【掲載日】2016/08/03   【最終更新日】2023/06/21

コレステロール値が高い食品とは?LDL(悪玉)コレステロール値を改善する方法を解説

小川惇郎医師

監修者

白金台おがわクリニック院長

小川惇郎医師

コレステロールとは?

コレステロールは人間の体に存在する脂質のひとつです。人間の身体を形成している細胞膜、肝臓で作られる胆汁酸、副腎で作られるステロイドホルモンなどの材料となります。
コレステロールには、肝臓で作ったコレステロールを体の各部へ運ぶ「LDL(悪玉)コレステロール」と、体の各部で余ったコレステロールを肝臓へもどす「HDL(善玉)コレステロール」があります。

LDLコレステロールが高いとどうなる?

コレステロール値に異常がある場合や、LDLコレステロール値が高い場合は、血液が流れにくくなり心血管系の病気の発症率が高くなります。主な疾患リスクとして以下が挙げられます。

脳出血、脳梗塞

脳の細い血管が裂けることで脳内から出血することや、脳の血管が突然詰まることで血流が途絶え、脳の細胞が死んでしまう病気です。

狭心症、心筋梗塞

心筋へ酸素と栄養素を送る冠動脈が細くなることで胸が痛んだり、冠動脈の動脈硬化が進行して閉塞する病気です。

大動脈瘤、大動脈解離

大動脈内がこぶ状に肥大したり、大動脈の内壁が裂けて外壁との間に血流が流出する病気です。

閉塞性動脈硬化症

手足の血管に動脈硬化が起こり、しびれや痛み、壊死に至る病気です。

腎臓障害

動脈硬化による慢性腎臓病や、腎臓の機能が低下し、体内の老廃物を排泄できなくなる腎不全などを引き起こします。

LDLコレステロールを改善する方法

LDLコレステロールを改善するには、大きく分けて3つの要素があります。

①飽和脂肪酸を減らす

食事の脂質に含まれる脂肪酸のうち、LDLコレステロールを増加させるものを飽和脂肪酸と呼びます。飽和脂肪酸は常温で固まる脂でお肉やバター、生クリーム、菓子パンなどに多く含まれています。焼き魚や乳製品をあまり使用しない和食中心の定食などのメニューは、飽和脂肪酸があまり含まれていないためオススメです。

②食物繊維をとる

食物繊維はLDLコレステロールの増加を抑えるほか、血流の改善作用を持ち、心筋梗塞などのリスクを下げると言われています。食物繊維が多く含まれている野菜やキノコ、海藻、玄米、もち麦などで構成された食事メニューが効果的です。

③コレステロールの高い食品は控えめにする

根本的な問題として、食事の摂取量が多いとコレステロールの増加に繋がります。
普段の食事メニューを考える際に、併せて食事の頻度や食べる量を調整しましょう。

LDLコレステロール値が高くなる可能性がある食品

健康診断でコレステロールを指摘されたあなた、自分の生活を見直しながら原因が気になっているかと思います。
悪玉コレステロール(LDL)が高くなる原因は生活習慣・遺伝・病気が有力とされており、その中でも生活習慣はタバコ・ストレス・お酒、食生活と原因が枝分かれしていきます。
コレステロールを多く含む食品として挙げられるのは、「卵(卵黄)」「いくら」「うなぎ」「焼きイカ」などがあります。特に卵はとても栄養価が高い食品で、健康な方は摂っていくべきですが既にLDLコレステロールが高い方は少し量を考えて摂取した方がいいかもしれません。

コレステロール値が低い食品

野菜や海藻

植物性食品はコレステロールが少なく、食物繊維も多く含まれているものが多いため、野菜を食べるのは非常に効果的です。特にゴボウやレンコンには食物繊維が多く含まれており、コレステロールや中性脂肪を体外へ排出する作用があります。
また、植物性たんぱく質の豊富な大豆製品には、LDL(悪玉)コレステロールが体内に吸収されるのを抑える働きがあります。

大豆製品

動物性たんぱく質の代替として、植物性たんぱく質が豊富な大豆製品にもLDLコレステロール値を下げる効果があります。豆腐や納豆など様々な大豆製品がありますので、食事メニューも一辺倒にならず、気軽に日々の食事に取り込むことができます。

魚類

魚の脂肪にはEPAやDHAが多く含まれ、血液中のコレステロールや中性脂肪を減らし、血流を改善する効果があります。また、牛肉や豚肉に比べて魚肉は飽和脂肪酸が少ないため、肉類を摂取する際に代用品としてオススメです。

コレステロール値を下げるために積極的に摂りたい栄養素

コレステロール値を下げるために、積極的に摂りたい栄養素を紹介します。

プロシアニジン

プロシアニジンは、松樹皮やリンゴに豊富に含まれているポリフェノールの一種です。カテキンが2つ結合した構造体をとっています。プロシアニジンは、LDLコレステロールの増加を抑制する効果があります。

大麦β-グルカン

大麦に含まれる大麦β-グルカンは、水に溶ける食物繊維の1種です。大麦は、私たちが食べる部分である「胚乳」と呼ばれる細胞に大麦β-グルカンを豊富に含んでいます。大麦はLDLコレステロールの増加を抑制する効果があります。

リコピン

リコピンとは、植物などに含まれる赤色やオレンジ色の色素成分・カロテノイドのひとつで、高い抗酸化作用をもっており、トマトに豊富に含まれています。
リコピンは、血中のHDL(善玉)コレステロールを増やす効果があります。

