病気の基礎知識:高血圧

【高血圧の原因と対策】血圧が上がるメカニズムや要因となる生活習慣について

血圧が上がるメカニズムや要因となる生活習慣について

高血圧は、自分では気づきにくく、知らないうちに進行してしまう病気です。悪化するにつれて、脳や心臓、腎臓などに影響し、将来的に脳卒中や心臓病などを引き起こす可能性があります。血圧が上がりやすい人や、すでに高血圧と診断されている人は、できるだけ早い段階で、対策を行う方がよいでしょう。

とはいえ、どのような対策が効果的なのかは、人によって異なります。まずは、高血圧になってしまう仕組みを理解し、自分に合った対処法を見つけてみましょう。

 

目次

・高血圧とは
  高血圧の定義
  高血圧の基準値
・血圧が上がるメカニズム
  全身の血液量が増える
  心臓からの血管へ送られる血液量が多くなる
  血液が流れるときの抵抗
  血液の粘り気が強い
・血圧が上がる原因・生活習慣
  アルコールの飲みすぎ
  ストレスが多い生活
  肥満
  運動不足
  過労
  老化
  食生活の乱れ
   塩分の摂りすぎ
   カリウム・カルシウム不足
・病気が原因で起きる高血圧(二次性高血圧)
  腎血管性高血圧
  睡眠呼吸障害(睡眠時無呼吸症候群)
・高血圧が引き起こす疾患
  高血圧症
  動脈硬化
  脳出血
  心疾患
・高血圧の対処法・生活習慣の改善
  睡眠の質を高める
  適度な運動
  カロリーと塩分が控えめな食事
・まとめ:高血圧の改善は生活習慣の見直しから

 

高血圧とは

まず、高血圧とはどういうものなのか、その定義や基準値について理解するところから始めましょう。

高血圧の定義

私たちの身体は、運動や環境の変化によって、常に血圧が上下しており、一時的な血圧上昇は誰でも起こりえることです。しかし、安静な状態であっても、慢性的に血圧が高い状態が続いた場合には「高血圧」と診断されます。

血圧とは血管の内側にかかる圧力を測定したもので、高血圧の状態が続くと、血管に負担をかけ、動脈硬化のリスクが高まります。さらには、脳卒中や心臓病、腎臓病などのリスクが高くなるため、早い段階で血圧コントロールを行うことが大切です。

高血圧の基準値

では、実際に「血圧が高い」とは、どの程度の数値を指すのでしょうか。

高血圧と診断する基準は、日本高血圧学会によって定められたもので、治療が必要になるのは最高血圧(収縮期)160mmHg以上、最低血圧(拡張期)100mmHg以上と設定されています。

ただし、高血圧にも3つの段階があり、段階ごとにリスクの違いが指摘されています。正常範囲も含めて、以下の表で確認してみましょう。

 

正常

正常高値

Ⅰ度高血圧

Ⅱ度高血圧

Ⅲ度高血圧

最高血圧

130mmHg


130140mmHg

140160mmHg


160180mmHg


180mmHg

最低血圧

85mmHg


8590mmHg

90100mmHg


100110mmHg

110mmHg

Ⅰ度高血圧より、高血圧と診断されるものの、最初は生活習慣の見直しなどで改善を図ることになります。さらに悪化してⅡ度高血圧になると、薬の使用も含めた治療が必要です。

高血圧は、自覚症状が少なく、知らないうちに進行してしまいます。健康状態を確認するためにも、血圧チェックを定期的に行いましょう。

 

血圧が上がるメカニズム

健康な人であっても、一時的に血圧が上がることはあるものの、ホメオタシス(生体恒常性)によって、できるだけ一定に保とうとする体内コントロールが行われています。高血圧になるとコントロールができず、血圧を下げることができない状態です。その理由は人によって異なるものの、大きく以下の4つに分けられます。

全身の血液量が増える

まず1つ目が、身体を循環する血液量の影響を受けている場合です。私たちの身体は、栄養や酸素を運ぶために全身に血管がつながっており、常に血液が循環しています。通常、一定の量に保たれていますが、塩分の摂り過ぎや腎臓の不調などによって血液中の水分が増えてしまうと、その分、血管に負担がかかり血圧が上がってしまいます。

心臓からの血管へ送られる血液量が多くなる

2つ目は、心臓の収縮で送りだされる血液量の影響で高血圧となる場合です。ハードな運動や塩分の摂り過ぎなどによって、心臓が一回で送りだす血液量が増えてしまうことがあります。多くの血液が一度に流れることが、血圧が上昇します。

