【掲載日】2021/10/13

子宮外妊娠の症状とは?原因や治療方法を解説

子宮外妊娠とは?

正常妊娠とは異なり、精子と卵子が融合した受精卵が、本来着床する子宮内膜以外の場所に着床し、胎芽・胎児の発育が進んでしまうことを子宮外妊娠と呼びます。
子宮外妊娠は全妊娠数の1%程度の割合で発生し、卵管に着床するケースが最も多く、そのほかに卵巣や腹腔、子宮頸管などに着床する場合もあります。
妊娠検査薬で陽性反応を確認後、妊娠6週を過ぎても超音波検査で子宮内に胎のうが確認できない場合、子宮外妊娠が疑われます。
また、卵管は卵巣から子宮に向かう小さな管であることから、胎芽が大きくなると卵管破裂に伴う大量出血の危険性あるため、早期発見が不可欠で、手術が必要になること場合もあります。

子宮外妊娠が起こる原因

卵巣から排卵された卵子は、卵巣と子宮をつなぐ卵管にある卵管膨大部まで到達した精子と受精します。受精が成立すると受精卵になり、通常はおよそ1週間かけて卵管から子宮へと移動し、細胞分裂を繰り返して子宮内膜に着床します。
しかし、卵管周辺部分に癒着や狭窄といった何らかの炎症が起こっている場合、卵管の通りが悪くなってしまい、受精卵が子宮到達する前に卵管などに着床してしまうことで、子宮外妊娠が発症してしまいます。
卵管周辺部分の炎症は、主にクラミジアや一般細菌などによる性感染症、開腹手術による子宮内膜症や卵巣、卵管の治療歴、不妊治療で体外受精を行った際の胚移植などが原因として挙げられます。

子宮外妊娠の症状

子宮外妊娠は検査を受けなければ判断が難しい症状です。そのため、妊娠後に体の異変を感じた場合には速やかに診察を受けましょう。妊娠初期に見られる継続的に高い基礎体温、乳房のハリ、情緒不安定などの症状もみられるため正常妊娠との区別が難しいですが、妊娠週数が進むにつれて持続した不正出血や、激しい腹痛などの症状が現れた場合は、子宮外妊娠のサインとなることがあります。また、胎芽・胎のうが大きくなると、卵管などの臓器が破裂してしまい、お腹の中で大量に出血し、出血性ショックなど生命の危険も伴う。また、卵管流産など、初期の流産によって妊娠が継続しないこともあります。

子宮外妊娠を起こしやすい方の特徴

子宮外妊娠は、卵管から子宮へ着床するまでの経緯に異常があるために発症します。では、卵管から子宮に異常が起こる傾向はどのような人に見られるのでしょうか

・クラミジア感染症
卵管は収縮や拡張を繰り返して受精卵を子宮へと運びますが、クラミジア感染症にかかるとこの機能が上手く働かず子宮外妊娠を成立させてしまう可能性があります。

・喫煙
喫煙習慣があると卵管の運動が抑制されます。
喫煙者と非喫煙者を比較すると、子宮外妊娠の発生率が2倍高いというデータもあります。

・子宮外妊娠を過去に経験したことがある
一度子宮外妊娠を経験していると、再発する確率が高くなります。
再発率は、約10%程度と考えられています。

・体外受精や胚移植を受けている
体外受精や胚移植といった生殖医療により妊娠した場合、子宮外妊娠のリスクが高くなります。
これは、受精卵(胚)を子宮に戻したときに着床するタイミングが合わなかったり、子宮の収縮が弱かったりするためです。生殖医療により妊娠した人のうち、約20人に1人の割合で子宮外妊娠が起こると考えられています。

・子宮内膜症
子宮内膜症とは、子宮の内側を覆っている子宮内膜組織が、子宮以外の場所(卵管、卵巣、腹膜など)にできてしまう病気です。子宮内膜症により、卵管に異常があると子宮外妊娠になる可能性があります。

・腹部の手術を受けたことがある
腹部の手術、特に卵管形成術、卵管不妊手術(卵管結紮術)を受けたことのある方は、手術により卵管や卵巣周囲に癒着が起こる可能性があります。

・高齢妊娠である
40歳以上の高齢妊娠の場合、子宮外妊娠になる可能性が高くなります。

子宮外妊娠の際の医療機関の選び方

子宮外妊娠は自身で判断できないため、不正出血や異常な腹痛などを感じたらかかりつけの産婦人科クリニックなどで受診しましょう。妊娠反応が陽性で、激しい腹痛や、顔の血色が悪くなったり、意識朦朧としている場合は速やかに救急車を呼んでください。診断の結果子宮外妊娠の疑いがある場合は、総合病院など手術が可能な病院に紹介されることがあります。

子宮外妊娠の治療・検査方法

子宮外妊娠の検査方法

子宮外妊娠と疑われる症状が見られた場合、以下の段階を踏んで検査をします。

・妊娠検査

  • 問診で月経周期や最終月経日の確認などをしていきます。
  • 尿検査により妊娠の判定をします。
  • 触診と内診で何か問題がないか確認します。

・超音波検査(経膣超音波検査)