健康な生活を送るためのポイント

①必要以上のエネルギーを取らない

1日に必要なエネルギーを超えて摂取してしまうと、肥満体型になりがちです。食事は良く咀嚼し、ゆっくり食べ、腹八分目を守りましょう。よく噛むことは脳の満腹中枢を刺激し、食事量が少なくても満腹感を得ることができます。

②動物性の脂肪を控え、植物性の油を多くする

肉類の脂の多い部分やバター、生クリームなどの動物性油脂、マーガリン、ショートニングなどの使用を控え、魚や植物性油の割合を多くします。
シュウマイやギョウザなどの肉の加工品は脂の少ない肉を使って手作りを心掛け、乳製品や油分を多く含むアイスクリームや洋菓子、スナック菓子などは極力控えましょう。

③コレステロ-ルを多く含む食品を控える

卵類、魚介類、肉類、菓子類などにはコレステロ-ルが多く含まれているため、これらの食品の摂取を控え、1日に取るコレステロ-ルの量は300mg以下を目安にしましょう。

④食物繊維を十分に取る

食物繊維はコレステロールの増加を抑制し、体外への排出を促す作用があります。食物繊維が多く含まれる野菜、海藻、きのこ、こんにゃくなどがオススメです。また、芋類や果物、豆類にも食物繊維が多く含まれていますが糖質が高いため、過度な接種は控えましょう。

⑤お酒は適量を守って飲む

アルコールの摂取は、中性脂肪やLDLコレステロールの増加を促すため、飲み過ぎに気を付けましょう。また、週に1~2日の休肝日(肝臓を休ませる日)を設け、肝臓の負担を減らしましょう。

LDLコレステロール値改善のためのおすすめレシピ

蒸し豚と温野菜

材料(2人分)

  • 豚もも薄切り肉 200g
  • キャベツ(ひとくち大) 1枚
  • 人参(短冊切り) 小1/5本
  • もやし 1/3袋
  • ミニトマト 4個
  • 酒 小さじ4
  • 水 小さじ4
  • 塩 少々
  • 黒こしょう 少々
  • ノンオイルドレッシング お好みで

作り方

  1. 蓋ができるフライパンにキャベツ・人参・もやし・ミニトマト・豚もも肉を入れ、酒・水・塩・黒こしょうをふりかけ蓋をして蒸し焼きにする(弱火10分~、こげないように注意)。
  2. 器に盛りつけて、お好みのノンオイルドレッシングをかける。

豆腐のグラタン

材料(2人分)

  • 木綿豆腐 1丁
  • ベーコン 1枚
  • ほうれん草 1束
  • 牛乳 1カップ
  • 片栗粉 小さじ2
  • 塩こしょう 少々
  • チーズ 40g

作り方

  1. 豆腐はペーパータオルに包んで10~15分おき、水気を切る。2㎝角に切る。
  2. ベーコンは5㎜幅に切り、ほうれん草は2~3㎝長さに切る。
  3. 鍋にベーコンを入れて軽く炒め、片栗粉を加え牛乳を注ぎ、弱火で混ぜながら煮る。
  4. 3に豆腐、ほうれん草を加えて一煮立ちさせ、塩こしょうで味を整える。
  5. 耐熱皿に4を盛り、チーズを振りかけオーブントースターで8~10分焼く。

魚のロールキャベツ

材料(2人分)

  • 魚の切り身 40g×2(※魚の種類はまぐろ、かじき、さけなどです。)
  • キャベツ 2枚
  • 人参 20g
  • さやいんげん 2本
  • 玉ねぎ 1/4
  • こぶだし 約1カップ
  • 合わせ調味料(酒 大1/2、しょう油 小1、塩 少々)
  • 小麦粉 適宜

作り方

  1. 魚はキャベツに包める位の大きさに切り、小麦粉をまぶしておく。
  2. キャベツ4枚をゆで、軸の部分をそぎとる。
  3. 人参は棒状に切り、玉ねぎは薄切りに、さやいんげんは2等分にする。
  4. キャベツをひろげ、魚、人参、玉ねぎ、いんげんを乗せ包みつまようじでとめる。
  5. 鍋に包んだロールキャベツを並べる。
  6. こぶだし(ひたひたになるくらい)、Aを加え20分程度アクをとりながら煮る。
  7. 煮えたら、食べやすくきり器に盛る。

まとめ

コレステロールそのものは人体に必要なものですが、需要と供給のバランスが崩れてしまうと様々な疾患の原因となってしまいます。
食生活に偏りがないか食事バランスを見直し、出来るだけ脂質の少ないメニューを好んで選びましょう。
また運動不足や喫煙習慣も、コレステロールの摂り過ぎと合わさることで病期の進行を早める原因となりますので、適度な運動や禁煙といった日々の生活習慣の見直しも取り入れましょう。
食生活改善と運動習慣を続けることで、少しずつ血中コレステロール値を正常に戻すことができます。

監修者

小川惇郎医師

白金台おがわクリニック院長

小川惇郎医師

専門

日本糖尿病学会糖尿病専門医/日本内科学会総合内科専門医/日本内分泌学会内分泌代謝科専門医/日本抗加齢医学会抗加齢医学専門医

所属医療機関

白金台おがわクリニック

経歴

北里大学医学部卒業後、北里大学内分泌代謝内科へ入局。
平塚共済病院、川崎市立井田病院、北里大メディカルセンターへ出向。
その後、北里大学病院 内分泌代謝内科、NTT東日本関東病院を経て、2017年11月から、白金台おがわクリニック院長を務める。

白金台おがわクリニック公式HP

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