血液が流れるときの抵抗

3つ目は、末梢血管抵抗と呼ばれる血圧への影響です。毛細血管に血液を流そうとしているのに、先の血管が狭くなっていたり、収縮して流れにくくなっていたりすると、先端まで血液を流そうとして圧を高めてしまいます。若年層の高血圧に多い原因です。

血液の粘り気が強い

最後に考えられるのが、血液の状態によって起こる血圧上昇です。いわゆるドロドロ血液になっていると、血管内でスムーズに流れることができず、身体は圧を上げて血液を流そうとします。その結果、高血圧の状態が続きます。

 

血圧が上がる原因・生活習慣

上述したような血圧上昇を招く仕組みはわかっているものの、実は高血圧を起こしてしまう根本的な原因は明確になっていません。しかし、影響していると考えられる要因として、以下のような点が挙げられています。

アルコールの飲みすぎ

適量のアルコールは、リラックスを促し、血圧を下げてくれる作用があるとされています。しかし、飲みすぎてしまうと、興奮状態を招き、逆に血圧を上げてしまうことになります。アルコールの量が少なかったとしても、休肝日を設けずに、連日アルコールを飲むような習慣がある人は、血圧が上がりやすいことを覚えておきましょう。

ストレスが多い生活

ストレスも、血圧上昇のきっかけをつくるものです。精神的なストレスは、脳疲労を起こし、血圧コントロールをつかさどる自律神経にも悪影響を与えてしまいます。また、冷えや睡眠不足といった肉体的なストレスも、同様です。

肥満

肥満の人に多い脂肪細胞は、血管を収縮する物質を分泌しています。血管が細くなることで、圧がかかり、高血圧を招きます。

運動不足

運動不足が続いてしまうと、血行不良になりがちです。血流が悪くなってしまうと、全身に血液を運ぶことが難しくなるため、身体は血液量を増やして、末端まで届くよう対処しようとします。血流が悪いまま、血液量だけが増えることで、血管に圧がかかり、高血圧を起こします。

過労

疲労がピークを迎えているにもかかわらず、無理に動こうとすれば、さらにたくさんのエネルギーを用意して、効率よく体力をカバーするしかありません。生命を維持するために使われる酸素や栄養の必要量も増え、その分、血液量も増えていきます。心臓の負担も大きくなり、心拍数も増えることになるでしょう。血液量と心拍数の増加によって、血糖値上昇を招いてしまいます。

老化

老化も、高血糖を起こす要因のひとつです。年齢とともに、血管は細くなりやすく、血管壁も薄くなります。すると、血流が悪くなり、血液を末端まで届かせるためには、血圧をあげて対処するしかありません。

食生活の乱れ

高血圧は生活習慣病のひとつであり、なかでも食生活の影響を大きく受けています。食べ過ぎや消化不良によって粘り気の強い血液を作ってしまったり、栄養素の過不足によって血圧コントロールが悪くなったりします。高血圧を招いてしまう食生活で、とくに影響を受けやすいのが以下の2点です。

Ø 塩分の摂りすぎ
濃い味が好きな人は、塩分を摂りすぎる傾向にあり、血中のナトリウム量が増えることになります。ナトリウムが増えれば、血液中のバランスが崩れてしまうため、身体は調整しようと水分を多く取り込んでしまうのです。全体の血液量が増えることで、血管に負担をかけ、血圧を上げる結果につながります。

Ø カリウム・カルシウム不足
多少の塩分をとったとしても、健康な状態であれば、塩分を排出して安定した血圧を維持しています。血中に含まれる塩分のバランスを調整するために必要なのが、カリウムです。野菜や果物などに多く含まれるため、普段の食生活でそういった食材を食べる機会が少ない人は、高血圧になりやすい傾向があります。加えて、カルシウム不足の場合にも、血液の流れが悪くなり、血圧上昇を招きます。魚や乳製品などを取る機会が少ない人は、高血圧になるリスクが高くなるでしょう。

 

病気が原因で起きる高血圧(二次性高血圧)

生活習慣などの影響で高血圧になるケースがほとんどですが、なかには、他の病気の影響で血圧が上がってしまうことがあります。そうした二次的な要因があるものを、二次性高血圧といいます。多くの病気との関連があるものの、代表的なものを2つご紹介しましょう。

腎血管性高血圧

若い女性や、中高年の急激な血圧上昇が起こったときに考えられるのが「腎血管性高血圧」です。腎臓につながっている血管が狭くなってしまい、血液の循環を高めるために高血圧を引き起こします。比較的、高い数値が出やすく、若年層では大動脈炎症候群といった難病を併発しやすいのも特徴的です。治療法として血管の拡張手術が行われることも多く、手術が成功すれば、血圧も落ち着きます。