  • 膣内に棒状の器具を入れて超音波検査をします。
  • 超音波検査で子宮内の胎嚢の中から胎児の心臓の拍動があるかを確認します。

・血液検査

  • 血液検査により、妊娠の初期に胎盤から分泌されるホルモンである「胎盤性蛋白ホルモン(hCG)」を測定します。
  • hCGの値が高いのに子宮内に胎嚢がみえなければ子宮外妊娠の疑いが高くなります。1,500-2,000 IU/Lあれば子宮内に胎嚢が確認できる場合が多いですが例外もあります。
  • hCG検査は複数回行うことがあり、hCGの値が増えているのに胎嚢がみえない場合は子宮外妊娠の疑いが強くなり、低下している場合は流産の可能性が強くなります。

・その他検査

  • MRI検査:頚管妊娠、間質部妊娠、診断が難しい場合など。
  • ダグラス窩穿刺:おなかに液体がたまっている場合、子宮の後ろに針を刺し出血かどうか確認します。
  • 子宮内試験掻爬:子宮内容物を腟から採取し、胎嚢の一部が含まれていないかを確認します。

子宮外妊娠の治療方法

子宮外妊娠と判明した場合、残念ながら胎児を助けることはできません。子宮外妊娠を放置したまま胎児が成長してしまうと母体に危険が及ぶため、早急な処置が求められます。
子宮外に着床した場所によっては自然排出されることもありますが、基本的な治療方法は手術と薬物療法になります。一般的に手術が必要であり、子宮外妊娠部分を確認して切除するためにお腹を切開する「開腹手術」と、お腹に小さな孔を開けて内視鏡で手術を行う「腹腔鏡手術」いずれかを適用します。
切除方法にも種類があり、妊娠している部分を卵管とともに切り取る(卵管切除術)、妊娠している部分のみを取り除く(卵管切開術、卵管圧出術)などがあります。
卵管切除術では妊娠している卵管のみを切り取るため、反対側の卵管は残ります。
卵管切開術、卵管圧出術では妊娠している卵管を残しますが、手術により卵管内が癒着し、再び子宮外妊娠が発生する可能性があります。
手術以外では、抗がん剤で妊娠部分を小さくさせるという治療法や、子宮外妊娠部分が流産しそうな場合は、自然に経過をみるなどの方法もありますが、手術以外の方法は治ったと判断できるまで時間を要するため、慎重な経過観察が必要となります。

子宮外妊娠の治療後の注意点

手術を受けた方の術後の副作用として、腸の内壁がくっついてしまう腸管癒着や、腹痛が続くことがあります。また、卵管を切除した後は以下の検査を行います。

  • クラミジア感染の検査:陽性の場合は抗生剤で治療します。
  • 子宮卵管造影:造影剤を腟から子宮・卵管内に注入しレントゲン撮影をし、残っている卵管が癒着して詰まっていないか調べます。
  • Rh式の血液型検査:陰性の場合、抗Dグロブリン抗体を注射する必要があります。

子宮外妊娠の予防方法

生まれつき卵管に受精卵が停滞しやすい体質の人もいるため、子宮外妊娠を完全に予防することは困難ですが、可能な限り予防できる方法はあるので、以下の予防を心がけましょう。

・避妊、性感染症予防
「不特定多数の人と性交しない」「コンドームを正しく装着する」ことなどで、クラミジアや淋病などの性感染症を防ぐことができ、結果として子宮外妊娠も予防できます。

・禁煙、受動喫煙を避ける
たばこのニコチンは、卵管の表面にあり受精卵を子宮へと送る働きをもつ「絨毛」という毛の運動を妨げるとも言われていますので、禁煙やパートナーなどからの受動喫煙を避けることでも予防効果があるとされています。

・術後予防
人工妊娠中絶や帝王切開を受けた人は、手術により子宮の粘膜が傷付いている場合があるため、開腹手術を避ける、または術後の定期的な経過観察を徹底しましょう。

子宮外妊娠でよくある質問

Q:子宮外妊娠と診断されてもそのまま出産することは可能ですか?

A:子宮外妊娠は子宮内の胎嚢で成長できないため、残念ながら死産、または流産となります。子宮外妊娠を治療し、次の妊娠の際に母子ともにリスクを伴わないよう母体を安全にケアすることが最善です。

Q:子宮外妊娠になったことのある人は、次の妊娠でも子宮外妊娠になり易いと言われました。子宮卵管造影検査で妊娠に不利になることはありますか?

A:クラミジア感染の経験が無いならば、それほど子宮外妊娠の再発の確率は高くないので、あまり心配する必要はありません。子宮卵管造影検査で妊娠に不利になることは考えにくいと思われます。

Q:子宮外妊娠で卵管摘出の手術を受けました。他の治療方法はなかったのでしょうか?

A:子宮外妊娠と診断されたあとに適切な手術を施さないと、胎児の成長に伴い妊娠している部分が破裂してしまい、腹部内で大量に出血してしまうことで命に関わる危険性があります。
治療法には手術療法と薬物療法がありますが、子宮外妊娠は卵管の異常や機能低下によるもののため、治療をする時点で卵管の機能がさらに悪化する可能性があります。
薬物療法では卵管を残すことができますが、抗がん剤による副作用や子宮外妊娠の再発と言ったリスクを伴います。また、卵管摘出をするということは、妊娠している部分が肥大しているため、安全に子宮外妊娠の部分のみをとることが出来なかったケースであると判断されます。

まとめ

子宮外妊娠は予防法がないため未然に防ぐことはできず、大切なことは「早期発見」です。
母体や次の妊娠への悪影響がないようにするためにも、早めに妊娠の状態を調べることが大切です。妊娠の兆しがあれば、妊娠検査薬で確認してから産婦人科を受診するといいでしょう。

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