており、一日に作り出される尿酸量(およそ700mg)とほぼ同量が毎日排泄されています。しかし、プリン体を多く摂取しすぎて体内での分解・体外への排出が追い付かず尿酸が過剰になると、結晶化して関節などに溜まり炎症を引き起こします。
②脱水を伴う尿酸の血中濃度の変動
夏場の汗が多い時期や飲酒後など体内の水分量が少なくなると、血中の尿酸値の濃度が上昇します。そうなると尿酸が結晶化して体外へ排出されにくくなり痛風発作が起こりやすくなります。
また、急激な激しい運動も尿酸値上昇の原因となります。
③生活習慣の乱れ
上記①②を含め、暴飲暴食による尿酸値の上昇、ストレス過多によるホルモン分泌の妨げ等で身体の機能がうまく働かなくなると発症しやすくなります。
痛風の食事療法の基本を知ろう
主な原因となるプリン体は高価な食品に多く含まれることから、かつては「ぜいたく病」という別名もありましたが、食生活が豊かになった現代においてはエネルギーの過剰摂取や運動不足などにより一般の人にまで痛風の発症が認められ、今や現代病及び生活習慣病のひとつにもあげられています。
また、体内で作られる尿酸の多くは、新陳代謝により古い細胞が分解される際に排出されるプリン体によって産生されていますが、人間が生きている以上はこれを避けることはできません。よって、尿酸値の高い人は、食事の面を上手くコントロールすることが痛風・高尿酸血症の治療・予防には重要な要素となります。適度な運動を取り入れつつ、バランスの取れた食事(適正エネルギーの摂取、プリン体・果糖の摂取制限、十分な水分摂取)を心がけることで生活習慣の是正をはかりましょう。ガイドラインでは、7.0mg/dLを正常値の上限とし、これを超えるものを高尿酸血症と定義していますが、痛風発作を起こしたことのある人が再発を予防するためには,尿酸値を6.0mg/dL以下に抑える必要があると言われています。
プリン体を多く含む食品の摂取を控える
ガイドラインでは、プリン体の摂取量を1日400mgに抑えることが推奨されています。
魚肉類の内臓、干物等はプリン体が多く含まれているので食べすぎないように注意が必要です。
プリン体を多く含む食品を摂りすぎると、尿酸値が上がり痛風発作を発症するリスクが高まります。
[食品中のプリン体含有量](食品100gあたりに含まれるプリン体量)
きわめて多い (300mg〜) |
鶏レバー、干物(マイワシ)、白子(イサキ、ふぐ、たら)、あんこう(肝酒蒸し)、太刀魚、健康食品(DNA/RNA、ビール酵母、クロレラ、スピルリナ、ローヤルゼリー)など |
---|---|
多い (200〜300mg) |
豚レバー、牛レバー、カツオ、マイワシ、大正エビ、オキアミ、干物(マアジ、サンマ)など |
中程度 (100〜200mg) |
肉(豚・牛・鶏)類の多くの部位や魚類など ほうれんそう(芽)、ブロッコリースプラウト |
少ない (50〜100mg) |
肉類の一部(豚・牛・羊)、魚類の一部、加工肉類など ほうれんそう(葉)、カリフラワー |
きわめて少ない (〜50mg) |
野菜類全般、米などの穀類、卵(鶏・うずら)、乳製品、豆類、きのこ類、豆腐、加工食品など |
アルコール・果糖・脂肪・塩分を控える
アルコール飲料において、特にビールのプリン体は尿酸になりやすく体内に吸収されやすいです。対して、ワインには尿酸排出作用が期待できるポリフェノールが含まれていますが、アルコールそのものに尿酸の排出を阻害する作用があるため、ワインや「プリン体ゼロ」と表示しているアルコール飲料でも飲み過ぎには注意しなければなりません。
また、アルコールの飲み過ぎは高エネルギーとなり、肥満の原因にもなります。肥満は、プリン体を合成しやすく、尿酸の排泄機能が低下する傾向にあります。
アルコール飲料の1日に摂る目安は、ビールなら500mlまで、日本酒なら一合弱、ウイスキーなら60mL以下、ワインなら200CCまでのいずれかに抑えましょう。
果糖は尿酸産生を促進させるため過剰な摂取には注意が必要です。特に水分代わりに果糖や砂糖の多いジュース・清涼飲料水等を摂り過ぎないように気を付けましょう。果糖の過剰摂取はメタボリックシンドロームや尿路結石の促進とも関連しています。
脂肪も高エネルギーであること、尿酸排泄を低下させることから控えることが大切です。
塩分を控えることも、糖尿病、高血圧、動脈硬化症の合併症の予防につながります。
水分を十分に摂る
水分を多く摂ることで、尿量が多くなり尿酸の排泄を促します。尿中の尿酸を薄めるように、たくさん水分を摂って尿としてどんどん排出できるようにしましょう。
前述のようにアルコール飲料、ジュース、糖分の入った缶コーヒー、清涼飲料水などは控え、水、ウーロン茶、お茶、麦茶などで水分を摂取するようにします。
野菜を多めに摂る