睡眠呼吸障害(睡眠時無呼吸症候群)

20185月、京都大学が発表した「ながはまコホート」では、睡眠呼吸障害によって高血圧のリスクが高まることが報告されています。睡眠呼吸障害があると、睡眠の質が低下し、十分な疲労回復ができないため、精神的、肉体的なストレスを抱えることになります。同時に、本来は安定すべき夜間の血圧が上昇しやすくなるため、一日を通して血圧のコントロールがうまくいきません。睡眠呼吸障害があると、高血圧だけでなく、心臓にも負担をかけてしまうため、心疾患のリスクも上昇するとされています。

 

高血圧が引き起こす疾患

どんな原因であっても、血圧が高い状態が続けば、身体には大きな負担をかけることになります。高血圧そのものは、自覚症状が少なく、別の病気が判明した時に、高血圧との関連に気付くケースも少なくありません。高血圧が悪化した時に引き起こす疾患には、以下のようなものがあります。

高血圧症

高血圧症は、そのまま、高血圧が引き金となっておこる症状です。頭痛やめまいを伴うこともありますが、多くは自覚症状がなく、いつのまにか進行してしまいます。高血圧に伴う症状としては、軽度といえますが、放置してしまうと、さまざまな合併症が起こる可能性が高くなるため、この時期に早期発見ができるのが理想的です。

動脈硬化

高血圧が悪化してくると、最初に起こりやすいのが動脈硬化です。圧がかかり続けた血管は傷がつきやすく、血管壁の修復が必要になります。このとき、身体は血液中にあるコレステロールなどを集め、傷ついた部分を保護しようとします。修復された血管は、壁が厚くなり、血管が細くなります。同時に、血管が本来持っていた柔軟性を失うことになり、血管が固くなってしまうのです。こうした状態を「動脈硬化」といいます。

動脈硬化があると、血流も悪くなり、さらに高血圧が悪化するという悪循環が生まれてしまうのです。

脳出血

高血圧から引きおこる動脈硬化は、発生する部位によって、更なる合併症を招きます。たとえば、脳の血管で動脈硬化が起これば、脳の血流が悪くなり、ひどい場合には「脳卒中」を起こす可能性があります。脳梗塞(のうこうそく)や脳出血、くも膜下出血などは、障害が残ったり、生命に関わったりする大変な病気です。

心疾患

同様に、心臓の血管に動脈硬化が起これば、心疾患のリスクを高めてしまいます。たとえば、心筋梗塞(しんきんこうそく)は、心臓にある冠動脈に動脈硬化が起こり、狭くなった血管に血液が詰まることで、心臓への血流が止まるという命にかかわる病気です。そのほか、狭心症や心不全などを起こす可能性もあります。

 

高血圧の対処法・生活習慣の改善

自覚があろうとなかろうと、高血圧の状態をほおっておいても、勝手に改善することはほとんどありません。すでに病院での診断を受けている場合には、薬による治療を行っている人も多いかもしれませんが、同時に生活習慣の見直しを行うことで、高血圧の悪化予防に役立ちます。高血圧の対象法として、以下のような生活習慣の改善を考えてみましょう。

睡眠の質を高める

血圧を安定させるためには、身体が安静にできる時間が必要であり、そのためには質の高い睡眠をとることが欠かせません。早寝早起きを心がけ、リラックスできる時間を作りながら、寝不足にならないように注意しましょう。いびきなどが顕著で、睡眠呼吸障害の可能性が高い場合には、専門医に相談してみましょう。

適度な運動

血圧を安定させるためには、血流改善につながるような運動療法が効果的です。ただし、すでに高血圧と診断されている場合には、負荷の強いハードな運動は避け、ウォーキングやヨガ、軽い水泳など無理なく全身を動かせるものがよいでしょう。

カロリーと塩分が控えめな食事

暴飲暴食や塩分が多い食事は、血液の質を低下させ、血液量が増える原因となり、結果的に高血圧を招きます。カリウムが多く含まれる野菜類を取るように意識し、腹八分目を目安に素材の味を楽しむ食事を心がけましょう。

 

まとめ:高血圧の改善は生活習慣の見直しから

高血圧は、自覚症状がなく、いつの間にか進行してしまう病気です。定期的な検診を受けるとともに、高血圧の可能性があるのであれば、早期対策が改善のカギを握ります。高血圧予防のためにも、日頃のストレス解消とともに、食事や運動の習慣を見直して、健康な身体を維持したいですね。

 

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