野菜はアルカリ性食品と呼ばれ、ビタミンやミネラルが多く含まれます。尿酸は、アルカリ性、中性によく溶けるため、野菜、海藻類、芋類などを十分に摂りましょう。腎臓結石の予防にもなります。
バランスの良い食事を心がける
高尿酸血症の人は、肉や魚に偏った食生活を送っていることが多く、肉類の食べ過ぎは血液を酸性にさせ尿酸が増加します。反対に、野菜、果物、海草類は、アルカリ性食品といい、血液をアルカリ性にさせ、尿酸の排泄を促進させることが出来るので、食事をする際はこれらの食品を適度に組み合わせたバランスの良い食事を心がけること大切です。ただし果物にも果糖が含まれますので摂り過ぎは禁物です。日々の食事に気を付けることで、動脈硬化や腎臓病などの合併症を予防することにもつながります。
また、肥満と尿酸値は互いに強い関連性があるため、肥満を解消することで尿酸値の改善にも良い影響が出ると考えられています。よって、食事はバランスのよい食事は元より、食事量についても腹八分目にして適度な運動を取り入れ、適性体重を維持することも大切です。
通風の方におすすめの食材と食事レシピ
通風の方におすすめの食材
・牛乳・乳製品
牛乳やヨーグルトなどの乳製品はアルカリ性食品でプリン体が少なく、乳に含まれるカゼインとホエーたんぱく質が尿酸の排泄を促します。
・ビタミンCを多く含む食材
キャベツやジャガイモ、果物などに含まれるビタミンCは尿酸排泄を促す働きがあるとされています。いも類に含まれるビタミンCは、でんぷんに守られており、調理による損失は少ないためおすすめです。
・果物はバナナ
バナナは尿酸値とともに血圧も下げる効果がありますが、糖分が多いので1日1本までにしましょう。
・肉や魚のプリン体を減らす調理法
プリン体は、水溶性のため料理をするときには水中に溶け出します。肉や魚は茹で汁を捨てることにより、プリン体を減らせます。
痛風の方におすすめの食事レシピ
1.ほうれん草のミルクスープ
※アルカリ食品のほうれん草と、牛乳の尿酸排出効果でバランス◎
材料(2人分)
・ほうれん草300g
・鶏肉100g
・しいたけ3枚
・サラダ油
A【酒大さじ1、塩こしょう少々、水大さじ2、中華スープの素少々】
・牛乳1.5カップ、片栗粉大さじ1/2
作り方
①ほうれん草は食べやすい大きさに、鶏肉は小さめの一口大に、しいたけはそぎ切りにする。
②鍋にサラダ油を熱し、鶏肉、ほうれん草、しいたけの順に炒める。
③Aで調味してやわらかくなるまで煮る。牛乳に片栗粉を溶かしておき、流し入れる。弱火でとろみがつくまで煮る。
2.豆腐の和風ロールキャベツ
※ロールキャベツのたねは、豆腐を加えてひき肉の量を減らし、脂肪とカロリーを抑えます。
材料(2人分)
・キャベツ(外葉)4枚
・だし汁 400mL
・しょうゆ 小さじ2
・みりん 小さじ2
・にんじん40g
(A)木綿豆腐100g
(A)鶏ひき肉60g
(A)玉ねぎ1/2個
(A)塩、こしょう 各少々
作り方
①キャベツは耐熱皿にのせてふんわりとラップをし、電子レンジで2分加熱し、粗熱を取って固い芯の部分はそぎ切りにする。
②木綿豆腐はキッチンペーパーで包んで水きりし、玉ねぎはみじん切りにして(A)の材料を混ぜ合わせる。
③①を広げて②を1/4量ずつのせ、片方を内側に巻き込み、もう片方は中に押し込む。
④巻き終わりを下にして鍋に並べ、だし汁、しょうゆ、みりん、食べやすく切ったにんじんを加え、蓋をして20分煮る。
3.豚しゃぶの梅肉ソース
※豚肉を熱湯にくぐらせることで水溶性であるプリン体を減らすことができます。またわかめや野菜のアルカリ性食品との組み合わせでバランスよく、梅と酢のシンプルな味付けで減塩も期待できます。
材料(2人分)
・豚ロースしゃぶしゃぶ用140g
・レタス80g
・玉ねぎ1/4個
・わかめ(水戻し)60g
・ミニトマト4個
(A)梅肉(包丁でたたく)
(A)酢40mL
作り方
①豚肉は熱湯にくぐらせ、色が変わったら氷水に取る。
②レタスは食べやすい大きさにちぎり、玉ねぎはスライスして水にさらしてから、水分をきる。
③わかめは2cm長さに切り、熱湯をかけて冷水で冷やして水分をきる。
④ミニトマトは半分に切る。
⑤1~3を皿に盛り、混ぜ合わせた(A)をかける。
まとめ
痛風と食事には、大いに関係があることがわかります。年に一度、定期的に健診を行い、尿酸値が基準値を超えていたらまずは生活習慣を見直すことが大切です。放置しておくと、ある日突然痛風発作が発症し大変に辛い思いをしてしまいます。放置して発症してから病院へ行くのではなく、発症する前に予防・対策することで発作を防ぐことができます。バランスの良い食事を心がけ、健康的な体を意識的に保っていくことが大切です。
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